異世界に召喚された私を迎えに来た親について
「ようこそ、来てくださりありがとうございます、勇者様方」
「…はい?」
いつものように授業を受けていたら、急に教室が眩しく輝き、私たちは光に包まれた。
目を開ければ薄暗い円形の部屋の中、けれどもどこか神聖な気配を感じる場所だった。
「ささ、こちらへどうぞ。父である陛下が待っておられます」
ドレスを来た少女。雰囲気や陛下と言う言葉から彼女は王女なのだろう。
ここが何処なのか解らないまま私たちは彼女に着いて行った。
「よくぞ参られた勇者様方よ!どうか我が国を救ってくれ!」
案内されて着いた先にいたのは、頭に王冠を乗せた初老の男性だった。彼がこの国の王なのだろう。
詳しく聞くと、この国どころか世界は未曾有の危機出そうだ。
魔王が現れ、世界侵略を始めたのだ。
その対抗策として、異世界から勇者御一行を召喚に戦って貰いたいようだ。
「任せてください!」
ちょ、何言っているんですか!?
私たちはまだ学生ですよ!それなのに即答ですか!!
周りを見ても不安げな表情を浮かべているクラスメイトが多い。
あの無責任に了承した正義バカはほっとくとしても、この状況は情報が少ないのでどうしようもない。
「不安な者もいるだろう。王女よ、ステータスを彼らに説明してくれ」
「はい陛下。皆様、ステータスについて教えますので聞いてください」
ステータスとは。
力 守り 魔力など。
文字通り、その者の能力を数値化して表した物だそうで、能力石にそれを写し出すことができるようだ。
「能力の他に、職業、種族、レベル、スキル、称号なども見ることができます。皆様に一枚ずつお配りしますので、どうぞご覧下さい。先に言いますが、この世界の標準は平均100程です」
説明を聞いてなんとまあゲームな世界だと思った。
クラスメイトは能力石を受け取って、自身のステータスを確認し始めた。声高に200とか300とか平均を上回るステータスを誇っていた。あの正義バカはなんと軒並900と言うステータスをしていた。
興奮気味に友達が私のステータスを確認してきたので、自分のステータスを見てみた。
名前:赤本 栞
もちろん私の名前だった。だけど問題はここからだった。
種族:人間 (ハーフ)
人間 (ハーフ)ってなに?私、ハーフだったの!?
レベル:表記不可能
なんで!?なんで表記が不可能になっているの!!
職業:なんでもやれます!!
面接か!てか仕事を放棄するな!!
能力値:全てMAX
雑!せめて数値化しろよ!?
スキル:望むままに。
だから雑だって!?むしろどこまでできるのよ!!
称号:召喚されし者、異世界からの勇者、親に愛されし者、神に愛されし者、神の子、手出し危険
結構多いし、以外に普通?なんか物騒な称号もあるけど…
てかなに?私、神の子なの?
え?どういうことなの?
近くで覗いていた友達もなんかドン引きになって王女様に訳を聞きに行こうとした時、それは現れた。
「栞ちゃん見ーつけた!」
「何者だ!」
「え!?お母さん!?」
「「「お母さん!?」」」
そう。私の母親である赤本 照。
なんでいるのか私には分かりません。どうやってここに来たのか聞いてみると
「洗濯していると、急に栞ちゃんの気配が消えたから探しに来たのよ」
「いやもうちょい詳しく過程をね」
「こいつに聞いたから大丈夫よ」
そう言いながら母は、何処からともなくボロボロになっている女性を取り出した。そしてそのまま足元に置き、頭も踏み出した。
「「「ちょっとなにやってるんですか!?」」」
「この子はこの世界の女神よ。愚かにも私の娘に手を出したからお仕置きをね」
え?女神!?そんな事したらこの世界の人が怒るに決まってるでしょ!!
「お、お前!!女神様になんて事をするんだ!!」
やっぱり、王様は自分達の女神を踏みつけられているのを見て怒っている。
てか、母さんは何者なのよ。女神様をボロボロにできるなんて。
「あら、なに怒っているのよ?私達は只、自分の娘を迎えに来ただけよ。こいつってば、娘を拉致った癖に謝りもしないし、「私に選ばれて光栄でしょ」とか上から目線の訳の解らないこというから殴ってやったのよ」
昔の血が騒いだわぁ、とか言っている私の母。
そうこうしているうちに女神が目を覚ましたのか、母の足元で身動きしていた。
「足を退けなさい!野蛮人!」
「あら、起きたのね」
「この私を誰だと思っているのよ!?」
「私より格下の女神」
「誰が格下よ!? 」
しれっとして女神の言葉を受け流す母。
いくらなんでも女神より格上な訳が無いでしょうに。
……いや、もしかして。
「お母さん。一つ聞いていい?」
「なーにー?」
「私って、神の子なの?」
は?
って誰かが言った。私だってなに言っているか解らない。けど先程の能力石にはそう書いてあったのだから。
そして母は。
「ありゃバレちゃったか」
「さらっと言うな!」
あっさりと本当の事を言う母であった。いや、隠す気が無かったのだろうな。
「はっ!ババァみたいのが女神だって!?寝言は寝てミギャ!?」
「言ったでしょ?格下は黙ってなさい」
母さんをババァなんて失礼な女神だこと。だから踏みつけられるだから。
「貴様!?何者なんだ!?」
この世界の王様がまた喚き出した。そう言えば私も気になる。親のどちらが神なのかと言えば母さんなのだが、神としての名前が解らない。
「私は普段、赤本 照と名乗ってますが、神としての名前は 《天照大神》と申します。栞ちゃんのクラスメイトの方ならならわかりますよね?」
「「「……は?」」」
いやいやいやいやいや!?超メジャーやん!?
なに!母さん天照様だったの!?どうやって父さんはこんな人と結婚できたのよ!?
「天照?……天照!?あの噂の女神!?」
こちらの世界の女神は母さんの事を知っているらしい。だったら顔も知っておけよ…
「あら、私の名前は知ってたの?」
「当たり前です!!新人教育で聞きました!!天照には手を出すなと教わりましたよ!?」
それはどんな教育だ?
「それはともかく自身の信仰集めの茶番劇はおしまいにして頂戴。娘やそのクラスメイトを元の世界に帰したいのだけど」
「でも魔王がいるんだ!倒さないとこの世界の人々が!」
あの正義バカが母さんに反論しているが、今なら帰れるのわかってる?
「本当にいるか解らない魔王を倒さないといけないの?なんで赤の他人を助けないといけないの?」
「あんた天照様なんでしょ!?だったら」
「だったらなに?私、信仰されてもいない人を助けるほどできた神じゃないし」
母さんの意見はもっともだと思う。この世界の問題はこの世界の人が解決すればいいと思うし。
でも母さんって以外にドライな考えしているんだな。
「それに魔王っぽい奴は夫が退治しに行っているわよ」
「「「はい!?」」」
はあぁぁぉぁあ!?父さんがいるの!?ここに!?しかも魔王退治に行っているの!!