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ナギ記  作者: 竜顔
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仮面

 ルージュナに着いた頃。ゲーム内時間が夜だったこともあって長のところに行くまで時間をつぶした。朝方になってから長の家で会議が行われた。会議と言ってもゴブリン側の意向を全面的にルージュナ側が飲む形だったので話し合うのではなくただ確認を取るというだけに終わった。


 ルージュナの長は私に何度も感謝の言葉をくれたけど、私はどちらかと言えばゴブリン側の味方であるということを言わせてもらった。これでおそらくルージュナとの確執が人間との確執になったかつてのような事態からゴブリンを守ることができるはずだ。


 そんなにゴブリンのことが好きなのかと聞かれたけど、友人がいるとだけ答えておいた。


 話が終わった後はルージュナの長もさっそく準備に取り掛かるというので私達は長の家から出る。そして交渉役の二人は報告に行かなきゃということで別れた。


 私とジェットさんでルージュナの街をぶらぶら歩こうかという話になった時に、会議に参加する前に別行動になったホムラとお兄ちゃんが待ち構えていて、ゴブリン王国に連れて行くということでついていった。


 というのも私にゴブリン王国の各街や村の転移ポータルの登録を済ませようという魂胆だったらしいけど、ゴブリン王国の王都に転移ポータルを使って移動した瞬間身動きが取れなくなり諦めた。





 翌日――


 前日の反省を踏まえ、仮面なんかで変装すれば正体がばれずに囲われる心配もないんじゃないかということで、おなじみ「ベリーワーカーズ」にお願いしにやってきた。


 倉庫のように見える外観の作業スペース部分の建物にひょっこりあいた穴。そこのカウンターにつまらなそうに頬杖をついて立っているラズベリーさんがいた。どうやら今は客がいなくて暇らしい。


「あらぁ、ナギちゃん! どうしたの! っていうかその服気に入ってくれたのね、ナギちゃんを選んで正解だったわ」


 私を見つけると一瞬にして生気を取り戻したラズベリーさんはマシンガンのように言葉を連射する。「どうしたの!」っと聞かれたので早速要件を伝える。


「今日はお願いがあってきました」


「その服気に入ってくれたの?」


 あれ? 話が通じてないような。もう一度。


「今日はお願いがあってきました」


「その服気に入ってくれたの?」


 にっこり笑顔で話すラズベリーさん、副音声を付けるなら「答えろ!」と脅迫しているかのような威圧感だ。


「気…気に入ってはいます、最初は恥ずかしかったですけどだんだん慣れてきましたし、あ、でも一匹変なのが楽しんでたりしますね」


 冷や汗をかきながら答える。相当なプレッシャーを感じる、相手は笑顔なのに。ちなみに変なのとはジェットさんだ。


「そうよかったわ、それでお願いって何?」


 様子が普通に戻ったラズベリーさんを見てほっとしつつ本題に入る。正体を隠したり偽ることができるような物を依頼すると、残念そうな表情で仮面ならできると言われたのでお願いする。


 仮面に使えそうな素材は持ち合わせてなかったので素材の分もお金を払う。


 仮面にするならどんなものがいいかと聞かれて、口だけが出ているタイプを頼んだ。変なものがまた作られるんじゃないかとヒヤヒヤしつつできるまで時間がかかるというので一旦離れる。


 昨日は結局ルージュナを回れなかったので、ルージュナの各店を冷やかす。NPCと思ってたらたまにプレイヤーだったりして焦った。


 そうやって時間をつぶしているとラズベリーさんから完成したとのメッセージが届いたので再びラズベリーさんのもとへ。普段の受け渡しはあのカウンターで行われるらしくそこに呼び出された。


 たどり着くとラズベリーさんから仮面を受け取る。仮面の色は服に合わせたらしく透き通るような青一色だ。思ったより普通の仮面にほっとしつつさっそく着けてみる。


「どう? 苦しいとかない? 見づらいのはちょっと我慢してもらわないと困るけど」


「大丈夫…ですね、視界は悪くないような気もしますね」


 ラズベリーさんの確認に答える。


「じゃあちょっと試してきます」


 そう言ってラズベリーさんのもとを去る。試しに狩る相手は第三エリアの「荒野ウルフ」と「荒野ワーム」、仮面をつけてても【魅力】の効果は問題ないようで、近づくモンスターを「釘付け」にする。そうなったモンスターを少しずつ倒していく。


 昨日のゴブリン王国へ行く際の乱戦のおかげでスキルLvが上がったせいかブーメランのコントロールもマシになってきたようで、立った場所から投げてそのまま戻ってくるというだけなら軌道がそれずに戻ってくるようになった。


 特に問題ないことをラズベリーさんに伝えると、なぜか少し残念といった声色だった。


 確認を終えたところで街に戻る。仮面をつけたまま街の中を歩くのは不思議な気分だけど、自分以外にもフルフェイスの兜とかで顔が見えない人は大勢いるので特に目立ってない…はず。


 さて、ブーメランの扱いにも慣れてきたのでそろそろ新しいスキルを取得しようと思う。投擲全般として接近戦での対応策が乏しいこと、ブーメランは投げてる最中無防備になりがちということ。そのことを踏まえて接近対策に【体術】、ブーメランを投げた後でも戦えるように【二刀流】をSpを合計15消費して取得。


 【体術】は殴る、蹴るといった動作にダメージ判定が出るようになり、特有のアーツも習得できるスキル。【二刀流】は武器を二つ装備できるスキルだけど、Lvが低いので二つ装備した際には二つとも極端に威力に下方修正がかかるみたいだ。


 第二エリアでそれらの使い心地を確かめながら狩りを行ったけど、殴ったり蹴ったりするのはなんか動物虐待みたいな気がして途中からは二刀流のLv上げになった。


 現実の夜、PvP大会の全ての予選が終了したことを伝えるインフォメーションがあった。



<インフォメーション>


先ほどPvP大会の全予選が終了いたしました。

ベスト16に残ったプレイヤーと、その対戦は以下の通りとなっております。


ホーク 様

ホムラ 様


ライカ 様

キャプテン 様


バジル 様

フランソワ 様


ジード 様

バルタン 様


飛影 様

グミチュ 様


ロイド 様

パルス 様


ジェット 様

セバスチャン 様


ライム 様

ガイア 様


明日は準々決勝まで行う予定です。

皆様会場に足をお運びください。



 知ってる人がちらほらと、しかも初戦からホークさんとホムラが当たる。私はもちろんホムラを応援するけど、ジェットさんより格上だと思われるホークさんがどんな戦い方をするのか興味がると言えばある。


 そのインフォメーションを確認してログアウト。結局それから再びログインすることなく眠りについた。


――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン】Lv19【STR上昇】Lv37【幸運】Lv37【SPD上昇】Lv32【言語学】Lv35【視力】Lv40【魅力】Lv28【体術】Lv6【二刀流】Lv8【】


 SP28


称号 ゴブリン族の友 恋に惑わされる者

ベスト16に残っているプレイヤーを書いたんですが、エイローのランキングのとき同様名前考えるのって難しい。

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