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蘇る覇王と10の竜器  作者: jun
第1章 覇王再臨
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1000年後の森の中狼さんに出会った覇王

1000年後のここは?


「こうして覇王様は強大な魔物を倒し、人々を救いました。めでたしめでたし」


 話を終えた女性は本を閉じ、彼女と同じ髪色の小さな少女にやさしい笑みを浮かべそう話を終わらせた。


 話を聞いていた少女は目をキラキラとさせ


「母様、もう一回、もう一回お話をして」


とせがんでいる。


「え~とリティア?これで3回目なのだけれど、もう寝ない?お母さん眠たいのだけど。」


 冷や汗をかきながら薄ピンク色の髪を持った美しい女性は、自分そっくりな小さな少女に懇願した。

リティアと呼ばれた少女は首をぶんぶん横に振り


「だめ~まだねむくないの。覇王様のお話を聞かせて母様」


 再びキラキラした瞳で母親を見つめた。


(そんなきらきらした目で見ないで。この娘は本当に覇王様の話が好きすぎるわ)


 いろいろな話を聞かせてはいたが、少女のどこに刺さったのか覇王の話はいたくお気に入りのようで、ここ最近はそればかりをせがまれる。正直ほかの話ならばたくさんあるのだが、この覇王の話は極端に少ない、何せ1000年ほど前の物語であり、この国の前身の話であるそのため覇王本人の話は文献がほとんど残っていない。もう何度も同じ話を聞かせているが、娘は飽きた様子が見当たらない。そう思いながら都合5回目の話を聞かせたところで、ようやく娘がこっくりこっくりと船をこき始めた。


「ほら~リティアあんまり夜遅くに起きている悪い子は魔物に食べられちゃうわよ?」


「やーーー/////覇王様が助けてくれるの」


 女性は娘を抱き上げそっと額にキスをしてベットに寝かせた。ほどなくして娘が寝息を立て始める。女性はゆっくりと寝室のドアを閉めた。ドアを閉めてすぐに一瞬ではあるが西の森のほうが光を発したが母も娘も気が付くことはなかった。











 深く昏い森の中覇王ことセファー・ランベールは困っていた。


「どこだここ?勢いで来たが場所がわからん、、、それに」


 時間を超えたことによる何らかの影響は出ると思っていたが、これは予想外だ。思わず


「何じゃこりゃ~!!!」


 と叫んでしまっても仕方がないことである。体が縮んでいる。否、小さくなっている?声も高くなっており、まるで10歳に満たない少年のようになっている。服がぶかぶかだ。また2本の愛剣もなくなっている。仕方なく服をある程度やぶいて動きやすいようにしながら彼は考えた。


(参った、、、いや好都合か前の体は相当無茶な鍛え方をしたせいでガタが来ていたからな、効率よく鍛え直しができるか、問題はあいつが既に蘇っているかどうかというところか、それに)


「囲まれているな・・・」


 この森はどうやら普通の森ではないらしい、動物の気配がしない周りの植物も普通ではない。魔素が濃いのだ、自然と魔素を蓄えた生物魔物が発生する、今自分が囲まれている生物は間違いなく魔物だ。


(17、いや18匹群れを作っている犬型、狼型の魔物か)


 先ほど不覚にも叫んでしまったせいか、はたまた最初から彼らの縄張りだったのか、姿は見せずじりじりと包囲網を狭めている。セファーは落ちていた木の枝を2本そっとつかみヒュンと左右で振るった。


「まあ、ちょうどいい。この体でどれくらい動けるか試す機会だ・・・来い!!」


 声を張った瞬間正面から鋭い牙の口を開き狼型魔物が飛びかかってきた、狙いは喉だ。セファーは体を半回転させ木の枝で横殴りに迎撃した。およそ木の枝で発するような音ではないズドンという音とともに一体目の狼型魔物が消し飛んだ。すかさず次の2匹3匹目が同時に襲い掛かってくる、これを左右の枝をくるりくるりと回転させ吹き飛ばした。

一瞬のうちに3匹が絶命した。1匹目は枝がぶつかった瞬間爆発したように四散し消し飛んだ。2体目3体目もまるで鋭い刃物でズタズタにされたように切り裂かれて絶命している。本能が踏み込めば死ぬことを理解したのか、はたまた驚きのためか、魔物たちは動きを止めた。


「おっとっと。なるほどこんなもんか、大体わかった。どうしたもう終わりか?」


 足を一歩踏み出すと魔物たちは一歩下がった。


「ガヲオオン!!!」


 魔物の後方から一回り大きい個体が出てきて吠えてほかの個体を下がらせた。


「群れのボスってところか?いいぜ。、まだ試してないこともあるからな、かかってきな」


 両者は静かにゆっくりと互いの間合いを測っている。

いきなりボスが届くはずがない距離で口を開き


「ガアアアアッ!!」


 と叫ぶと風が起きた、セファーに向かって鋭い風の刃が迫ってくる。


「よっと!こらせ!」


 枝を振り風の刃すら迎撃した、目を凝らしてみるとわずかに枝が光を帯びている。


「風の魔法、魔法を使える変異種か、でもまあこんなもんか、プラナの使用感も試したし、決着つけようか?」


 今まで迎撃のみしていたセファーが構え踏み出した。ボスも一気に間合いを詰めた、先ほどよりも強力な風の刃を全方位囲むようにセファーに放つ、唯一刃がないところは自らの牙と爪でカバーしている。



円舞剣・残華(えんぶけん・ざんか)



 セファ-が放った斬撃は、両方の枝を回し最後にボスの空いていた胸の部分に交差させるように放たれた。かつて竜神を打倒した技と同じだった。あまりの威力にボスの後ろの木々まで倒れている。


「じゃあな、いい勝負だったぜ」


 ボス狼が倒れた、すでにあれほどいたほかの魔物は逃げている。少し顔をしかめながらセファーは握っていた枝を見る、ボロボロに崩れていた。


「まあ、プラナで強化したとはいえ枝だからな、もつわけがないか」


 プラナはいわゆる生命エネルギーである、一定の力量を持つこの世界の住人であれば自らを強化したり、武器を強化したり、特殊な攻撃を繰り出したりといったことに使用する力である。似た力に魔法などもあるが力の出所が違う。それはさておき10歳に満たない少年(中身20代後半)が発することのできるプラナの量、錬度ではなかった。


 魔物の魔石を回収しながら軽くため息をつく、自分が本気で力をふるえば一部の例外を除き名剣でも枝でも変わらずボロボロに崩れる、一部の例外である愛剣はどういうことか手元にない、武器探しがまた大変そうだと感じつつ昏い森を歩き始めた。











ヒロインその1微登場

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