リティア秘島にて魔物を討伐す
リティア戦闘開始。ちなみに無手の強さはセファーを除いてだと ルオン(当然いつも素手)>エナ≧リティア>ミリスです。この章に出てくるネムなどのキャラは今回は含んでません。
「キナぁ!!!」
「キャロ!」
キナに向かって幼馴染の少女が手を伸ばしてくる、キナもその手を握ろうと手を伸ばすが・・・すでにグランドベアはその爪を振り上げていた、あとは振り下ろせばいいだけだ。キナがその手をつかみ引き寄せるよりもそれは明らかに早い。これをどうにかできる存在はこの場には・・・そうこの場にはたった一人しか存在しない。
キナはもう間に合わないと感じていた。幼馴染が必死の表情で自分を見て手を伸ばしてくる。自分も手を伸ばすが・・・もうわかってしまう。
(ああ・・・私ここで死ぬんだ・・・キャロ・・・ごめんね・・・)
自分が目の前で死ねばこの優しい幼馴染は大層傷つくだろう。キナはそう思い先に謝った。死の気配が迫ってくる。キナはそっと目を閉じた。
風がキナのすぐ隣を駆け抜けた。そして
「ちょあ~~~~なの!!」
ガキン!!!
その爪は弾かれた。キャロやキナ達よりも小さな少女の手によって、
「ふひ~ぎりぎりセーフなの・・・大丈夫?」
「え・・・?あ・・・うん」
キナはに何が何だかわからないといった様子だ。一瞬で距離を詰めたリティアがその両手に持った短刀で自分の5倍以上はあるグランドベアの爪の振り下ろしをはじいて後方に追いやったのだ。正直現実離れした光景であった。
「キナ~~!!よがっだよ~~」
「あ・・・キャロ・・・うん・・・ごめんね・・・泣かないでよ・・・」
再度自分を助けた少女に礼を言おうと目を向けたが・・・その少女リティアは厳しい視線をグランドベアに向けたままだった。まだ決着はもちろんついていない・・・それ以上に
(まずいの・・・この感じ今の私でギリギリ・・・それに固い・・・)
某覇王がたやすく屠ったグランドベアであるがその装甲はやはり厚く。今の手持ちの装備ではリティアにそれを突破できる武器は無かった。また合気斬りも実力の近い子のグランドベアには通用しないのもわかっていた。
(少なくても・・・この人たちを逃がさないと・・・後は・・・兄様にはまだ使うなって言われてたけど・・・使うしかないかな・・・)
リティアは油断なく左右の短刀を構え
「二人とも逃げるの!!私ももう余裕はないの!!だから早く立って!!」
リティアの声を聴いた二人は慌てて立つが
「でも・・・あなたは・・・?」
「そうよ!こんなのどうするのよ・・・」
「いいから行って!!集中できない!!今のあなたたちは足手まといなの・・・まあ私が遊んじって魔力を消費させちゃったからだけど(ボソッ)」
正直この状況はリティアが招いたことである。だから責任を取るのはリティアでなければならない。だがどうやら二人は
「!わかったわ!!すぐに応援をよこすから!!絶対に生きてなさいよ!!行こうキナ!!」
「うん・・・どうか無事でね・・・」
そう言ってなんだか信用してくれたみたいだ・・・ちょっと心がいたい・・・っと取り直して
「・・・怒ってるの?得物を仕留められなかったから?・・・でもね・・・今からあなたは狩られる側・・・私が狩人だよ!」
リティアはこちらにものすごい勢いで駆けだそうとしていたグランドベアの動きを先んじて詰めてその両手に持った短剣を振るう。
ガキンと弾かれるがグランドベアの動きが止まった。グランドベアは先手を取られたことに驚きそして傷つきはしないもののその衝撃にのけぞり動きを止めたのだ。その隙ををリティアが見逃すはずがない。
「やああ!!」
回転してグランドベアを滅多打ちにする。首、腹、脇、脛、関節。弱点を探るように斬りつける。
(・・・ダメか・・・固い・・・兄様だったら多分これでも難なく斬っちゃうんだろうけど・・・今の私には無理・・・弱点らしきものもなし・・・やっぱり使うしかないか?)
