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余命十五年のチート転生 〜クズから始まる異世界成長物語〜  作者: 三太華雄
第二章 ネロエルドラゴ編

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ネロ、リンスVSバルオルグス

 ネロとリンスがバルオルグスの背中を駆け抜け頭部へと向かう。

 背中には鋭い背びれや、巨大な翼といった障害物もあり余りスピードは出すことができない。


 ネロは進むついでに背中に何度か攻撃を試みる。

 バルオルグスは傷つきもしないが、それと同時にまるで本当の山であるかの様に動くこともない。


「……こいつ本当に生きてるのか?もしかして封印が上手く解けなかったんじゃ。」

「わからない。基本バルオルグスの動きは鈍いけどここまで動かないのも不自然、でも油断は禁物。」


 リンスが周囲を警戒しながら告げると、ネロも一応周囲に眼をやりながら進む。

 そして何事も起こらないまま二人が進んでいると、目の前にバルオルグスの二つの頭部へと繋がる首が見えてきた。


「あれが首だな。」


 目的地が見え始めると進行速度を上げる。

 しかし近づいた途端今まで一切の動きを見せなかったバルオルグスが身体を震わせながら大きな咆哮を上げた。


「うわ、なんだ!」


 周りの大気をも震わす咆哮に二人は思わず立ち止まり耳を塞ぐ。

 すると、バルオルグスは大陸が続く方向へゆっくりと転換し始めた。


「バルオルグスが動き始めた?」

「ハハハハハ、どうだ、驚いたか?」

 

動き出すバルオルグスに茫然としているとすぐそばから声が聞こえてくる。


「あ、てめぇは⁉」


その方向に目を向けると、そこにはバルオルグスの体に入り込んだ鎖を腕に巻いたテリアの姿があった。


「テリア・ブルーノ」

「ピエトロの兄の豚野郎!」

「ハハハ、相変わらず無礼な奴だな、だがそういう奴ほど壊しがいがある。」


睨む二人に対してテリアは笑う。


「ちょうど今バルオルグスの心臓をこの鎖に繋いだところだ、これでバルオルグスの身体の主導権は俺に渡った。つまり、これでバルオルグスは俺の意のままだ!」


テリアがそう言って腕に巻いた鎖を引っ張ると、バルオルグスの体から大量の悪魔の姿をしたモンスターが出現する。


「なんだこいつら?」

「カオスデーモン、レベルは決して高くはないけどこの数は厄介よ。」


ネロが拳で、リンスは魔法を唱え、出現したモンスターを一掃する。

しかし、モンスターは次々と現れる。


「クッ、次から次に――」

「なんでモンスターからモンスターが出てくるんだよ」

「カオスデーモンはバルオルグスが捕食したモンスターよ。バルオルグスは元々魔界にいたモンスターだから魔界にいたモンスターを取り込んでいるのよ。」

「ほう、流石一度バルオルグスと戦ったことがあるだけあってだけあって詳しいな。」

「な⁉どうしてその事を」


 まだリグレット達にしか話していない過去の事を言われ、驚き眼を見開くリンスにテリアが悠々とその理由を語る。


「古代の文書に書かれていた戦いの記録を見ればすぐにわかる事さ。かつてバルオルグスを封印したのは英雄マルシェド・ジーザスを筆頭に四人、精霊使いのアンナ・レスト、ドワーフのギード、そしてアンナの義理の妹である魔法使いのリンス・レスト。同じ名前の人間などなど珍しくもないが、その英雄の子孫のパーティーに同じ名前の魔法使いがいるなら少しは考えるものだ、そして貴様の素性も調べてみれば出身地や生年月日と言った記録がほとんどが謎だらけ。ならば同一人物と推測するのも普通だろう。」

「こいつ……」


 まるでピエトロのような推測をするテリアにネロはここで初めてテリアを危険人物だと警戒する。

 ピエトロの知能の凄さをネロは嫌と言うほど知っている。

 そしてテリアにもそれと同等の能力があり、それがこの怪物を操るとなると、相当な厄介な相手となる。


「さて、では懐かしのバルオルグスを実力を味わってもらおうか。」


 テリアがバルオルグスに取り込まれるように体に沈んでいくと、バルオルグスはゆっくりと立ち上がりダルタリアンの方へと動き出す。


「させるか!」


ネロがその場で高く飛びあがる。


「喰らえ!月落兎蹴!」

「あれは、ロールの……」


空中で回転し、勢いよく落下するとそのままネロの足がバルオルグスの右側の頭に直撃する。


――お、初めて決まった!


