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機械と魔法と戦闘と!~打倒大国~  作者: バリカン帝国
3/5

試験1日前

「―――という訳で、今日の授業は終わりだ」


 やった終わった。試験前の大事な時間をかなり無駄にしたが、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。


「明日は授業は無い。各自、自由に過ごせ」


 1日自由か。それなら、ストライクでも誘って訓練施設にでも行こうか。


「それでは、解散。お前ら、ゆっくり休めよ」



*************************



 寮の部屋に戻って時計を見ると、既に11時を過ぎていた。明日も早く起きる事を考えると、もう寝なければ。そう思いながら、すごすごとベットに入った。


「―――寝れねえ」


 フレアには、その日の事を寝る前に頭で整理する癖があり、そのせいで寝付きが悪かった。特に、今夜は考えることが多く、また、来る日の不安もあった。


「外の空気、吸うか」


 外は明るかった。この国もかなり機械の整備が進んできているが、その中でも育成学校は特に進んでいた。

―――そして、それ以上に星空が明るかったのだ。校舎を埋め尽くす光源よりも、美しく輝いていた。


「なんだか、心が洗われる気分だ」


 どうやら、今夜はもう寝れそうだ。そう思いながら部屋に戻ろうとすると―――


「ねえ、あんたも候補生でしょ?話、しましょうよ」


 声を、かけられた。



*************************



「珍しいな、女の候補生なんて」


「あー、そういうの、良くないよ」


 パンを頬張りながら彼女は言う。


「結構いるもんなんだよ。あんたが知らないだけで」


 へえ、そうなのか。だが、いくら校舎が広いとはいえ、今まで見た女性候補生なんて、両手で足りる程だ。


「そうだねえ、明後日の試験に参加する人だけで、ざっと4人はいるよ!」


 ……やっぱり少なかった。試験に参加するのは全員で100名を超える。今考えると、本当に少ないな。それなら、彼女はエリートの中のエリートということになる。


「よく分からんが、凄いんだな、君は」


「いや、あんたの言ってる事の方がよくわかんないよ」


 くすくすと笑う彼女の横顔が、月明かりに照らされて妙に綺麗に見えた。……パンさえ食べていなければなあ。それより、もう日付も変わる頃だ。さすがに寝なければ。と、その前に、


「俺は、フレア=イフライト。君は?」


「私はタルミナ=バレット!よろしくね。」


 名前も聞けてすっきりした。これでようやく気持ちよく眠れ―――


「よし、それじゃあ、2人だけで秘密の訓練、しちゃおうか。」


 眠れなかった。



*************************



「おい、訓練って、どこに行くつもりだよ」


 廊下を慌ただしく、それでいてなるべく静かに走りながら、フレアは尋ねた。


「そんなの、訓練施設に決まってるでしょう」


「は、何言ってるんだ。あの施設は夜11時以降は使えないはずだぞ」


「そ〜んなの知ってるよ!でも、入れる方法もあるんだ」


 ……ここのセキュリティはどうなっているんだ。それに、たとえ中に入れたとしても、あそこには訓練用のモンスターが住みついている。2人だけで行くのは危険だ。


「今日、寝ぼけた教官からキーカードをぶんどってきたの!これで入れるね!」


「だから、そういう問題じゃない!」


 こうして、言い合いをしているうちに、施設の前に着いてしまった。朝になってから来ようとしていたのに。さっき初めて会った女の子と、チームアップなんて出来るのだろうか。そして、何よりも、規則違反だ。


「だって、眠れないんだもん。手伝ってよ」


 俺は、頼み事に弱かった。


 訓練施設には割と足を運んでいる。実戦経験はないが、ここのモンスターとの戦闘経験は割と豊富な方だ。


「君―――タルミナも、候補生ならここのモンスターと戦った事はあるよな?」


「もっちろん!フレアも私の戦いっぷりを見たら腰抜かしちゃうよ!」


 なんとなく不安になる言い方だが、少なくとも経験はあるようでその点では安心した。ここのモンスターは、はっきり言って強くない。訓練用に飼育されているので、当たり前といえば当たり前だが。どうやら、怪我の心配は無さそうだ。そう思いながら、中に入ると、


「暗い…」


「暗いな…」


 当然ながら、本来誰も使わない、使えない時間帯のために、施設の中は明かりがついていなかった。


「まずは、明かりを探さなくっちゃな…」


「いーや、明かりなんてつけたら、教官たちにバレちゃうよ。それに、実戦では明かりなんてないしね。このまま行くよっ!」


「悪いことしてる自覚があるなら、止めてくれ…」


 明かり無しの戦闘なんて初めてだ。さすがにこれでは戦えない。


「だったら、火魔法で簡易的な松明くらいは作っても良いか?」


「流石に暗いままじゃ危ないか。つくろっか!」


火魔法で松明を作るのは、初ではない。これも授業で習ったことだ。曰く、擬似魔法は威力が低いので、あまり調整しなくても簡単に松明を作れるんだとか。


「よし、それじゃあ、『(フレイム)』!!!」


 と、大きな音を立てて爆炎が姿を現し、そしてすぐに小さくなった。これを適当な木の棒に移して完成だ。燃料は自身の魔力なので、燃やせて手に持てるものならばなんでも良い。


「わあ、あんた、火魔法上手だねえ!」


「これくらい、普通だろ」


 と、言いつつも褒められるのは素直に嬉しい。態度に出せてはいないが。というか、タルミナも普通に出来てるし。やっぱり普通じゃん。


「よし、これでようやく―――」


ほっと一息つく時間も与えず、ついに―――


「出たな、モンスター」


 火を見て集まってきた、巨大なハエのような怪物の群れが、2人を目掛けて攻撃を始めようとしていた。

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