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蘇る覇王と10の竜器  作者: jun
第1章 覇王再臨
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公爵令嬢の朝は早い?

ヒロインその1の日常と


 公爵家令嬢リティア・レインバークの朝は早い。今年で6歳になる彼女は薄いピンクの長い髪、碧色の瞳を持つ美少女である。そんな彼女の朝は最近特に早い。くりくりとしたかわいい目をぱっちりと開き、お気に入りのぬいぐるみに挨拶をして。自分の母を起こしに行く。使用人たちはもう慣れたものなのか、ほほえましく孫でも見るかのように彼女を見送っている。初めは手伝おうとしたのだが本人から


「母様を起こして、覇王様の話をしてもらうのは自分の仕事なの!」


 ということを元気いっぱいに言われてしまい、あまりの可愛さに自分の主の睡眠を犠牲にしてでもいいかと思わせるくらいに、使用人たちにも溺愛されていた。


 リティアには父親はいない、もう5年も前に亡くなっている。しかし彼女には、綺麗で優しくて強い母に自分をかわいがってくれる使用人たちがいる。彼女たちに囲まれすくすくと育っている。

 そんな彼女は、最近母の持ってきてくれる覇王様の絵本が、特にお気に入りで毎朝と夜には必ず読んでもらっている。そんな今日も母に読んでもらおうと母の寝室のドアを開けた。



 公爵アリア・レインバーグの朝は早い。本来はまだ寝ていたいのだが。愛娘たるリティアに起こされるからである。

 彼女の家系は何故が女性しか生まれない。そのため彼女も彼女の母から公爵家を継いた。公爵をつぐまえには戦場をかけ竜器を操る女傑で、その美しさと強さから『剣の女神』と呼ばれるほどの一角の人物だ。

 そんな彼女も一人娘にはかなわない。仕事が多く、寝る時間もさほどとれていないアリアだが、特に最近、娘に覇王の物語を聞かせてからはさらに睡眠時間が減っている。どうやら自分の使用人たちもリティアの可愛さにやられ自分を犠牲にしているようである、全くけしからない。


「母様起きてください、覇王様のお話の時間なの!!」


 愛娘が厳しい。


「リティア~、お願いよ~あと5分だけ寝かせて」


「ダメなの、一分一秒たりとも無駄にはできないの」


 やはり愛娘が厳しい。6歳の娘とは思えない力で布団をはぎ取られた。流石は私の娘、6歳である程度プラナが運用できている、悲しいかなそれが私の布団をはぐことに使われていなければもっと嬉しいのだが。


「ううぅーわかったわよ起きる起きますから、引っ張らないで~」


 あくびをしつつアリアは起きた。すでに愛娘は本を持ちスタンバイ状態である。苦笑しつつも今日も一日忙しくも幸せな娘との生活が始まることを疑いもしなかった、この時は。





 リティアは機嫌よさそうに朝食をとっている。朝から2時間以上ぶっ続けで母に読ませた覇王物語は彼女の機嫌をこれでもかというくらい高めていた。横ではどこぞの公爵がテーブルに突っ伏していたがそれはどうでもいいことだ。リティアのこの後の予定は部屋で家庭教師による勉強、庭で剣の稽古があるが一日のエネルギーはすでに満タン状態だ。だから寂しくはない。本来は『剣の女神』たる母に剣を習うのが一番いいが母は忙しい。公爵たる母は領地の運営や近くのダンジョン『魔元の森』の結界の維持、近隣諸国へのにらみを利かせており昼間はめったに自分と顔を合わせられない。そのため朝と夜の時間はなるべく大好きな母と一緒にいたいが4割、もっと覇王様の話を聞きたいが6割くらいの割合でリティアは毎日過ごす。


「申し訳ございません、リティア様今日は妻が陣痛を起こしておりまして二人目が生まれそうなのです。そのため本日の剣の稽古はお休みさせていただきたく・・・えーと赤ちゃんが生まれそうなのです」


 途中首をこてんと倒し、わからなそうにしていたリティアに剣の師範は言い直した。


「うゅ?赤ちゃん?赤ちゃんが生まれるの?」


「はい公爵様には先ほどお伝えして許可をいただきました、そのため本日はお休みにさせてください」


「わかった、早く行ってあげて」


 半分わからなかったが、大事なことがあるというのは分かったリティアは、そういって師範を送り出した。



 暇だ、時間ができてしまった。昼ごはんまではまだ時間があるどうしようか・・・・・そうだ近くを探検しよう、覇王物語にも探検をする話が多い、自分も覇王様みたいに探検したい。そう思い彼女は行動する。

 冒険には危険が多い、そのため武器は必要だ。彼女はリティア用に作られた稽古用の木刀を手に取った、あと途中でお腹がすいては大変だ、厨房に向かい今日のおやつのビスケットを料理長にもらい鞄に入れてもらった。これで完璧だ。リティアはルンルン気分で普段母から立ち寄らないようにと言われている森のほうへ歩いていく。



その時のリティアは母に注意されていることがすっかりと頭から抜けていた。あまりに凶暴な魔物が多く人が入らないように結界を張ってある『魔元の森』そこに立ち寄らないことを。普通であれば通ることができない結界は、結界を管理しているレインバーグ公爵家の血筋のものに対しては無力である。つまりは知らないうちに小さな少女が立ち寄ってしまえば獣の群れに肉を投げ込むようなことと変わりはない。リティアは知らずに魔元の森に入って行ってしまった。

次回ようやく出会う二人は

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