悪魔が来たりて何か言う
「僕達が似てる理由?それは僕達が君達の素体になってるからだね、クロエちゃんは先祖返りだよ」
「先祖返り?」
「君達が作られる前、僕達が人間として作られて地上に居たんだよ。神様達も加減がわからなくて、僕達に神の力と肉の身体をそのまま与えたものだから、それで欲望にまかせて大戦争になっちゃったの。」
この人達が空を飛び、魔法をばりばり撃ちながら戦っていたのだろうか。完全にファンタジー世界の出来事だ……どうせ転生するならそちらの方が……。
「それで僕達の殆どが死んじゃったんだ、神様達の計画は失敗して僕達は神界に連れ戻されたの。それから神様は僕達の身体から何の力もない人間を作って地上に送りだした、それが君達ってわけ」
それで先祖返りってことなのか。
「神様達がイメージした可愛い神の子の姿が僕達亜神族の姿、だからクロエちゃんは神界では神様にモテモテだよ」
そういえば神様はクロエとくっつくのが好きだったっけ……楽しそうにクロエとじゃれ合う神様の姿を思い出すと胸の奥が締め付けられて、目の奥が熱くなるのを感じた。
「それでこの国の神様は?僕が聞いた話だと、執心してた人間の子を追い掛けて神様のくせに堕天したって噂だったけど」
「神様は僕らを助けるため死んじゃったよ……」
「カーミラ……」
「神様が死ぬぅ?おかしいな……そんなことってあるのかなぁ。神様って元々魂だけの存在だから生きるとか死ぬとか寿命のあるものみたいに状態が変わったりしないの。だから死ぬって事は考え難いかな……」
「でも、たしかに光の粒みたいになって消えちゃったんだ」
「うーん……それは多分散っただけなの。いつか元に戻るよ、それが明日なのか千年後なのかは僕にもわからないけど」
なら、僕らがまた生まれ変わったいつかの日に神様とも再会できるのだろうか。あれだけ邪魔に感じていた神様の祝福が今では遠く懐かしい温かなものに感じられた。
海の街へ道中、陽も落ち掛けたので僕らは野営をすることになった。夕食後、焚き火を囲みながらキルケーさんの知る神界や神々の話を聞かせてもらっている。
「リュウくんだっけ、君は神様から神威を授かってるんだね。ここの担当さんと同じ生と死の香りがする。とっても良い匂いだよ。」
「僕らには嗅ぎ取れないからわからないんだけど……具体的に何の匂いなのかな……?」
「うーん……君達の知ってそうな物で例えるなら……そう!御線香!!」
「お、御線香……?僕って線香くさいの?もっと他にないの?他の例えは……」
「うーん、例えるなら……それは……君が見たひか――」
「それも御線香だね……」
「御線香なんか嫌よ、焚かれたら成仏しちゃうかもしれないし」
僕だって線香くさい奴呼ばわりされて嫌だよ。
「くぁ~……っ……!なんだか僕眠たくなってきちゃった……」
「キルケーちゃんおねむなの?それじゃ私のところにおいで」
さっちゃんが自分の膝をぽんぽんと叩きながらキルケーさんを呼んでいる。吸い寄せれるように、さっちゃんに抱えられてウトウトしていた。
「こうやって、年下の女の子に甘やかして貰えるなんて何だか興奮するね」
顔が似ると思考まで似るのだろうか、以前クロエが全く同じ事を言っていたんだけど……
すっかり眠ってしまったキルケーさんの頬をつついて遊んでいたクロエも、いつの間にかさっちゃんに寄りかかるようにして眠ってしまったようだ。
「双子ちゃんのママになった気分……重たいよ~」
「サニアママか……いいね!」
「その……リュウくんがパパ?」
「えっ?!あ、そうなる?」
お互い恥ずかしくなって俯いてしまう。こういう時少しでも気の利いたことが言えたら良いんだけど。
「あなた達の娘になった覚えはないわ、私達をイチャイチャするダシにしないでよ」
そうか……クロエは眠らないんだった。それから僕は恥ずかしくて意味のわからない言い訳を繰り返すばかりだった。




