ゴブリン王国に向かって
森を抜け、ここからは一直線なのでそのまま街道に沿って進んでいく。何度かベアと遭遇しながらも特に問題なくゴブリン王国まであと半分、くらいのところで問題が起こった。
「誰かがトレインしたあとかよ!?」
誰かさんが悪態をつきながら目の前のベアに剣を振る。迂回するにもできないくらいのおびただしい数のベアとキリングマンに遭遇、ゴブリン王国に向かうには正面突破しかなかった。そのため一匹ずつ釣り出すつもりが戦闘中にぞろぞろとこちらによってきたせいで今大群に襲われている。
「ナギちゃん! 後ろ」
ジェットさんの声を聴き後ろを振り返るとキリングマンが鎌を振り上げているところだった。私は間一髪で【誘惑】を使って行動を一時的に止める。その隙に距離をとる。どうやら前方ばかり気にしていたら後方から寄ってきたらしい。
みるみるうちにモンスターたちに囲われてしまった。
「…俺に時間をくれたら1匹1殺で地道に減らせるけど」
「分かった」
バジルさんの言葉に誰かさんが頷く。挑発を使うけど、所詮は一対一でしか意味をなさない物のために他のモンスターがバジルさんに襲い掛かる。
その時周りにいたモンスターのほとんどが一斉にどこかに集中し始める。
「これで少しは戦いやすくなるはずよ」
どうやらマーガレットさんの呼び出した赤い色の大きなカメが敵を一斉に引き受けている、ウルフもいることから二体同時に引き連れることができるみたいだ。私も只見てるわけにはいかないと思い、攻撃に参加する。
「ナギちゃん、あんまり無理したらダメよ」
マーガレットさんに注意され、頷く。自分が標的にならない範囲で攻撃すれば問題ないはず。
誘惑され動きが止まっていたキリングマンが動き出す。ジェットさんが流星でターゲットとなり、私が攻撃を加え、マーガレットさんの連れているウルフも加勢してくれる。
戦線は安定し始めた。誰かさんとバジルさん、マーガレットさんと亀とプルートさん、私とジェットさんとウルフの組み合わせで敵の殲滅を図る。
ジェットさんも本気なようで紙飛行機を使っている。
「さすがにアッキー以外の連中は一撃もらうだけでシャレにならないから気をつけろよ!」
バジルさんが叫びながら竜巻の魔法を放つ。それで一匹のベアを倒す。
マーガレットさんは亀にまとわりついたモンスターを広範囲魔法の火魔法で攻撃、プルートさんも同じように攻撃。
私は、投げて戻ってこなかったブーメランをウルフに回収してもらいながら攻撃し、ウルフも余裕があればかく乱になる程度の攻撃、そしてジェットさんのアーツで一気に削っていく。
状況は徐々に良くなりつつある。しかし、その数が多くてなかなか勝ちきることができない。そんな状況のとき、
「だめだ、MP切れた、回復まで待ってくれ」
「こっちも亀ちゃんを回復しなきゃ…」
MPの切れたバジルさんと亀への回復魔法に専念するマーガレットさんが一時的に戦闘から離脱。
「おらおらおらぁ」
バジルさんの攻撃が止むとその前の誰かさんが攻撃に移る。といっても位置はしっかりキープし、モンスターがバジルさんの方に流れないようにしている。
「ふっかーつ! 準備行くぞ」
MPポーションを飲んで回復したバジルさんが再び魔法の準備に入る。
「MP切れ」
「何! こっちもだ!」
マーガレットさんとプルートさんのMPが同時に切れたらしい。私とジェットさんがすぐさま二人の援護に入る。マーガレットさんは鞭を装備し、鞭での攻撃に出始めた。
「ちょっと亀を戻すから、一斉にくるわよ」
マーガレットさんがそういった後、亀の姿が消え、そこに群がっていたモンスターが一斉に私たちの方に向かってくる。調教で操っているモンスターがいなくなるとその所有者が標的になるらしく、今の標的はマーガレットさんだ。
「ジョン!」
ウルフがマーガレットさんに向かっていたキリングマンを一体引き剥がすが、その即死攻撃に当たり死ぬ。
「これってジリ貧だろ」
ジェットさんが悪態をつく。ジェットさんはCTが終わるたびにアーツを使っているけど、数に押されてまともにチャージできないので威力はそこそこどまり。
