ワイバーンロードの最後と覇王
体が痛い・・・2話目っす。
まずは邪魔をしてくる周りをどうにかしなくてはならない。だが今は警戒してか飛びかかってこないのだ。
通常空を飛んでいる敵に対して地上の者が取れる手段というと一つは飛び道具を使うこと、弓矢や投石または魔法などによって撃ち落とす手段が一つ。そしてもう一つ先ほどもセファーが行った自らも空に上がり直接叩くという手段である。だがどちらの手段も実際には確実とは言えない。空を自由に飛び回るものに、攻撃を当てるというのは予想している以上に困難なことである。そのためほとんどの者は、危険ではあるが第3の選択・・・相手が攻撃に着た瞬間にこちらも攻撃するという方法をとる。これは相手の攻撃にさらされる為、非常に危険である。だが攻撃は届くし地上で戦える利点もある。
だが今回セファーが取った手段はこの3つのどの手段でもなかった。
いつものように剣を2本ともくるりくるりと回転させていく剣が高速になっていきそこで剣左右から一撃ずつ前方に放つ・・・
【円舞剣・空渦】
始めは何も起こらなかった。だが次第にその攻撃が何をしたのかワイバーン達は理解した。体がセファーにどんどん引き寄せられていくのだ。それもロードを除いたすべてのワイバーンの体がだ。
先程セファーが放った空渦は攻撃の為の円舞剣でない。ただ自分が望んだものを引き寄せるためだけの技である。ただそれだけだが抵抗はできず、引き寄せられるというのは無防備な状態でセファーの間合いに入るということである、それはすなわち
「こうなる・・・」
一体目が切り裂かれる。続いて引き寄せられた2体目だ。ワイバーンももがくがやはり無駄である。次々に引き寄せられては斬られていく。すでに地上はワイバーンの死体だらけである。最後の一匹を切り捨てたセファーは残ったロードに視線を向ける。
「不思議か?なんでお前だけ引き寄せられなかったのか・・・当然狙ってやった。お前を守る部下・・・いいやお前に取っては盾か・・・は全部一撃で倒した。いたぶる気もないからな・・・でもお前は少し痛みを知ってから逝ってもらう・・・そのために残した・・・じゃあ行くぞ」
「ぎゃううう!!」
ロードは連続して混合毒を放つ。セファーを近づけさせないためである。空中から狙いもつけないでばらまくように放ってくる。セファーはそれをすべてプラナをまとった剣閃で撃ち落としていく。そしてじりじりとロードの真下までやってきて、足に力をためた。
「まずは一撃」
そして跳び上がりロードの右足を切り捨てた。
「ぎゃああああああああ!!!?」
痛みで声をあげるロード、セファーは体を半回転させて次の攻撃へ
「次は尾だ」
尾を切り裂く。再び上がる咆哮。
ロードは悟った。勝てないとこのままでは自分は死ぬと、そう思ったロードはわき目もふらずに逃げ出した、体に今までにないほどの力がなぜかあふれる。
「ん?・・・命の危険を感じて覚醒したか・・・速度の強化ってところか・・・特異種の力の一つが逃げることで開花するとはな・・・」
今までの様子を見ていたネムとグレンが寄ってくる。
「セファーさん~~よろしいのですか~~?逃げてしまいますよ~~」
「きゅあきゅ~?」
「・・・ん?ああ問題ない。射程範囲だ」
そういったセファーであるが既にロードは豆粒ほどだ。セファーは再び2本の剣を回転させた。
「悪いが今の俺にとっては、お前くらいならこの程度の距離でも決着がつく」
【円舞剣・輝矢】
左右から放たれた突きから光の矢が放たれる。
高速で飛来してロードに追いつき、そして光の一つはロードの4枚の羽根を貫き、次いだもう一つがロードの胴体を貫いた。
ロードは断末魔をあげる暇すらなくその巨躯を空から地上へと落としていく。完全なる決着である。
「さて、あとは奴が落ちたところまで行って魔石の回収をしておこうか・・・アンデットになられても困るしな・・・」
余談ではあるが今まで倒したワイバーンの魔石は破壊するか回収済みである。放置すれば魔物はアンデット化する恐れがある。そうすれば第2の魔物暴走の始まりである。
「討伐部位はこうして回収済みだ・・・プラスで魔石を回収してそれを売ればしばらくは何とかなるだろう・・・」
