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13.ヒロイン、ガールズトーク(?)です

閑話的な話です。

「アーツーイ!なんで毎日毎日こんなに暑いのですか⁉︎」

「ハイハイ、茉里よ、落ち着け」

「茉里ちゃん、太陽を睨みつけても暑いだけだよ…」


夏休み。

花火にプール、夏祭り。私達、学生にとっては楽しみが盛りだくさんの天国…


「もうチョットで家に着くから。それともそこら辺で勉強する?」

「嫌ですよ!昨日はカフェ、一昨日は図書館、だったじゃありませんか。小菊ちゃんの家に行くのを楽しみに今日まで勉強してきたんですよ!」

「夏休みに遊びに行かないで勉強って…。枯れてるわよね、あたし達…」


などではなく、夏休み明けのテストに怯え、今日も昨日も朝からみんなで集まり勉強の日々。夏休みに入り、早1週間。まだ花火もプールもできていない…。

枯れている日々を悲しんでいると小菊の家に着いたようだった。


「よし、着いたよ!ここがあたしの家です!」

「「おお〜!」」


か、可愛い!

薄い水色の壁に、灰色の屋根の一戸建て。屋根付きウッドデッキには白いテーブルと椅子が置いてある。


「ウッドデッキがあるんですか…?」

「テラスみたいだねえ。」

「後で出てみる?とにかく入ろう。暑い〜」


緊張する。今世では友達の家なんて行った事から。


「誰も居ないと思うからラクにしていいよ〜」

「「おじゃまします!」」


ヒンヤリとした、冷房で調節した空気が体に染み渡る。ああ、気持ちいい!


小菊の部屋に通してもらった。友達の部屋!!!

クリーム色のシンプルな部屋。勉強道具はギッシリと詰まっているんだけど、どこか殺風景な感じがする…。

そんなことを考えていると飲み物を取りに行っていた小菊が帰ってきた。


「お待たせ!はい、お茶。軽食も持ってきたよ。じゃあ勉強するか…」

「小菊ちゃん、その前にガールズトークしましょう!」

「え、茉里ちゃん、勉強は?それにガールズトークっていつも話してる話題とかと何が違うの?」

「鈴ちゃん!甘いです!ガールズトークといえば恋バナ!わたし達、あんまりそういう話になったことがないので、してみたかったんです!勉強なんて後!夏休みを満喫しましょう」


茉里ちゃんの瞳がキラキラと輝いている。恋バナなんてやった事ないし、提供できるネタもないんだけどな…。


「ねえ、いいでしょう?」


…瞳をウルウルさせてコッチを見つめる茉里ちゃんは小悪魔だと思う。


「…いいよ」

「小菊ちゃんは?」

「…いいけど、ある程度話したら勉強だからね?」

「やった!」


勝者: 茉里ちゃん。



○ ○ ○


「ではでは、第1回ガールズトーク大会を開催いたします!」

「「…」」


茉里ちゃん、テンション高いなあ。何がそこまで茉里ちゃんを駆り立てるんだろうか?


「まずは小菊ちゃん、好きな人はいますか?」

「あ、それ気になる。小菊モテるし」


そう。小菊は結構モテる。サバサバしていて明るい性格の上に顔よし。文武両道。


「いないに決まってるじゃん。お楽しみは最後にとっておくとして言い出しっぺはどうなの?」

「え、待って?私ってお楽しみ扱い?」


提供できるネタなんてないんだってば。


「いるわけ無いじゃないですかぁ。…今はともかく、小さい頃は舞のお守りで大変だったんですし」

「「…」」


ちなみに、『舞』とはツインテールちゃ…天野さんのこと。茉里ちゃん、苦労してたんだね…。でもさり気なく私の言葉を無視したな?


「っていうか私達が恋話するにはネタがなさすぎるでしょ。そろそろ勉強…」

「さてさて、鈴ちゃん。大トリです!」

「ズバリ、男嫌いは克服できたの?熊谷と進展は?」

「できてません、ありません」

「速い!返事が速いですよ鈴ちゃん!」


男嫌いは克服できていない。プリントを渡す時やどうしても声をかけなくてはならない時でも手が震えたり、声が震えたりしてしまう。我ながらヒドイとは思うのだが、どうしようもないのだ。

…そう考えると熊谷君は特別なのかもしれない。話す時も声が震えない。漫画や現実で彼の性格が大方分かったからだろうか。それとも子犬みたいだからかな?


「…熊谷君と話す時は声、震えないかな」

「…甘くないですね」

「でも進歩なんじゃない?まずは男嫌いを治さないと恋愛どころじゃないよね」

「そうですね。やっぱり熊谷君で慣れるしか…」


小菊と茉里ちゃんが議論を始めてしまった。これは長くなるな…。

よし、遮ろう…。


「小菊、ウッドデッキ行ってみていい?外でお茶しようよ!」

「いいよ〜。じゃあ茉里も行こっか?」

「…そうですね。」


ん?茉里ちゃん元気ない?

こういう提案はいつも茉里ちゃんからするんだけどな…



「うわー、あっつい…」


部屋から出た途端に熱気が体を包み込み、ジワジワと汗がでてくる。


「これでも日陰だからまだまし。っていうか今日全く勉強できなかったじゃない!責任とって明日は茉里の家で決まりね!」

「…いいですよ。ただし明後日は鈴ちゃんの家ですからね!」

「え、なぜに!?」

「当たり前じゃないですか〜。楽しみですね、鈴ちゃんの家!」

「その前に茉里の家よ?」


当たり前に明日も明後日も会う約束をする。懐かしい。

私は…今度こそ親友を失いたくない ───


「あ、そうだ!ねえ、たしか学校の近くで夏祭りあったよね?今年はもう終わっちゃったけど、来年みんなで行かない?」

「いいですねぇ!あ、熊谷君も誘いましょう!」


熊谷君も一緒とか、突然何を言いだすんだ!ニヤニヤしてるし。


「そうだね、行こっか!3人(・・)で!」

「えー!4人で行きましょうよ!」

「鈴蘭、仲間ハズレはよくないよ〜?」


う…。2人は『鈴蘭(鈴ちゃん)ヒドイ』とか言いながら抱き合ってる。泣き真似するな!


「う〜」

「鈴蘭」「鈴ちゃん」

「「ダメ?」」


目はウルウル。小悪魔茉里ちゃん、小悪魔小菊、ココにあり。


「あ〜!もう、この話は保留‼︎」


私の悲鳴のような言葉はもう傾きかけている太陽に吸い込まれていった。







本日もありがとうございます!

サブタイトルに『?』が付いたのはガールズトークっぽくなくなってしまったからでございます…。甘い話がない…。

これから徐々に甘くなっていく!…はずです!

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