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10.ヒロイン、みんなからの攻撃

2015/04/29、二話連続投稿を致しました。

前話を読まれていない方は、9話目から読まれる事をオススメ致します。

中学校に入学してから約二週間が経ちました。

初めは授業中も緊張していたけど、今では国語の先生の声を子守唄にウトウトしてしまうほどにはダラけてきてしまった。でもこの学校は成績の悪い人をビシバシ捨てていく主義だからね。頑張って勉強してやっと入れたのに退学なんて冗談じゃないし、漫画の鈴蘭は勉強も完璧でチート気味だったから、私もダラけずに頑張ります。


生活面では男子で私に話しかけてくる人はいないし、概ね平和。

『高嶺の花』の仮面を被ってるからね!ドヤッ!


相変わらず天野さんは突っかかってくるけれど、対処法を教えてもらったから、もうだいたい大丈夫。

そう…私に小菊以外の友達ができ、その子に対処法を教えてもらったんですよ!

吉崎(よしざき) 茉里(まり)ちゃん。

キャラメル色の腰まであるロングの髪をゆるく二つに結んでいる。瞳は茶色をベースに、よく見るとピンクも入っていてとっても可愛い。守りたくなるような小動物系女子。

フワフワしてるように見えて、妙に鋭い所もあり、ちゃんと自分を持っている。

そしてなんと、ツインテールちゃ…天野さんの幼なじみらしい。幼稚園からの腐れ縁なんだとか。

『王子と出会う前までは普通だったんですけどね〜。』

と、これは茉里ちゃん本人の言葉。

うむ。やはり男は女を狂わせる。


…それはさて置き。

もうそろそろ限界かもしれない。ああベッドから出たくないよ…


ジリリリリリ!



午前6時15分。私の部屋に地獄の目覚ましが鳴り響いた。


・・・・◇・・・・


教室の前で立ち止まる。

ボロを出してはいけない。私はこのクラスの中で小菊と茉里ちゃんにしか素で話していない。寂しいけれど仕方がない。


ドアを開ける。私は学校にいる時でこの瞬間が最も苦痛だ。前世で女子達に避けられていたことを思い出してしまうから ───


「おはよう、鈴蘭!」

「おはようございます、(すず)ちゃん」


二人の笑顔を見るとほっとする。


「…おはよう。小菊、茉里ちゃん。」


小菊と茉里ちゃんが抱きついてくる。最早恒例の出来事なので女子は気にしていない。

だが…男子からの視線が痛い。こら、そこの男子(名前を覚えていない)!可愛い小菊と茉里ちゃんをいやらしい目で見るんじゃない!もちろん私のことも見るな!


席に座り、もうすぐ来るゴールデンウィークの過ごし方などについて話しながら先生が来るのを待っていた。


・・・・◇・・・・


「あ、姫百合さん!」

「…熊谷君」


昼休み。

今日の朝の言葉、前言撤回しよう。男子で1人だけ話しかけてくる奴がいる。熊谷 信也。

ばったり会っちゃったし、しかも近寄ってきてる。架空の尻尾を、ブンブン振っているように見える。あれ以来懐かれちゃっているというか、友達認定されちゃったというか…


「あ、熊谷だ。ちょっとストップ。この距離で話すよ」

「熊谷君。それ以上近寄らないでくださいね」

「え? うん。」


おお!天使たち!

一緒に理科室へ移動していた二人がさりげなく(?)熊谷君との距離をとってくれた。うん。この人とは1メートル位距離をとるべきだ。話すだけで周りの女子からの視線が痛い。

ちなみに小菊と茉里ちゃんには私が男嫌いということをバラしている。だからこういう時はとても助かる…


「丁度良かったわ〜。熊谷。ちょっと話したい事があったのよ。ね、茉里」

「そうですねぇ、小菊ちゃん。熊谷君、ゴールデンウィークの5月5日。予定空いてます?」


…が、同時に『男嫌いを治そう計画』を作っているらしいんですよ。

それで男子の中で比較的近づいてくる熊谷君を利用しようと考えているらしい。


「ねえ、何言ってるのかな。二人とも?5月5日は遊園地に遊びに行こうって話だったよね?熊谷君も混ぜるつもり?だいたい、都合ってものが…」

「え、遊園地行くの?いいなあ〜。僕も行っていい?」


まずい、墓穴を掘った…。二人はニヤニヤしてるし。

だいたい、女子3人に男子1人とかありえないでしょ。熊谷君、鋼の心⁉︎


「ダメ、絶対ダメ!それに熊谷君、男子1人だよ⁉︎ いいの⁉︎」

「ご、ごめん。図々しかったね…。」


架空の尻尾を下げて、私を見てる。う…。コッチが悪いみたいじゃないか。いや、コッチが悪いか。

期待持たせて絶対ダメとか言っちゃうなんて。

かと言ってこの廊下のど真ん中でみんなの王子様・熊谷 信也様に『遊園地、一緒に行こう?』とか言えるわけがない…

そんな私の心情を読み取ったのか、小菊がフォローしてくれた。


「熊谷、コッチが誘っといて悪いんだけど、この話の続きは後でいい?次、理科室で実験なんだ。」

「え?うん、いいよ」

「じゃあ、後でどこで話すか、メモでもわたしますね。ここだと、嫉妬の虫の皆さんがたくさんいますから。それでいいですよね、鈴ちゃん?」


…さりげなく毒を吐くね、茉里ちゃん。そして有無を言わせない問いかけが怖い。


「…それでいいよ」


この場合の『それでいいよ』は、熊谷君も同行することを了承する、という意味だった。


本日もありがとうございます!

鈴蘭、敗北。

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