ブーメランの回収を手伝ってくれたウルフ(ジョン)がいなくなってしまったのでダガーに切り替えて攻撃に参加落ち着いてベアの目や鼻といった顔を中心に狙い攻撃する。そしてCTが終了するたびに誘惑を使って動きを止める。
「うぐ! あはっ!」
「マーガレットさん!」
無防備になっていたマーガレットさんについにモンスターが到達。一気にHPも減る。
「うわぁ! っとあぶねぇ」
プルートさんも直撃は避けるも攻撃を受けた。私に向かってくる敵はジェットさんがうまく立ち回って標的になってくれるのでいないけど、いつまで持つかわからない。
「ちっ掠ったか」
ジェットさんも無傷ではない。今無傷なのはバジルさんと私ぐらいだろう。
「数さえ何とかなればいいんだけどな」
そういいながらバジルさんは広範囲の回復魔法を使って微量だけど全員が回復する。
「ち、奥の手を使うしかなさそうだな」
そういってジェットさんが何かを取り出して投げる。と言っても小型の五角形の紙飛行機だけど。投げられたその紙飛行機は敵の攻撃を受けて散る。ホークさんが投げていたものと同じだ。
「なんだそれは!?」
「バトルロイヤルの対策で仕込んだデコイの効果もちの紙飛行機だ」
誰かさんの驚いた声にジェットさんは答えながら、その紙飛行機を次々と投げてはメンバーをモンスターの攻撃から守っている。
「数に限りがあるから他の奴らでモンスターを減らしてくれよ!」
「「「了解」」」
私とマーガレットさんとプルートさんで一斉に答え、マーガレットさんはポーション類でHPもMPも回復し、プルートさんとともに魔法の詠唱に入る。
私もブーメランに持ち替えて【サークルスラッシュ】というアーツを発動。このアーツは一定の範囲を円を描きながら二周し戻ってくるというもので、その軌道近くにいるモンスターを切りつける。
何体かのモンスターが私に標的をスイッチ、そこに誰かさんが割り込み私を狙うモンスターの注意をひきつける。
そのあとマーガレットさんやプルートさんの魔法がさく裂。紙飛行機がなくなったというジェットさんの知らせを受けてマーガレットさんが再び赤い亀を呼び出し、一斉にモンスターが集中する。それを地道に削っていきしばらくして全滅させることに成功した。
「つ、疲れたぁ~!」
バジルさんの声に全員がもっともだと言わんばかりにぐったりとする。
「一応まだ残ってるけどな」
その空気をぶち壊すように誰かさんが一言。私たちのところに向かってきたモンスターは全滅できたけど、まだ私たちに気づいておらず徘徊するモンスターが残っている。とはいえ最初の数の2割程度しかいないため先ほどのような事態にはならないだろう。
「近くにモンスターがいないところで休憩しているうちにまたさっきみたいになっても困るし、一気に行くべきなのか?」
プルートさんは自問している。その答えが出なければいいけど、っと思ってみる。
「…まだここにいたのか」
そこへやってきた人を見て全員が安堵の表情をしたに違いない。そこに現れたのはまさかり担いだ金太…じゃなくて、真っ赤な装備のホムラだった。
ホムラが現れた後は道中楽すぎて…。バジルさんが「ベアと戦ったことがない」と言っていたのがよく分かった。誰かさんが思わず「もっと早く来いよ!」と怒鳴ってしまうほどだった。
関所を通った後もホムラの攻撃の前には一撃でやられてしまうモンスターしかいないためモンスターと遭遇したら正面突破、そして他のメンバーの出番もなく倒す。ということを繰り返し、ついにゴブリン王国の王都にたどり着く。
「ホムラさえ来てればよかったんじゃ…」
「あ、あの大群にはみなさん必要だったと思います!」
マーガレットさんのボヤキを私がフォローしながら門をくぐる。
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NAME:ナギ
【ブーメラン】Lv19【STR上昇】Lv37【幸運】Lv37【SPD上昇】Lv32【言語学】Lv32【視力】Lv37【魅力】Lv28【】【】【】
SP39
称号 ゴブリン族の友 恋に惑わされる者




