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余命十五年のチート転生 〜クズから始まる異世界成長物語〜  作者: 三太華雄
第二章 ネロエルドラゴ編

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マナの活性化

「なに……これ」


リグレットが目の前の光景を見てつぶやく。

割れた卵からは膨大な魔力が溢れ出て、そのまま魔力の柱となって洞窟の天井を突き抜ける。


「ハハハハ!これが魔竜王バルオルグスの魔力か!予想以上ではないか!マナの感覚に疎い人間()ですら見えるほどの魔力!素晴らしいぞ!」


 テリアは洞窟に響くほどの高笑いをしながら外へと飛び出す魔力を見上げる。


「フフフ、これなら十分使えるだろう。」


テリアが懐から出した小さな袋に手を入れると、中からその袋よりはるかに大きい強烈な光を放つハンマーを取り出す。


「それは……ソウルハンマー?」

「そうだ、ソウルハンマーは鍛冶スキルのない人間(俺ら)でも低レベルのアイテムなら作れるレアアイテム。だが見ろ!今はこのバルオルグスの魔力の影響を受け力が活性化されパワーアップしている。今の状態ならこの俺でもバルオルグスを制御する鎖が作れるだろうよ!」

「まさかそこまで……」

「もちろん計算済みさ!そしてさらに面白い事を教えてやろうか?このバルオルグスの力の影響を受けているのはここだけじゃない、周囲にも影響が出ているだろうさ」

「……まさか⁉」


テリアの言葉にピエトロが目を見開き声をあげる、その反応を見たテリアは満足そうにニヤリと笑うと呟くように言った。


「ああ、ダルタリアンは今、俺好みの最高に絶望的な街になっているだろうよ。」


――


――ダルタリアン


「ふむ、同じランク同士、少しは楽しめると思っていたのだが思った以上に差があったようだな。」


オーマ卿のリーダー、ヘルメスが目の前の光景に顎を触りながら呟く。

目の前には戦闘を繰り広げていたナイツオブアーク達がいるが、今立っているのはリーダーのポールを含めた三人、金の騎士と銀の騎士のみ、更に銀の騎士においては右腕を失っていた。


「クソッ、やっぱり黒が抜けたのが大きかったか」

「いや、それだけじゃない、悔しいがオーマ卿が強すぎるんだ。」


 第三階級の魔力を持つものと警戒はしていたがまさかここまでとはポールも思ってはいなかった。

 自分達だって弱くはない自覚はあった。特に金と銀は互いに攻撃と防御に関しては英雄レベルに匹敵するレベルでそこに自分のスキルの力があればオーマ卿とだって十分に渡り合えると考えていた。

しかし、結果はオーマ族の使う暗黒魔法の前には文字どおり手も足も出なかった。


「さて、ではそろそろ止めを刺させてもらおう……」


ヘルメスが手から黒い炎を発っしながら燃やす対象を数える、するとふと異変に気づく。


――……八人しかいない?ここにいたナイツアブアークのメンバーは確か全員で九人のはず。


 ヘルメスが視線だけを動かし辺りを見渡す、すると後ろから突如声がかけられる。


「オーマ卿殿!」

「ん?」

「今だ!」

「む⁉」


声をかけられたヘルメスが一瞬の隙を見せると、ポールはそれを見逃さずスキルを発動させる。

するとその場からナイツアブアークの面々が一斉に姿を消した。


「……成程、一人姿が見えないと思ったら、離脱していたのですね……こざかしい。で?何用ですかな」


 後ろから声をかけてきたゲルマの兵士に少し不機嫌に気味に尋ねる。


「お取込み中、申し訳ございません。ですがどうしてもあなた方のお力をお借りしたくて。」

「何かあったのですか?」

「はい、今この街に外から活発化したモンスターが押し寄せてきているのです。」

「ほう……」


兵士からの報告に少し興味を示す。


「それだけではありません、街の商品として売られていた人間たちも魔物化して街に来ている貴族達に次々と襲い掛かっているのです。」

「成程、わかりました。すぐに向かいましょう。」


 報告を終えた兵士が下がるのを見計らうとヘルメスは他のメンバーの方を向く。


「さて、聞いたな諸君?どうやら我らが主の計画は最終フェイズまで行ったようだ、では我々も次の場所へ向かうとしよう。」


――


――ゲルマ邸


「嫌あぁぁぁぁぁぁぁ⁉」


 部屋中に響き渡る奇声を上げながらメリルが頭を抱えて倒れ込む。


「痛い痛い痛い痛い痛い!頭が痛い」

「メリルさん⁉どうしたの?メリルさん⁉」


 突如叫びながらもがき苦しむメリルにエレナが動揺を見せる。


「何が、何が起こっているの⁉」


 どうすれば分からず、あたふたとうろたえるエレナに、血相を変えたエーテルが姿を見せる。


「不味いわエレナ!理由はわからないけど周りのマナが突如活性化し始めてるわ!」

「ど、どう言うこと?」

「この地域周辺のマナが増幅しているのよ!マナの濃度は魔力や力の根源に大きく影響するわ!今、メリルの中に溜まっていた負の力がこのマナに当てられ騒ぎ立ててるの!このままじゃ、メリルの魔物化が進んでしまうわ!」

「そんな!どうすれば……」

「わからない、とりあえずこのマナをなんとかしないといけないわ、私ができるだけマナを抑えてみるからエレナも手伝って。」

「わかったわ、待っててメリルさん。絶対助けるから。」


 エーテルの指示に従い、エレナが魔法を唱え始める。


「なに、これ……たくさんの痛みや苦しみが頭の中に流れ込んでくる……これは私が殺してきた娘の……」


 床に倒れ込むメリルの髪は少しずつ、生き物のように自我を持ち動き始めていた。


――


「おい、なんだあれは?」

「さ、さあ?」


 ヘクタスから送られてくる飛竜に乗った帝国の増援部隊が上空から地上から放たれる光の柱を指差す。

 光の柱は飛竜が飛ぶ同等の高さまで伸び続けるとそこから煙のように広がっていた。

そして、それは徐々に巨大なモンスターのような形へと変わり始めていく……。

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