表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

31/51

31.ヒロイン、勉強会の後に

2015/07/16、二話連続投稿をさせていただきました。

前話からお読みいただくことをお勧めいたします。

「鈴蘭〜」

「鈴ちゃん」

「姫百合さん?」

「ああ、うん大丈夫よ。ちょっと頭の中で数字やらルートやらが飛び交ってるだけ…」


そこらへんのベンチに座りたいけど耐えてます。

それはまぁ、置いておいて。

もう時間は17時。電車の人もいるのでお開きにしようということになり、もう校門の前まで来ちゃってます。ここで問題。天野さんと、いつ…話そうか。

今は無理だ。みんなもいるし。帰り道?でも方向が違うんだよね…。


「姫百合さん、疲れた?眉間にシワが寄ってるよ」

「え、うそ。疲れてるは疲れてるけど、ちょっと考え事を…」

「僕、チョコ持ってるけどいる?」

「貰っていい?ありがと、熊谷君」


口にチョコを含みながら考える。やっぱり引き止めてそこらへんで話すしかないのかな。そこまで長引かないと思うし。

ああ、チョコ美味しい。体に染み渡るね。ていうかなんで熊谷君チョコなんか持ってるんだろう。あ、休憩時間にコンビニ行ってたからその時に買ったのかな?


…視線を感じてふと周りを見ると、熊谷君以外のみんなが私を見てた。え、なんでしょうか…?


「鈴蘭、成長したわね…」

「偉いです、鈴ちゃん!この調子で克服、頑張りましょう!」

「信也。お前これ…」

「ん?なに」

「女ともだ…」

「飯島くん!なに熊谷くんのやる気を削ぐようなこと言おうとしてるんですか!デリカシー!」

「いや、だってこれ男として見られてないだろ」

「うっさいですよ!いいじゃないですか!女友達でも!前進ですよ!」

「吉崎、お前…」

「え?なに笑って…」

「うん、いや大丈夫。薄々気づいてたから。大丈夫」

「あっ…。ご、ごめんなさい熊谷くん…」

「茉里、とりあえず落ち着きなさい」


なんだこれ。いや、まって。これ、チャンスなんじゃないですか?天野さん、なんかジーとこっち見てるだけだし、今ならみんなにも気付かれない。


「あ!私、忘れ物したから一回戻るね。ということで天野さん、一緒にきて」

「え、えぇ?どうしたのぉ、姫百合さん?」


騒いでる4人には聞こえてないかもしれないけど、別にいい。後で、どこ行ってたの、って聞かれた時の言い訳用だから。

図書室の裏らへん。いかにも忘れ去られてしまってるようなベンチを見つけたので、そこに腰掛け、天野さんにも腰掛けるよう勧める。


「姫百合さん、忘れ物はぁ?」

「あ、ごめんなさい。あれ、嘘なの。天野さんと少し話したくて」

「え、なにぃ?あ、やっぱり王子のこと好きだって気がついたぁ?」

「…ごめんなさい。全く関係ないわ」


なぜそうなる。じゃなくて。

息をたっぷりと吸い込み、長く吐く。─── よし。


「天野さん」

「なぁに?」

「私は正直 ─── あなたを信じきれていない」

「…え」


表情が固まった。

慎重に、慎重に話さなければならない。


「私は人を簡単には信用できないの。嫌な女でしょう?」

「…そんなこと」

「今日、謝罪してくれた時に一番最初に思ったことが『私を嵌めようとしているかもしれない』よ。どう思う?」

「…」


私は天野 舞の目をじっと見つめる。天野さんは目をそらさない。動揺はしているけど、後ろめたいだとか罪悪感だとかは感じられない、か。


「私の内面はグチャグチャでドロドロ。貴女はそんな私と友達になりたい?」


作られて嘘で固められた言葉なら、いらない。切り捨てる。それが私のやり方(生き方)

─── だけど返ってきたのは、完全に予想外の言葉だった。


「…なんだか、姫百合さんってバカなのかなぁ、って思ったぁ」

「え!?」


バカ…だと!?


「あ、違うのぉ。馬鹿にしてるとかじゃなくてぇ。なんて言うんだろぅ。」

「いや、完全に馬鹿にしてるわよね?」

「姫百合さんは自分のこと、嫌な女だと思う?」


…そんなの


「それ以外に何がある?」


私は。すっっっごく真面目に答えたのに。…一拍おいて、ケラケラと笑われてしまった。


「謙遜とかじゃなくて、本心からそう思ってそうなところがすごいなぁ。姫百合さん、本当に嫌な女は馬鹿正直に『信じきれない』とか言わないよぉ。…じゃあ、わたしは姫百合さんに少しでも信じてもらえるように頑張るねぇ」

「─── ええ。楽しみにしてるわ、天野さん。信じられる時まで、私たちは知り合い(・・・・)ね」


謝罪は、言わない。弱みは、見せない。…いや、もう本当は信じかけちゃってるんだけど。これも演技って可能性も…なきにしもあらず…だから…?


「じゃあ、戻ろっかぁ」

「ええ。そうね」


漫画の天野 舞は捨てて天野さんを、見よう。



・・・・◇・・・・



「疲れた…」


ボフッと愛しのベッドちゃんに倒れこむ。

なんだかすごく長い1日だった。眠いよ。寝ちゃおうかな。

あ、髪乾かしてないや。勉強もしないと。朝で…いいかな。まだ…9時…だけど。おやすみなさ ───


「…?メッセージ?」


ケータイが鳴り、まどろみの中から引き起こされた。

今まさに寝ようとしたところなのになぁ。誰だろう。9時だし、そこまで非常識な時間じゃないけども…。


「…ハァ!?」


表示されている文字は。

『熊谷 信也です。姫百合さん、いま時間大丈夫?』

この、二文。だけど私を眠気から覚ますには十分な衝撃だった。

なぜ。なぜ。熊谷君が私の連絡先を知ってるんだ!?


本日もありがとうございました!

天野さんとの展開はわりと皆様の予想通りだったでしょうか?

分かりにくいところや、急展開すぎてついていけない、等ありましたらご指摘していただけると嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