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外出:クロト ルート1 バンドマン
「ようよう姉ちゃん!」
「うちの店で働かねえか?」
外出したら長身の美人がチンピラからまれているのに遭遇した。
「おまわりさーん!ひったくりがでたー!」
私が影にかくれてから叫ぶと、チンピラはさっさとその場を離れた。
「……ありがとう」
ながい黒髪に紫の服、目元はゴシック感じの濃いアイメイク。
想像より声が低いというか、ピンときてしまった。
「あなたもしかして……」
「……」
顔には出ていないがおし黙る。聞かれたくなかったのだろう。
「違ったら失礼ですけどオネエさんですか?」
「……え、ああ男だけど」
あれもしかして聞かれると思ったのは別のことだった?
「なぜかはわからないんですけど明るくてなんだか元気がもらえるんですよ」
片想いしているハトコの影響か、いつの頃からかオネェやニューハーフなどそういう人に惹かれてしまうようになった。
「明るい笑顔の裏には悲しい過去があり……それはまるで悲しくても涙を流せないピエロのようね」
オカマさんには珍しい中性的でミステリアスな人。
化粧が黒い理由をきいてみると昔はビジュアル系バンドをやっていたかららしい。