暗闇
─英雄よ、目覚めよ─
そんな声が聞こえて目を覚ます。暗くて何も見えない。俺は身体を起し、周りを見る。やっぱり暗くて見えない。どこなんだ。ここ。
「誰かいる?」
俺は念のため聞いておいた。
「おう。」
「いるよー」
誰か知らないが人の声が聞こえた。暗闇の中に一人じゃなかったから少しだけ助かった。こんな暗闇で一人は悲しすぎる。
ていうか本当にここどこだ。俺ってどんな所に住んでたんだっけ。思い出せない。あれ。なんでだ。思い出そうとしても霧がかかってる感じ。思い出せない。えっと。俺の名前は……トモヒロだったっけ。いやどうだったかな。記憶が曖昧だ。皆も同じ状態なのかな。友達は……。やっぱり駄目だ。友達も思い出せない。知り合いも思い出せない。親の名前も顔も何も思い出せない。どーなってんだよ。覚えてるのは自分の名前だけ。ここどこだよ。
ガシャン
なんだ?今の音。扉が開く音が聞こえた。
音がした方を見るとなにか光ってる。なんだろうか……。外の光……?出口か?今考えても仕方がない。
俺は立ちあがり、壁に手をつけてゆっくり出口に向かった。
足音が聞こえる。皆も多分出口に向かってるんだろう。
結構足音が聞こえる。結構人数多そうだな。
それにしても眩しいな。
俺は手で光を隠しながら歩く。
「すげぇ……。」
外の景色を見ると凄く美しい大地が広がっていたから思わずすげぇって言っちゃった。言っちゃうほど本当に凄い。外は晴天で、風が心地いい。
眠れそうだなぁ……。
皆も景色を眺めている。俺含めて6人か。
さっきから凄い気になるんだけど、鎧を着た人が二人いる。さっきからずっと見られている。ここの人なのかな。だとしたら何か教えてもらえるかもしれないな。
そんなことを考えていると、鎧を着た人がこちらに向かってきた。
「ついてこい。」
それだけ言って鎧を着た人は街の方に歩いていった。
俺は皆を見て
「ついていこう。何か手がかりになるかもしれないから」
俺はそう言って鎧を着た人に皆でついていった。