所変わってレインバーク領
3話目です。
時間はセファーが消えたその時にまでさかのぼる。
「え!?」
エナが見たのは諦め顔で消えたセファーだった。彼女は瞬時に状況を把握。そして
「リティア様!!ルオン様!!」
2人を呼んだ。
「何があったの?エナちゃん!!」
「・・・どうやら大奥様のコレクションの中に転移の品があったようで・・・申し訳ございませんセファー様にお渡ししようとしたところでそれが発動いたしました・・・私の責任です・・・」
エナがうなだれる。
「・・・そう・・・兄様はなにか?」
「いいえ・・・ただ諦め顔でいらっしゃいました・・・」
「なら・・・多分危険はないよ・・・それに兄様が危険なことになるっていうのは想像がつかないし・・・大抵の事は余裕で切り抜けちゃうから・・・ただ心配なのは・・・」
「「またほかの女の子の気配がすること!!」」
2人は同時に声をあげる、ルオンは「何だ又か」というような顔をしてしっぽをばさりと振った。
「何故でしょう・・・セファー様が絶対に女性と一緒にいる気がしてなりません・・・」
「そうだね・・・兄様だから・・・ミリスに続いて・・・今度は誰?」
2人の目が三角になる・・・。
「ひとまず母様に報告・・・それと捜索の願いを出そうか・・・」
「そうですね」
そこで突然一陣の風が吹く、その気配に二人はさらに顔を険しくした、
「セファー!!修行に参りましたよ!!」
出てきたのは風をまとった少女・・・件の少女次期エリクシル公爵ミリスだった。彼女は事ある事に修行とそうしてレインバーク領に来ていた。いつの間にか転移陣を勝手に家の庭に設置までしたのだ。これにはアリアも抗議しようとしたのだが・・・相変わらずローラには口では勝てずに言い負かされた。結果この少女はほぼ毎日来るようになったのである。当然相性の悪いリティアとは事ある事に喧嘩をする。互いに思う男性が一緒なのもそれに拍車をかけていた。
「また来たな!!頭の固いミリス!!」
「あら、子猪のリティアじゃありませんか・・・」
2人は顔を突き合わせると「がるるるる」と威嚇しあう。その迫力にはルオンが尻尾を巻いてエナの後ろに隠れるほどだ・・・。
「お二人ともひとまず落ち着いてください・・・」
エナがそういうと二人は「ふんっ!」と目をそらした。
「あれ?セファーは居ないんですの?」
そこでいつものメンバーにいない青年の姿に疑問を呈する、
「・・・それなのですが」
「エナちゃん・・・」
「仕方がありません・・・むしろエリクシル公にも手伝っていただいた方がいいでしょう・・・」
「分かったなの・・・」
「何の話ですの?・・・セファーに関係のある話ですか?」
「一度家に戻るの・・・そこで説明するから待つの・・・・」
そうして倉庫から家に戻った4人はやはり来ていたローラにも説明を始めたのであった。
「それはまた・・・あの子は運がないのよね・・・」
アリアは開口一番そういった。なんやかんやで物事を解決するのだが・・・運がないので本人においては巻き込まれたりトラブルが舞い込んだりと事欠かない。
「それはまた・・・随分と面白そうなことになってますわね」
隣に立っていたエリクシル公ローラは面白そうに言う。彼の非常識なまでの戦闘力に心配は必要ないであろうと思っての発言である。また周りの少女たちが何を心配しているのかを見て楽しんでの発言でもあった。
「あんたねぇ・・・まあいいわ・・・それで協力いただけるので?エリクシル公?」
「ええ・・・よろしくてよ・・・レインバーク公」
セファーの捜索にエリクシルも協力することが決定した。
「でも・・・どこに行ったのでしょう?・・・ある程度分かってなくては捜索の使用もありません・・・アリアあなた何か方法があって?」
「・・・まあね・・・ねえ見てるんでしょう・・・フルム・・・力を貸してもらえるかしら?」
〈ふむ・・・そろそろ来るかと思っておった・・・〉
どこからか声が響き、続けて現れたのはいつもの大きさの10分の1くらいのサイズのフルムだった。
〈我が分身体で失礼するぞ・・・久しいな・・・アリア・・・そして・・・〉
「お初にお目にかかりますわ・・・神獣フルム様・・・エリクシル領を治めます。ローラと申します。以後お見知りおきを・・・」
〈よい・・・我とアリアは盟友・・・そなたもアリアと知己の存在なれば我とは盟友だかしこまらずとも良い〉
