みどりの声
窓の外に、一面の声。
世界は、喜びに満ち溢れているのか。
それとも、僕には聞き取れないくらいに早口で。
呪いの言葉を叫んでいるのか。
小さな小さな、その口から。
遠くまで伸びる、その舌で。
まるで飛び回る虫を掴むように。
黒ずんだ目。
白く弛んだ体。
道端にその肢体を投げ出しては、誰もが見下ろすこともなく、足をあげ。
越えていくことを知っていて。
それでも、毎夜のこと、声をあげる。
眠れなくなるくらいの大合唱。
口をそろえて言う言葉は。
明日の天気は、雨。
それは、希望的観測。
小さな口で、声を出しても。
全てが叶うわけじゃない。
実家の方は、それこそ眠れなくなるくらい。
昨日、何年振りかにその合唱を聞いた。