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余命十五年のチート転生 〜クズから始まる異世界成長物語〜  作者: 三太華雄
第二章 ネロエルドラゴ編

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自信

「んだと⁉てめぇ!もういっぺん――」


ポカッ!


「失礼しましたー」


――

「やっぱりみんな難しそうだね。」

「クソッ、どいつもこいつも舐めやがって」

 

 ネロが先ほどのやり取りを思い出し、苛立ちながら言葉を吐き捨てる。

 アレからネロは酒場に戻り、いくつかの冒険者に声をかけるも皆、先程の一件を知っており、誰もネロと組もうとしなかった。

 グリフォン討伐という今町で、一番危険な任務に対し、ネロのレベルゼロというレッテルを加え、更に子供というのが、主な理由だった。


「仕方ないわ、他の人からしてみれば命の危険だもの。せめてネロの実力を証明できたらねぇ」


 そう言われるとネロは舌打ちをする。

 いっそのこと、ここで暴れて実力を証明したいところだが、そんなことして、問題になったら連れ戻されてしまう。実力を見せる機会もなく、ネロは再び溜まった鬱憤を吐き出すように大きく息を吐いた。


「……で、それはそうと、さっきから後ろでこそこそしている奴はなんなんだ?」

「え?」


 ネロが後ろに、問いかけるとエレナもそちらに顔を向ける。


「そんな下手くそな気配の消し方で隠れられてると思っているのか?」


 下手くそという言葉がが効いたのか、物影に身を潜めていた、冒険者とみられる一人の青年が観念したようにゆっくりと姿を現わした。


「ハハハ、下手くそとは中々手厳しいな。」

「誰だ?俺がレベルゼロと聞いて襲いにでも来たのか?」


 ネロが鋭く睨み殺気を出すと、青年は慌てて両手を上げて敵意がないことを示す。


「待て待て、別に俺は怪しいものじゃない。俺の名はザック、一応Cランクの冒険者でお前たちの事をリグレットに紹介されたんだ。」


――Cランク?


 ランクを聞いたネロが疑問を覚える。

 冒険者のモンスターを討伐のセオリーとしては、基本相手のスキを窺い、油断しているところを集団で一気に畳みかけるのが基本だ。

 なので冒険者は隠れる技術や気配を消すことが必須になる。強い冒険者ほど気配を消すのが上手く、Cランクともなれば駆け出しが多いこの町じゃ上位の冒険者だが、先程の気配の消し方は子供のかくれんぼレベルで、とてもそうは思えなかった。


 とりあえず敵意はないのは確かなのでネロは一度殺気をしまい、それを感じたザックもホッと胸を撫でおろした。


「ったく……荒っぽいとは聞いていたがいきなりなんつう殺気出しやがるんだ」

「で?何の用だ?」


 愚痴るザックをよそにネロがめんどくさそうに対応する。


「ああ、俺は今、例のグリフォン討伐のためのパーティーを集めているところなんだが、さっきリグレットに俺と同じようにグリフォンの討伐パーティーを探しているっていう、お前達のことを紹介されてな、少し実力を見るために様子を見させてもらってたのさ」


 少し上から目線なのが気になったが、ちょうどこちらもお手上げ状態だったので、そこは気にせず、話を進めた。


「で?どうなんだ?実力とやらはわかったのか?」

「……はっきり言ってわからん。」

「だろうな。」


 そう言って話が切り上げ、立ち去ろうとするネロをザックが慌てて引き留める。


「待て待て、別にパーティーに誘わないとは言ってないだろ?」

「なんだよ……」


 ネロが少し眉をひそめて不機嫌になる。


「はっきり言って俺はすぐにでもあの化け物を討伐したいと思っている、だが俺自身腕がいいわけではなく、奴には到底かなわないし、メンバーも揃わないのが現状だ。だから奴を倒せるというならたとえレベルゼロでも構わない。それでお前に聞きたい、奴を倒せるのか?」

「倒せる」


 まるで当たり前のように即答したネロにザックは思わず言葉を詰まらせる。

 先程より少し真面目な表情で怒り気味にザックが問いかける、



「な、なんで相手の強さ、特徴、技、何の情報を知らないお前がどうしてあのグリフォンを倒せると言い切れるんだ?相手はただのグリフォンじゃないんだぞ?」


  その問いはまるで酒場で二人の男に言ったネロの質問の返しのようにも聞こえた。

 だがネロはその問いに対し鼻で笑う。


「愚問だな、俺は別に油断しているわけじゃない、ただどれだけ向こうが強かろうが俺の方が強いと思っているだけだ、俺は全世界を敵に回しても負けるつもりわない。」


 そう言い切ったネロに、ザックは驚きを隠せずにいた。


「……なるほど、そこまで言うなら、是非グリフォン討伐のパーティーに加わってほしい。」

「あの……ところで、報酬の分配はどうしますか?」


 真剣な話に水を差すようで申し訳なさそうに話に割って入ってきたエレナが質問する、しかしこれは聞いておかないと後々面倒になるので必須の質問でもある。


「最低七:三な」

「なかなか傲慢だな、報酬なら全部お前たちにくれてやるよ」

「え?いいんですか?」

「構わない、俺はただ奴を倒したいだけだからな、その代わり俺は一切戦わない、それでいいなら」

「最高の条件だな」

 

 ネロがにやりと笑うとそれが交渉成立の合図となり、互いに握手を交わした。

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