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ナギ記  作者: 竜顔
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十階層

 第六階層はスムーズに突破することができた。しかし第七階層から進行のスピードが徐々に落ちていく。敵が急激に強くなったわけではなく、主に罠によるものだ。


 罠の数が増えたことと、状態異常系の罠や即死系の罠、そして罠自体のレベルの上昇もあって罠の対処に時間がかかるようになってきた。


 現在の隊列は前から舞浜君、カッサ、クゥちゃん、私、ミカちゃん、ゆうくんの順だ。カッサは罠がある時には周囲に気を付けながら舞浜君より前に出て罠の処理をしている。


 そして、進んでいくうちに私が役立たずであるということをひしひしと感じている。罠のレベルはそこそこのペースで上昇している反面、出現するモンスターの方は相変わらず弱いために、私以外で全て対処できてしまう。


 バカップルの彼女は役に立つけど彼氏は役に立たないと思っていた時期がありました…。でも彼氏も普通に前衛なこともあって背後からの敵にも難なく対処ができる。


 現在第八階層の一室にて食事休憩。料理の提供はバカップルの彼女の方が製作したもので、食材は海底遺跡で倒したカニやブリが使われている海鮮丼や刺身だ。


「うん、いつもどおりおいしい!」


「本当ぅ~?」


 冷たさを感じる海底遺跡とは裏腹にアツアツなカップルはいちゃついている。


 カッサは一度ゲームから離脱して、海底遺跡についての新しい情報がないか調べに行っている。というのもこの勢いのまま十階層も突破してしまおうという話になったからだ。


 しばらくしてカッサが戻ってきた。


「うーん、十階層は水中になってるみたいだな」


 難しい表情をするカッサ。そうなると水着の防御力の問題で舞浜君はタンカーとして戦うことができなくなる。


「ここまで強いモンスターは出てきてないから様子を見てどうするか決める、でいいんじゃないのか?」


 カッサからの情報を聞いて舞浜君は特に気にするようでもなく提案する。彼の提案に全員が納得する。


「変にびびって進まないのは勿体ないですもんね!」


 ミカちゃんのセリフにはこれ以上ない説得力があり、彼氏のゆうくんも含めて全員苦笑いした。


 八階層から九階層へ。


 九階層からは骸骨が出現しなくなった。その代り亀や貝の姿をしたモンスターが出てくるようになった。とはいえノンアクティブばかりでやり過ごそうと思えば簡単にスルーできる。


 アクティブで襲い掛かってくる「ブリっ子」と「フライフィッシュ」をどうしても避けられない時に戦闘を行い、ついに十階層に向けた階段を発見した。その階段の下の方は暗くて見えないけど、水の音が聞こえる。


「情報は本当みたいだな」


「えーっと、さっきから思ってたんですけど水中だと何かまずいんですか?」


 カップル同士でいちゃつく以外は割と優等生なゆうくんがカッサに尋ねる。彼らには水着の問題を話してなかったことをお思いだし、カッサは説明する。


 ゆうくんとミカちゃんでも私とクゥちゃんの水着の防御力はおかしいと驚いていたけど、どうやら二人とも生産プレイヤーが作った水着で、ゆうくんは水着でも今をわずかに下回る程度の耐久力は保持できるらしい。


 ということで舞浜君と私の位置が逆になった以外隊列は大きく変更することはなかった。


 全員水着に装備を変更し、十階層の水の中に足をつけ、入っていく。


『はぐれないように慎重に行こう、罠もあるかもしれない』


 カッサの注意に全員が頷く。十階層は入ってすぐ右、左、正面と別れており、私達は無難に正面の方向を選んで泳ぎ始める。


『前からものすごいスピードで何か来てる!』


 しばらく何事もなく泳いでいたらクゥちゃんが慌てた様子で注意を促す。私の目で確認できるようになったそれは…エビ?