「もったいなきお言葉・・・ですが私は礼儀をわきまえております故・・・そこな猪女とは違います」
「さらっと悪口を挟みやがったな・・・ええい覚えてなさい・・・それよりフルム、セファーの居場所わかるの?」
〈・・・結論から言うと・・・方向のみしかわからん・・・それ以上は・・・厄介な物が発生していてな・・・探るのは難しい・・・〉
「厄介な物?」
〈ああ・・・妖精穴が2か所にほぼ同時に発生している。そのせいでそれから先の気配を感じることが出来ん〉
「それはまた・・・どこで発生してるの・・・」
そう言われたフルムはローラを見て
〈一つは汝の領とその先の領をつなぐ道の間・・・もう一つは確か・・・ここから西の領何と言ったか・・・〉
「アルフォードの事?」
〈おう・・・そうであったなアルフォード領の大湖畔に発生している〉
「ちょうどグランベール王国を北と南に分けた感じになるってところかしら・・・北側7領南3領で・・・ということは」
〈うむ・・・我が探れないということはあやつは北にいるということだ・・・しかも追うことが出来ない〉
「・・・そうね・・・陸路は無理でしょうね・・・道がない。アルフォードの大湖畔ってことはそれも道に沿った奴だったはずだから完全に道が塞がれたことになる」
そのほかの道は道とは呼べない・・・人が進むには厳しい場所ばかりである・・・また魔元の森ほどではないが魔境と呼べるような場所だ。無理やり意向とすれば犠牲が出ることは間違いない。
「それならば海路ならばどうでしょう?」
そこでミリスが発言をした。
「そうね・・・それならどうかしら?」
〈無理だな・・・正確には汝たちが行くことが出来ないだが・・・〉
「それはどういうことですか?」
〈まずは海路となるとあのお方の領域になる普通の人間程度ならば許可はされるだろうがそれ以上の魂の力を持っているものとなればそうそう許されはしないだろう・・・〉
「許される?誰にでございますか」
エナが問う
〈・・・もちろん神獣だ・・・海域すべてを支配されている我々神獣の中でも特に強い力を持っている海龍の神獣レグラ様の領域だ。我はもちろんヴェスパーも遠く及ばない力を持っておられる・・・何せすでに5000年以上は生きておられる方だからな・・・だから海を渡るときにはレグラ様の許可が絶対に必要だ。特にプラナが高い物・・・神獣・・・そして汝らのように・・・特殊な兵器を持つものなどは特にな・・・そうでなければ確実に死ぬぞ・・・〉
「・・・聞いたことがありますわね・・・『力持つ者。海に挑むべからず、もし挑むならば海の王にただただ祈りをささげよ。』とただの伝説の類かと思いましたが・・・昔からグランベールは海路を好んで使ってませんでしたからね・・・使っていたとしても一定の力を持つ者は船には乗れないとなぜかそのような法があったので疑問に思っていましてけど・・・そのような理由があったのですね」
〈そして・・・今では許可をもらうことも難しい・・・〉
「それはどうしてなの?」
〈・・・レグラ様は狂ってしまわれた・・・海に出た一定の力あるものを無差別に襲うようになってしまったのだ・・・約1000年程前より〉
それを聞いたその場にいた者たちは息をのんだ。
「では海路は・・・」
〈ああ・・・ほぼ不可能だろう・・・完全なEXランクの神獣をしかもレグラ様が得意とする海の領域で戦って勝てる存在でもなければな・・・私も私の父から託されたことではあったが・・・今レグラ様を救って差し上げることが出来ていない・・・それどころかこの地に縛られる始末だ・・・可能性があるとすれば・・・〉
その先の言葉は語らない。ただその場にいた全員の頭に浮かんだのは一人の青年だ。
(今の段階では不可能だろうが・・・もしセファーが全力で振るえる武器があれば・・・あるいは)
それを考えたが否定するように首を振り
〈という訳だ。北方面で行く方法がない・・・まああやつの事だそのうちひょっこりと帰ってくるだろう・・・だからその時にゆっくり何があったかを聞かせてもらうとしようか〉
そうして話を終わらせた。
「そう・・・だったら知らせを待ちましょう・・・こちらからは妖精穴が塞がったら至急北方へ捜索を出すとして・・・妖精穴の発生も大体平均して長くとも、一月ほどだから・・・」
他の面々も納得はできないが仕方がないと考えるしかなかった。
(兄様・・・どうかいろいろな面で無事でいてくださいなの)
次は15時です。




