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余命十五年のチート転生 〜クズから始まる異世界成長物語〜  作者: 三太華雄
第二章 ネロエルドラゴ編

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思惑

 ピエトロ達は客室に入ると、そのままカラクたちが座っていた椅子へと座る。

 するとそれを見計らったようにカトレアが素早く人数分の紅茶を出す。


「それで、何かわかったのか?」

「まあ、そんなに焦んないでよ。どうせ遅かろうが早かろうが言うことは一緒なんだから……」


 ネロが早速本題を聞いてくるがピエトロは出された紅茶を口に漱ぎ一度一息入れる。


「この紅茶、美味しいですね。」

「ありがとうございます、それはネロ様の大好物のガガリンゴを使用したアップルティーでございます。」


言葉を待つ三人に他所にピエトロはゆっくりと紅茶を味わう。

 そして全て飲み干すとカップをテーブルにそっと置き、そのままゆっくり口を開いた。


「……これはあくまで予想の範囲内だけど、もし僕の考えが正しければ当たっていたら少し厄介なことになるかもしれない。」


 先ほどよりも少し低くなった声色に言葉の重みを感じたエレナとエーテルが息をのむ。

ネロもピエトロの言葉に腕を組みながら少し険しい表情を見せた。

 あくまで予想と保険を入れているが、ピエトロの予想がどれだけ当たるかを知っているかだけに三人は間違いないと確信していた。


「じゃあ順を追って説明して行くよ、まず三人に聞くけど君達はホーセントドラゴンについてどこまで知ってる?」

「えっと、確か鉱石を食べて、食べた鉱石によって身体が変化するんだったよな?」

「うん、後、死ぬと体全体が全てその鉱石に変わってしまうの。」


 ネロとエレナがそれぞれ図鑑で得た知識や、実物を調べてわかったことを披露すると、ピエトロのその答えに対し頷く。


「うん、正解だね、ただそれでは少し足りないかな。」


 そう言うとピエトロが補足を説明していく。


「まず一つ、ホーセントドラゴンは鉱石を食べるが、主食ではない。ホーセントドラゴンの主食は主に鉱山の中にいる小型の魔獣や植物なんだ。鉱石を食べるのはあくまで自分の身を鉱石に変えるため、自己防衛のための習性みたいなものさ。」

「え⁉︎そうだったの!」


 初めて聞いたモンスターの豆知識にエレナは先ほど緊張を忘れ、自前の図鑑に聞いた補足を付け足す。


「ハハ、まあ、こんな知識本来は誰も必要としないから、図鑑にも載っていないから知らなくても仕方ないけどね。」

「んで?それがどうしたんだよ?」

「うん、そこで思い出してほしいんだけど、レイジさん達から鉱山の話を聞いた時、鉱山のモンスターに関してなんて言ってたか覚えてるかい?」


――モンスターについて……


 ネロが目を瞑り自分の記憶を辿っていく。


「えっと、確かドラゴンどころかモンスターも見ていないって……」

「あぁ⁉︎」


 記憶を辿るうちについ言葉が口に出ると、その言葉を聞いていたエレナが大きな声をあげて立ち上がる。


「どうやら気づいたみたいだね。そう、レイジさん達は鉱山でモンスターを一度も見ていないと言っていた。だから僕もあの場所の地質を調べてみたんだけど、あそこの土は死土、つまりあの場所で生物が生きるのは難しいんだ。つまりあの場所にホーセントドラゴンの食料となるものはない。だからあの鉱山でホーセントドラゴンがいたのはおかしいんだよ。」


 ピエトロの一言に三人の中に嫌な憶測がよぎる。


「……まさか、どこからか連れて来た?」

「……可能性は高いだろうね。ホーセントドラゴンは身体を鉱石化させるには一定量の鉱石を食べないといけないため、特徴の一つに一度食べた鉱石を探し出す習性がある。

恐らくゲルマは、アルカナが見つからないが故に、アルカナのカケラをホーセントドラゴンに食べさせて鉱山に放った。そして思惑通りドラゴンはアルカナを食べて鉱石化に成功した。しかしその結果、想像以上の強さになってしまい手に負えなくなったんだと思う。」


ピエトロの話に再びネロ達はゲルマに怒りを滾らせる。

ただピエトロの話はまだ終わらなかった。


「ただ、ここで一つ疑問がある。何故ゲルマはホーセントドラゴンなんて持っていたのか?そしてホーセントドラゴンの習性を知っていたのか?だ」

「ペットとして飼ってたんじゃねぇの?モンスターを捕まえて飼う悪趣味な貴族なら腐るほどいるぞ?」

「確かにそれなら習性くらい知っていてもおかしくないわね。」


ネロの考えにエーテルは賛同するが、ピエトロはその考えを真っ向から否定した。


「いや、実はこの件に関してはそれは無理なんだ。野生のホーセントドラゴンは、体が鉱石化するまでは外敵の届かない土の奥深くで過ごす。だから人が出くわすのはすでに鉱石を食べて体が鉱石化したものばかりだ、鉱石化前のドラゴンなんて捕らえるどころか見つけるのすら無理に等しい。」

「でも、それじゃあ一体どうやって……」

「まさか……作った?」


ポツリと呟いたエレナの一言にピエトロが頷く。


「恐らくね、鉱山にいたホーセントドラゴンは養殖だ。ただホーセントドラゴンの養殖なんて幾らゲルマであろうとできないだろう、よほどモンスターの生態に詳しく日頃から研究している者じゃないとね。」


その言葉にネロ達は全員が同じ結論へとたどり着く。

モンスターの研究している者、それに関してここにいる全員が知っている。三ヶ月間の旅の中で出会った、ゲルマとは違うもう一つの大貴族の存在を……


「それって……まさか……」

「ああ……恐らくゲルマとブルーノは繋がっている……」




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