 後ろ向きに泳いでくる、子供用の浮き輪を縦にした感じの大きさのエビだ。


 と思っていたらエビは私に衝突。私は後方に吹き飛ばされた。


『ナギちゃん!』


「ごばぁ!」


『きゃあ!』


 私が吹き飛ばされてクゥちゃんが慌てる間にも、バカップル二人が遅れてやってきたエビに吹き飛ばされた。


 吹き飛ばした後エビたちはそのまま颯爽と去って行った。私はほとんどダメージはないけどバカップル、特に後衛のミカちゃんは半分以上HPが減っている。


『…なんだ、今のは』


『ノックバックシュリンプって言ったかな、あいつらの進行ルートにいると弾き飛ばされるとは知っていけど、まさかこんなにダメージを受けるとは聞いてないな』


 舞浜君の口から漏れた疑問にカッサが答える。どうやらあのエビもカッサの集めた情報の中にあったらしい。二人とも冷や汗をかいているみたいな顔だ。何故ならもし二人のうちどちらかが当たってれば一撃で死に戻りになっていただろうから。


『速いの見たら通路を開けよう』


 クゥちゃんの提案に頷き行動を再開。


 カッサが集めた情報では十階層に出現するモンスターは「ノックバックシュリンプ」、「ジェットロブスター」、「トノマグロ」、「マインドパール」の四種類。


 「ノックバックシュリンプ」はノンアクティブだそうで、とはいえさっきのようにぶつかられると吹き飛ばされる厄介なモンスターだ。「ジェットロブスター」や「トノマグロ」はアクティブで、ノックバックシュリンプ並みに猛スピードでの体当たりが基本戦闘法らしい。


 「マインドパール」は混乱系の状態異常を使ってくる点では厄介なモンスターだけど、ノンアクティブなために相手にせずに済むのが救いだとのこと。


 最初はモンスターの情報を開示さなかったカッサは実際にノックバックシュリンプの凶悪さを見て教えるべきだと考えたようだ。


『これまで大したモンスターが出なかったから油断してた、すまん』


『わかっててもなかなか対応しづらそうだけどね』


 カッサの謝罪にクゥちゃんも仕方がないといった様子を見せる。


『現状言えるのは、あのスピードで敵が襲ってくるってことは気づいたらはめ技のように嬲られるだけになる可能性があるってことか』


『アクティブの相手してるうちにさっきのエビが来ないことを祈るしかなさそうですね』


 舞浜君もミカちゃんも怖いことを言っている。確かにさっきのエビにあたってしまうと一瞬で隊列が崩れてしまうので、その瞬間死に戻りを覚悟した方がよさそうでもある。


『戻るっていう選択肢は…ないんですか?』


 ゆうくんは完全に雰囲気にのまれてしまったらしい。堅実というべきかびびりというべきか、でも現状一番いい考えな気がするのも事実。せめて舞浜君がタンカーとしての役割ができるくらいの性能の水着を持ってれば、カッサやミカちゃんに絞って守れば済むので戦いやすくもなるはずだ。


『戻ってもいい、とは思うけど逆行したらさっきのエビから背後をつかれることになるから別ルートを探す必要があるな』


 カッサも引き際だと思ったのかゆうくんの提案に乗るようだ。別ルートを選ぶ以上結局他のモンスターと遭遇する確率は上がるわけだけど。


 一本道を進んでいると十字路に出た。


『どっちがいいと思う?』


 カッサの質問の意図は右か左のどちらだとさっきのエビに背後から接近を許すことがないと思うか、ということだ。


 どちらを選んでもギャンブル、ということで右を選び進んでいく。


『正面に敵の反応あり』


 しばらく進むとクゥちゃんがみんなを止める。どうやらさっきのエビたちではないようでこちらに向かってきてるわけではないらしい。


 カッサが気配を消して確認へと向かう…。


『トノマグロだ』


 カッサの表情は暗い。もう戻ってる余裕はないかもしれないので全員戦闘態勢に入る。


――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン】Lv26【STR上昇】Lv39【幸運】Lv41【SPD上昇】Lv36【言語学】Lv36【視力】Lv40【アイドル】Lv3【体術】Lv18【二刀流】Lv27【水泳】Lv17


 SP17


称号 ゴブリン族の友 恋に惑わされる者

若干中途半端で申し訳ないです。

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