表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ナギ記  作者: 竜顔
99/276

海底遺跡:ボス

遅れてすいません。


 ボスへと続く階段は長かった。まるで十階層から上ってきた分だけ降りているような感じだ。


 途中から水で浸かり、階段は使わず泳いで降りていく。


 降り切った先は海中。


 バタン!


 全員がそこへと入ると階段の出口の扉が閉まった。当然だけど逃げることはできないらしい。


 眼前に見える巨体。その竜のような蛇のような体を持つボス「リヴァイアサン」。海中に出てくる強いモンスターにはぴったりな名前だ。


 扉が閉まる音が響くとともにその巨体が一気に私達めがけて一本の筋となる。


『来た! 散れ!』


 キーリさんが叫ぶが早いか一斉に左右に散らばる。そのすぐ後にリヴァイアサンが壁にぶつかる音が轟く。


『おお』


 壁にぶつかったリヴァイアサンを確認すると同時に私は思わず驚きの言葉を漏らす。私達の背後には海底遺跡があるはずだけど…そこには立派な城があった。下を見てみると、この城の庭園の名残とも考えられる風景があった。


 私達が出てきたのはどのあたりだろうか、と探してみるけどすでに同化してしまったのかそれと思われる個所はただの壁でしかなかった。同時にあのリヴァイアサンの巨体がぶつかったのに無傷な城を見てファンタジー補正という言葉を思い出してしまった。


『ナギちゃん! よそ見しないで!』


 マギーさんの声で我に返った私はすぐさまリヴァイアサンから距離を取るべく泳ぐ。だけど私を標的としたリヴァイアサンがものすごいスピードで迫ってくる。


 しかし私とリヴァイアサンの間に入った舞浜君が盾で受け止める。NPC販売の水着とは比べ物にならない防御力を誇る水着を装備していても舞浜君のHPが4割持っていかれる。


 リヴァイアサンは攻撃力とHPが高く、この動きづらい水中でいかに攻撃を躱しきれるかが大事だそうだ。といっても今みたいな突進攻撃以外はモーションが大きかったり、攻撃行動に移る前にワンクッション動作を挟んだりするので、どんな攻撃をしてくるかが読みやすく、また躱しやすいらしい。


 なので一番の脅威は先ほどのただ突っ込んでくる突進攻撃。一応威力は一番低いそうだけど舞浜君のHPを4割も削るのだから、前衛のクゥちゃんを除くメンバー以外が攻撃を受けたら致命傷になりかねない。


 リヴァイアサンの弱点は隙が多いこととかく乱に弱いこと。あとは防御力が低いので水中で満足な体勢をとれなくても物理攻撃が有効なダメージとなることくらいだろうか。


 反対側へと散っていたキーリさんとロイドさんがリヴァイアサンの尻尾の方に切りかかる。それに一瞬痛そうな反応を示した後リヴァイアサンは尻尾の方を振り返ろうとする。そこで舞浜君がリヴァイアサンの目に剣を突き立てる。


 ギャアアォオオオオオオオオ!!!


 凄まじい咆哮が轟かせながらリヴァイアサンが暴れ回るように体をくねらせる。そして咆哮によって水が振動する。不思議と振動する水の中では歩ける、というか地に足をつけているようなことができる。


 だけど踏ん張りが利くことも今は意味が無い。暴れ回るリヴァイアサンには近づけず、様子を見るように舞浜君以外の戦闘班が周りをぐるぐるとまわり、舞浜君はリヴァイアサンの目に剣を突き立てた時の同じ位置。


 暴れ回るリヴァイアサンにマギーさんの魔法がさく裂。見慣れた花火のようなエフェクトが光り輝く。魔法をぶつけられたリヴァイアサンは海底へと叩きつけられ、そこで一度動きが収まり地に足をつけている感覚はなくなる。


 海底へと叩きつけられたリヴァイアサンめがけてロイドんさん、キーリさん、クゥちゃんが追撃を加えていく。


 それを振り払うかのようにリヴァイアサンは体をくねらせ体勢を戻し、かと思うと乱暴に首を振り始め、そのふり幅が徐々に大きくなっていく。


『退避!』


 ロイドさんの叫びとともに追撃していた三人はリヴァイアサンから離れ私達も距離を取る。それが収まると再び突進攻撃。【挑発】をかけている舞浜君に向かって突っ込む。【パリィ】で弾くと隙だらけの身体がさらされる。そこにロイドさんが大剣のアーツを打ち込む。


