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Prologue - あじのある剣
「ガム・ブレード!!」
一閃。
鋭い風切り音とともに振られた長方形の剣は、狙っていた丸太を刃の中央で見事に捕らえ――。
真っ二つにはじけ跳んだ。
「おお~」
薄ピンク色の放物線を描く剣の残骸を見上げながら、傍観していた男が感心したように声をあげる。
「『おお~』じゃない! このへっぽこ武器職人!」
べチン、と長さが半分になった剣の腹で男の頭を叩くが、その音に金属らしき要素はまったくない。
しかも、叩いた衝撃で根元から大きく曲がった剣は、元に戻らず曲がったままだ。しなやかさは皆無。
「カネをもらってるから試してみてやったが、うまくいくわけないだろう!」
曲がった剣を律儀に手動で直し、もう一度男の頭を剣の腹で叩く。
「う~ん。やっぱりストロベリーガムじゃなくて、ミントにするべきだったか……。
『すっきりさわやかに魔物を撃破! 新発売ミントガム・ブレード』決まりっすね」
叩かれた男に痛みはないのだろう、ぽんと拳を手のひらに打ちつけ、にっこり笑っている。
「そういう問題じゃない!」
三度男の頭を叩いた剣は、つばからちぎれて飛んでいった。




