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僕の仲間には生きてる人がいません  作者: らんこ
六章 旅する理由
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故郷

「サニアちゃん、クロエちゃん、お帰りなさい。あら、リュウさんは?」


 兵士の皆さんには旅の街に滞在している冒険者達に討伐隊に加わってくれるよう声をかけてもらっていて、その間私達はママやパパに現状を伝えにきたのだが……

 リューくんが山賊に捕まっていることを伝えるとママはそのまま失神してしまった。


「それで、どうするつもりなんだいサニア」


「森の都の兵隊さんと、旅の街の冒険者さん達に協力してもらって、リューくんを助け出すの。心配しなくても私もクーちゃんも大丈夫だから」


「パパもいくぞ、一度は義理の息子と決めた子だ。父親が行かないでどうする」


「パパ……」


「それに腕の立つ知り合いも何人か心当たりがある。声を掛けてこよう。皆でリュウを迎えにいってやろうじゃないか」


「あなた……私も行きます」


「君は待っていなさい。帰ってきたときにおかえりと言ってくれる人がいないとね」


 さすがにママはお家で待っていてくれないと私も不安だ、私達はそれから兵隊さん達と合流し、ミーシャさんのお店の前で冒険者達と待ち合わせることになった。


 しばらく待つと続々と冒険者達が集まってくる。兵隊さん達に聞けば森の都の領主様がリューくん救出に報奨金を出すと冒険者に伝えていたらしい。ぽつりぽつりと増えはじめた冒険者があっと言う間に五十人にもなった。


「サニアさん、皆さんにご挨拶を」


 いきなりそう言われても正直困ってしまう。そういうのはクーちゃんが得意なはずだと思うのだけど……当人は観客側に回っていた。


「えぇと、皆さん山賊討伐に名乗りを上げて頂いてありがとうごさいます。私は旅の街のサニア、皆さんにお集まり頂いた理由というのが私達の大切な人……旅の街のリュウが山賊に捕まってしまいました。皆さんのお力をお借りして彼を助け出したいのです」


「その坊主はウチの店のもんだ!討伐にいく奴には好きな得物をタダでくれてやる!!必ず助けてやってくれ!!」


「坊やはアタシが目をかけて世話してたんだ、うちも協力させてもらうよ。旅に必要な道具があったら持ってきな」


「街の子が困ってんだ!皆で助けてやろうや!」


 鍛冶屋の親方さんに、ミーシャさん……それに街の皆もリューくんの為に力を貸してくれる。


「冒険者諸君には旅の街のリュウ救出の報奨金として参加した者全てに金貨十枚を我が森の都の領主アリア様が直接お渡しくださるとのことだ!更に山賊を捕らえたものには一人につき金貨五枚の追加報酬がある!存分に働け!」


「「「おおおーーーー!!!」」」


 兵隊さん達と冒険者達が勇ましく雄叫びを上げる、戦いとなれば彼らの本領だろう。私達は死霊とばれないように気をつけながら、リューくんを探さなくては……



 こうして私達の小さな力が集まってリューくんを救う為の大きなうねりとなり、山賊達を呑み込むのだろう。

 リューくんは絶対に助かる、私達の想いが確信に変わった瞬間だった。


「はーい、それじゃいいかな?皆で僕の周りに集まって!そこの人~もっとこっちに寄ってくださーい」


 キルケーちゃんが詠唱をはじめる。私達の戦いはこれから始まるんだ。


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