成功し、思わず笑みを浮かべる。

しかし……


「な⁉」


 頭に攻撃を受けるもバルオルグスは全く通じた様子もなく、そのままネロを上空にはじき返す。

ネロはそのまま地面へと着地する。


「こいつもしかして、物理攻撃が効かないのか?」


前回は竜殺しの剣と言う武器(・・)で倒したから物理は聞くと考えていたが先ほどの攻撃を受けてもビクともしないとなると流石に考えを改める。


――しかしなら何故?剣で倒せたんだ?竜殺しの剣に細工があったのか?でもそれなら、リンスが知っているはずだ。


一度動きを止め考えるが答えは出ない。次の行動に迷っていると、今度はリンスが上空に巨大な魔法の剣を作り出していた。


「シャインブレイド!」


巨大な剣がそのままもう片方の頭に直撃する。


「おお、これが超級魔法!」


初めて見た超級魔法にネロは思わず興奮する。


「まだまだこれから!私だって、この数百年遊んできたわけじゃない!」


リンスの眼に時計のような紋章が映ると、再び呪文を唱える。


「かの者に永久(とこしえ)の裁きを!ジャッジメントタイム!」


リンスが魔法を唱えると、先程落下したシャインブレイドが攻撃痕をそのままに、時が戻るように上空に浮かびあがり、再び落下する。そしてそれが何度も繰り返される。


「……すげえ。」


ネロは思わずその光景に見惚れる。

魔法があまり使えないネロにとってはどれだけ強くなろうとも魔法は憧れ要素の一つ。

そしてリンスの魔法は数ある魔法の中でもトップクラスの魔法である。


――これは、倒したんじゃないか?


ネロがそんな期待をしながらリンスの攻撃を下から眺める。

リンスも手ごたえを感じたのか一度攻撃の手を止めバルオルグスの様子を窺った。


……しかし


「ブオオオオオオオオオ!」


バルオルグスは再び咆哮を上げると何事もなかったような様子でゆっくりと動き出す。


「そんな、嘘……」


自分の数百年の成果ともいえる魔法が全く通じていないことを知るとリンスは攻撃痕を見ながら立ち尽くす。


「魔法が効かない?でもあの時は通じていた、でもそれは物理も一緒で……」


攻撃が通じなかったショックでリンスが呆けていると背後にいる新しく出現したカオスデーモンに気づかずにいた。


「グシャアアア!」

「しまった⁉」


醜い声に我に返ると、すでに時遅くリンスは攻撃を受けそのまま地上へと落下する。


「きゃああああ!」

「危ない!」


間一髪のところでネロがリンスを受け止める。


「大丈夫か?」

「うん、あ、ありがとう。」


柄にもなく悲鳴を上げた事や抱きかかえられたことでリンスの頬が少し赤くなるが、首を振って気を取り直すとリンスとネロは改めてバルオルグスを見る。


「おい、アレどうなってんだ?物理も魔法も効いてなかったぞ?」

「わからない、前回は問題なく効いていた」

「でも前回はって言っても今まで封印されてたんだろ?その間に何かあったとは考えられないだろ。」

「うん、だから一度調べてみないと。」

「調べるつっても、あんな巨体にサーチの魔法は使えるのか?」

「多分無理。」

「ならどうやって……」

「大丈夫。」


それだけ言うと、リンスは呪文を唱え始める。


「ゴッドビジョン」


 魔法発動と共に上空に巨大な眼が現れると、その眼はリンスの眼とリンクし、バルオルグスの巨体を視界に入れる。


「すげえ……これも超級かよ。」


ネロが感嘆の声を漏らしながら巨大な眼を眺める。

リンスはそのまま解析をしたことを口にする。


「バルオルグス、ドラゴン種、レベル二七〇〇……」


リンスが一つずつステータスを読み上げるが、その圧倒的なステータス数値を口にするたびに額に汗が溜まっていく。そして……


「スキル……物理攻撃……無効、魔法攻撃……無効」

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