 するとその巨体は吹き飛ばされ、と思いきやクルッと体を翻すようにしてリヴァイアサンは私達の方を向く。今度は円を描くようにして頭を先端に首元を回し始める。徐々に水の流れが出来上がっていき、最後に思い切り首を振り切ると渦巻きが発生しそれが放たれる。


 近くにいたキーリさんが水の流れに巻き込まれ渦の中へと消える。しばらくたち少し経って渦が消えるとキーリさんの身体だけそこに取り残された。HPは一割もない。


『スタン状態でうごけねぇ』


 キーリさんが状態を伝える。しかしリヴァイアサンはすでに標的をキーリさんに切り替え突進している。全員の距離の関係上間に合わない。


 そう思ったので私は【誘惑】を使う。リヴァイアサンの視線が私に向けられるけど、動きは止まる。そこで【ステージフラッシュ】を発動。リヴァイアサンはまぶしさに目がくらむような仕草をとる。


 その隙にキーリさんも復帰。


 今度は私を標的としたリヴァイアサンが突っ込んでくるけど舞浜君が受け止める。そしてリヴァイアサンの尻尾辺りにいたロイドさんが切りかかる。


 その攻撃を受けたリヴァイアサンは体をエビのように丸めて尻尾を上へと突き上げた。そして一気にそれを振り下ろす。先ほどまでロイドさんがいたところを凄まじいスピードで通り抜ける。空振りに終わったその攻撃はデメリットがあるらしく、尻尾の勢いに引っ張られてリヴァイアサンの頭がやや下に下がり丁度ロイドさんの目の前にやってくる。


 そこに攻撃を加え、痛さのあまりに叫ぼうと口を開いた瞬間リヴァイアサンの口の中で爆発が起こる。それで気を失ったのかリヴァイアサンが白目をむく。


『チャンスだ!』


 そこに物理アタッカー三人衆が群がる。しばらくして気を取り戻したリヴァイアサンが体をうねうねとくねらせるとプーリスさんの光魔法がさく裂する。そして照準をプーリスさんに合わせたリヴァイアサンは突進攻撃に入る。


 だけど横から突っ込んできたゆうくんにおなかのあたりだけ突き飛ばされ勢いを失いバランスを崩す。頭を上にあげて身をひるがえすかのようにして今度はゆうくんを正面に見据えるとロイドさんが下からおなかに攻撃を加える。


 リヴァイアサンはくの字に曲がったことを利用してそのままロイドさんに攻撃をしようとするけど、背中のあたりで爆発が起こりおなかを下げた状態のくの字になる。


 そして空いた顎にクゥちゃんが思い切り突く。爪に突き刺さると思った顎は弾かれて顔が尻尾の先を負う「○」の状態になる。


 そこから一本の縄に戻ったリヴァイアサンは頭を振って次の標的に照準を合わせようとすると、尻尾をキーリさんが切り付け、視線が一瞬そこに動いたすきにクゥちゃんが顔を攻撃する。


 そういった調子でうまくハマり、リヴァイアサンは身動きが取れず攻撃を加えられてはその相手を見て、を繰り返す。


 最後はロイドさんの大剣が目に突き刺さり口が開いたところに魔法班の魔法が口の中で炸裂。白目をむいて消えていった。


 リヴァイアサンを倒すと全員が光に包まれ気づいたらギリシャの某神殿のような場所にいた。そして目の前には宝箱がありカッサの確認で罠でないことが分かり開ける。


 その中には



【海の衣】

 装備カテゴリー:衣服

 能力不明

 効果不明

 装備不可


 海の力がこもった衣。



 まるで水を魔法で布にしたかのような物だった。それが全員の手元に現れる。だけど使える人は一人もいないらしい。


 それからしばらくすると私達は海底遺跡の出口にいた。そしてビーチまで帰りそこで解散して、私はログアウトした。


――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン】Lv28【STR上昇】Lv40【幸運】Lv42【SPD上昇】Lv39【言語学】Lv41【視力】Lv40【アイドル】Lv12【体術】Lv19【二刀流】Lv30【水泳】Lv20


 SP31


称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