「ぐあああああああ!!!!」
いい加減立ち直ったグランドベアが怒りの咆哮をあげる。痛くはないが自分を攻撃しているこの小さな存在が許せないのだ。その鋭い爪を横なぎに振るう。
轟
「っと!危ないの・・・でも攻撃手段が単純でわかりやすいの・・・」
セファーとの訓練でその読みの力は格段に上がっている。グランドベアがどう動くか今のリティアには手に取るようにわかっていた。やはりネックなのはその装甲そして
(体力はやっぱり魔物だけあってあっちの方が上・・・ううん私が二人との遊びでちょっと消耗してる・・・それが無ければ余裕だったけど・・・自業自得なの・・・後は攻撃力・・・私にあの爪が掠りでもしたら大参事・・・やっぱり今の私には荷が重い・・・でもここで使ったら私は動けなくなっちゃう・・・どうしようか?)
自分の切り札はグランドベアを倒すことはできてもそのあと動けなくなってしまうほどのリスクが伴うものだ。今はこちらの様子を伺っているが他の魔物がいないわけではない。一番いいのは逃げる事なのだが・・・
(無理かな・・・一度臭いを覚えたクマさんは多分私を逃がしてはくれない・・・だったら逃げるのはむしろ悪手・・・だったら)
「あの二人を信頼して時間を稼ぐ・・・しかないの・・・」
リティアは二人が応援を連れてくるまでグランドベアとの追いかけっこをすることにした。攻撃をひたすら避け障害物を利用してグランドベアの攻撃を無効化していく。あたりはグランドベアの攻撃で木は折れ、地面は抉れている。しかしリティアには何の影響もない。その動きは少しも乱れなかった。
(相手を見て・・・周りを見て・・・自分を把握して・・・油断はしない)
兄に教わったことを忠実に実行していた。その教えた本人はそのころ見事に相手の策にはまっていたのだが・・・
30分経っただろうか・・・この攻防が変化を見せたのは、第三者が来たことによってだった。
「早く!!みんな!!じゃないと死んじゃう!!あの人間が!!」
キャロは先頭に立って村の狩人たちを連れて走る。キナも一緒だ。村の狩人たちを説得するのにはキナにも手伝ってもらった。何より二人の命の恩人である。助けなければ外道にも劣る。初めは嫌な顔をしていた狩人達だったが・・・二人の話を聞くと全員フル装備をして彼女たちに着いていった。エルフィンは受けた恩は必ず返すのだ。
いよいよその場所にたどり着いた彼らはその光景に唖然とする。
「何だ?・・・こりゃ・・・」
兎に角何もかもがばらばらである。そしてまだ何者かがあのグランドベアと戦っているようだ激しい戦闘音・・・グランドベアが暴れている音が聞こえる。
「おい・・・あのグランドベア・・・かなりの大物だぞ!!」
そうリティアが戦っているグランドベアはその実グランドベアの中でもかなりの大物であった。その装甲は一般のグランドベアをしのぎ、素の一撃は巨岩さえも砕く。この森の主であり化け物である。それに対峙しているのは人間の少女である。彼らは一瞬であるがその光景に言葉を失った。
「えっ?」
キャロは一瞬リティアがこちらをちらりと見たことに気が付いた。間違いなく自分を見た?そして
リティアからプラナが発せられ・・・そのプラナがリティアの両手を覆った。
「一瞬だけだから・・・もって・・・行くよ!!」
「【兄様直伝・震掌】!!」
グランドベアのの腹部にその両手を押し当てた。外ではなく内部を破壊する必殺の打術。まだ体ができていないリティアに使用を禁じていた、しかし命を守るための最終手段としてセファーが教えていたまさに切り札。武器で繰り出す震烈破は扱いが難しくかつ今リティアが持つナイフでは当然持たない・・・だからこそ自分の体を全開に使ったこの技であった。
それはロードベアの臓器を完膚なきまでに破壊し、この森の主たるグランドベアの命を一瞬で奪った。
そしてリティアは
(あ・・・だめだ痛い・・・それに・・・力が抜ける・・・あとは・・・たのむの・・・)
キャロとキナ二人を再び見て激痛を感じながらも、海に続いて再びリティアは意識を失った。
決着・・・そしてリティアのエルフィン達への執着の原因が明らかに・・・全部どこぞの覇王が原因?