「そうですか~~じゃあ行きましょう~~グレンちゃんもね~~?」
「きゅきゅ!!」
「任せろ!!」と言わんばかりに猛る幼竜、それを見てセファーは笑みを浮かべながら足を進めるのだった。
「おいおい・・・何なんだ?急に光ったと思ったら・・・こいつはすげぇ!!なんて大物だ・・・俺にも付が回ってきやがったか?ん?討伐照明の尻尾がねぇ?っち!!でもこれの素材がこれだけえりゃあ・・・しばらくは豪勢に暮らせるぞ」
「ああ・・・そうだなとっとと運んじまおうぜ」
数人の男たちがワイバーンロードに群がっている。一人は見たことのある男だ、受付嬢のアイナともめて投げ飛ばされた例の男だ。男たちは冒険者でも最もrankの低い連中の集まりだった。そしていい噂がない連中でもあった。一獲千金を狙うも実力が伴わずに安い依頼しかこなせない、だが彼らの後ろにいる存在がそれを許していた。
今回はたまたまワイバーンの領域の端の端にいたところ巨大なワイバーンが降ってきたのである。これに食いつかないはずがない。たとえそれが盗人同然の事であるということになろうとも・・・完全に相手が悪いのだが・・・。
「ふえーー!!すげえぞ全然刃が通らねえ・・・牙もこんだけでけえ!!これは儲かるぞ!!」
「酒も女も買い放題抱き放題だ。よだれが出ちまうよ」
「しょうがねえ・・・台車を用意しろ!!これ事持って行ってギルドに売るぞ!!俺たちはこれで金も栄誉も得るんだ!!」
勝手なことを言う男たちだ。実は討伐された魔物は冒険者ならばギルドプレートに記録として残る。男たちはそんなことを考えもしないで皮算用を始めている。当然最低rankの男たちにロードが倒せるはずがない、実際にこんなものをギルドに出せば疑われることは必至だろう。
「うお!!重いくそう!!そっちしっかりもて!!そうだ・・・行くぞせーの!!」
どしんという音が響きようやく台車に乗せることが出来た。総勢9名によってようやく乗せることが出来た。
「台車がミシミシ行ってらーー!!一人じゃ動かせねえ運ぶのにも最低4人は必要尾だぞ!!」
さあ帰ろうとホクホク顔で町に帰ろうとする男たちだったが・・・
一人の青年と少女となんだかわからない生き物が出てきた、
「ん?・・・これは・・・すでに運ぶ準備がされている・・・か」
その状況を見たセファーは大体の事情を一目見ただけで察した。そして
「・・・運んでくれるのはありがたいが・・・それは俺が倒したものなんだが・・・運んでくれるなら素材の報酬分は払うぞ・・・」
ため息交じりに恐らくは無駄だろうがそう切り出した。
当然男たちはその言葉に納得はしない、
「は!?ふざけんじゃねぇ!これは俺たちの得物だ!!ガキども!!お前らみてえな奴らに狩れるわけないだろう!!」
この男たちは当然支部長ゴルノとの模擬戦を見ていない。セファー達の実力がわかっていなかったのである、そして何より若い男女のパーティーだ、嘗められもするだろう。
「・・・こうなるよな・・・やっぱ・・・」
めんどくさいという雰囲気を隠そうともせずセファーは男たちを見る。話し合いが通じないというなら後は
「討伐部位はここにあるんだがこれが証明にならんか?」
「はん!?そんなものどうせ拾ったんだろう?俺たちによこせ!!それに・・・へへへ横の女はいい女だな・・・そいつも置いていけ俺達で可愛がってやるぜ!!」
「・・・・・おいおい・・・冒険者じゃなくてただの盗賊じゃねえか・・・ふうーーー。もう疲れるわ・・・精神的に・・・」
もう話は終わりだ。後は・・・。すでに男たちはそれぞれの武器を構えている。
(こいつらは馬鹿なのか?俺がロードを倒した存在なら・・・お前たち全員より当然強いんだが・・・そんなことを冷静に考えられるなら・・・盗人同然の事はしないか・・・しょうがない)
セファーは武器を構えもせずに男たちの前に出て手をぽきぽき鳴らした。とりあえずこいつらをぼこぼこにして荷物を運ばせるかと考えを切り替えて・・・。
その後男たちの叫び声がこだますることになるのだがそれを聞いていたネムとグレンは楽しそうに
「あら~~楽しそうですよグレンちゃん~~♪」
「きゅいきゅい♪」
とのんきに二人で話していたという。
決着そしてバカ共。




