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3.ヒロイン、お昼ご飯で現実逃避☆

男が大っ嫌い。

それが私の本音。私は、『男は災いのもと』と考えている。

女の先輩方が、イジメてきた理由。私への嫉妬。女を狂わせるのは、いつだって男。前世でも今世でも、それは変わらないと思う。私だって前世で親友と───

(ん?)

前世で親友と…なんだっけ?思い出そうとすると、頭の奥がズキズキと痛くなる。

(思い出すなってこと?)

分からない。でも、頭が割れるように痛くなっていく。私が考えるのを放棄すると、痛みは自然に治まっていった。

そんな時だった。


「…ッッ!」


ドアの向こうから笑いを押し殺したような声。

何?…いや、この声は…

「…入りなさいよ、雷兎。」

ガチャ

予想通り、笑いをこらえながら遠慮をせずに入ってきたのは、我が弟、雷兎だった。

長年違和感を覚えていたハチミツ色の髪も、原因が分かった今では、すんなりと受け入れられる。でも、なんで笑っているんだろう?(今、どっちかっていうとシリアスな感じだよね?)

「姉さん、何ですか?『男が大っ嫌いだ』って。今まで、そんなそぶり、見せなかったでしょう?」

笑いながらそんなことを言う雷兎。

あ、そういうことか。全部聞かれていたのね…。恥ずかしい…

「いや、ちょっとね。アニメのセリフを真似しただけよ?」

「そんな訳ないでしょう。アニメなんか見ないじゃないですか。」

一刀両断である。でも確かに失敗した。前世の私は漫画、アニメ、大好きっ子だったけど、今世では漫画はともかくアニメはまったく見ない。あ〜、混乱する!

「あ…はは。で用事は?」

誤魔化し笑いを浮かべておく。相当怪しかったのか、しばらく胡散臭いものを見る眼を向けてきたけど。

「さっき、髪切ってもらった後、メチャクチャ怪しい動きをして部屋に帰って行ったじゃないですか?だから独り言を盗み聞きしてたんですよ。」

しれっととんでもない事を言う我が弟。そんな子に育てた覚えはない。

「独り言なんか言ってないわよ。怪しい動きもしてないし。」

私はぶーと頬を膨らまして、不満を表してみた。独り言なんか言ってない!…はず。

「はいはい、そうですね。後1日で入学なのに、大丈夫なんですか?頭でも打ちましたか?」

…相変わらず捻くれてるなあ。

これは、雷兎なりに心配してくれてる。分かりにくいけど。

「─── 雷兎。」

「なんですか?」

「ありがとう。」

「…」

雷兎の顔が赤くなった気がした。可愛い子だ。



その後私は、

『私は大丈夫だから、帰った帰った!心配してくれてありがとう!』

『心配なんてしてませんよ』

『はいはい、そうね。』

なんてやりとりをしてから、雷兎を部屋から追い出した。まだ考えたいことがあったから。

実を言うと私は、雷兎が───前世の記憶を取り戻してから、雷兎が怖くなっていた。今世の私には、雷兎と過ごした7年間があったのに。ごめんね、雷兎。

今、雷兎と話して改めて分かった。

この子は、あの、私がイジメられる原因を作った男とは違う。ちょっと捻くれてるけど優しい子だ。

雷兎を恐れることはない。もちろんトラウマは消えないけれど。


そして、雷兎の言葉で軽く衝撃を受けた。『後1日で入学なのに───』。

そうだよ、後1日で入学だよ、なんで忘れてたんだよ、私!!!

中学校入学の(主に心の)準備期間、明日しかないじゃん!どうすんだよ!

あ、頭が痛い…。もうやだよ〜…


コンコン

「鈴蘭、お昼ご飯ができたわよ。部屋にこもっているけど、大丈夫?」


ノックの音と共にお母さんの声がした。

もうそんな時間か〜。部屋に飾ってある、文字盤と針が可愛らしくデザインしてある時計を見ると、午後12時40分を指していた。考え込んでいたからか、時が経つのが早い。


「大丈夫!今行きます!」


学校のことを考えるのは、ご飯食べてからでいいよね!

え?決して現実逃避じゃありませんよ?


読んで下さり、ありがとうございます!(o^^o)

今回、男の方をご不快にしてしまう文が入っているかもしれません。あくまで物語の中の『鈴蘭』の考え方ですので、現実と物語はちがいます。

もしご不快になった方がいましたら、申し訳ありませんでした。

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