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ナギ記  作者: 竜顔
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エースとテツ①

 昨日は結構夜遅くまでやってたので朝がだるい。奮起して朝食を食べ、服を着替えたりして準備をしっかり整えログイン――


 確認すると全員ログインしている(スカイさんとも昨日フレンド登録してある)。集合場所に着くとまだホムラしか来ていなかった。


「待った?」


「ああ、待った」


 そうやって返すホムラに、むっとした表情を見せる。初日は私が待ったほうなのに。それが伝わったのか頭に手をポンと置きながら


「初日のことまだ根に持ってたのか?」


「べ、別に」


 ちゃんと否定しておく。


 そのあとホムラはバッファ朗についての情報を教えてくれた。どうやら三体のレイドボスのうち最も楽な相手がバッファ朗らしい。しかし


「タンカーにはブレイクを使ってくるみたいだな、それで何人かやられてる、昨日のやつらもそうだったんだろう」


 ブレイクというのはその攻撃をくらうと装備が一発で壊れてロストしてしまう恐ろしい技だ。もちろん攻撃を受けた装備が壊れるだけで、すべての装備が壊れることはない。


 人数の方はジェットさん達の知り合い二人、ホムラがかけた募集に集まった四人を加えて、2人×5PTの計10人で挑む予定とのこと。


「そんなにいっぱいいるの? 私は四人だけでも倒せそうな気がするけど」


 だって昨日いい感じで戦えてたし、私は最後に顔出しただけでほとんど三人で戦っていてあれだけ渡り合っていたんだから。


「ナギにはそう見えたのか、俺としてはギリギリの綱渡りをうまく渡れたって感じだけどな」


 ホムラによると、ホムラの斧を振るスピードが常にバッファ朗の攻撃より先に間に合うとも限らず、その上牛系モンスターの顔によるガードは視界に入らなければ発動しないため、ジェットさんとスカイさんが敵の注意をひきつけて時間を稼いでもホムラの攻撃のタイミングが悪ければ二人が狙われ、軽装の二人なら簡単に消えてしまう。


 昨日は陣形が崩れないうちに勝負を仕掛け、それによって倒すことができた。とのこと。


 その様子を見れば楽に戦えていたかもしれないけど、そもそも昨日の逃走者のPTがどれだけ削っているかわからないため四人で挑むのは危険だ。と丁寧に説明してくれた。


 ちなみにボスのHPはダメージを与えても可視化されない。


 しばらくするとジェットさんとスカイさん、あとホムラの募集に集まった四人がやってきた。


「どうもです、ホムラさん」


 全身鎧姿で、今は兜をしておらず顔がはっきりわかる男性が挨拶している。ホムラもそれなりに返すので知り合いかと思ったら違うらしい。


 募集に集まった四人は大体いつも一緒に行動しているメンバーらしく、タンカーと思われる鎧姿の男性、ヒーラー役と思われる白いローブの女性、そして似たような格好のツインテールの女性二人という構成だ。


 まずは先に私たち側が軽く自己紹介をする。鎧姿の男性はホムラとジェットさんのことを知っているようだった。やはり二人はそこそこの有名人らしい。


 次に四人組、鎧姿の男性はダグラスさん、ローブの女性はレイさん、ツインテールの女性達はそれぞれミリィさんとリリィさん。ミリィさんとリリィさんは双子だそうだ、道理で顔も格好も似てると思った。


 ダグラスさんは剣と盾のタンカー、レイさんは光魔法メインのヒーラー、ミリィさんは長弓、リリィさんは弩弓らしい。


 双子で弓矢を使うとは…。私はそのシンクロ率に感心した。


「いやぁ、助かりましたよ、タンカーにブレイクを使ってくるって分かってからタンカーの募集がめっきり無くなってしまって」


 ダグラスさんは、その上ホムラさんたちと一緒だなんて、と嬉しそうだった。


 他のメンバーたちとしゃべりながらジェットさんたちの知り合いの到着を待つ。ジェットさんによるとこっちに向かってるらしいけど、とそんなことを考えていた時だった。


「おい! テツ! 俺たちが最後みたいだ! 急げ!」


「は、はい! エースさん!」


 そういって私たちの方に走ってくる二人組、集合時間までは一応まだ余裕はある、でもおそらく私たちのところに向かってきていることだけはわかる、でも違うと思ってしまう、というより思いたくなる二人組がやってきた。


「待たせたみたいだな、申し訳ない、俺はエース、そしてこっちがテツだ」


「「よろしくお願いします!」」


 そういって頭のキャップ帽をとって礼をする二人。


 ……、しばらく場が沈黙する。ジェットさん達二人は平然としているけど、私やホムラを含めてダグラスさんたち四人も固まっている。なぜなら二人の姿は異様だった。


 エースさんは190cm以上あると思うほど背が高く私は見上げてしまう。髪は茶髪、黒い靴に服は縦じまの上下、胸のあたりにはかっこいいロゴデザインで「SURVIVORS」と記され、背中には「18」の番号があり、被り直したキャップ帽の前には「S」の文字が刺しゅうされていた。


 簡単に言うとどこかのプロ野球選手のような格好だった。


 一方のテツさんは、坊主頭に白いユニフォーム――練習用のユニフォームってやつ?――を着ていて、帽子には「A]の文字。高校球児をイメージしていると思われる。ちなみにテツさんの身長は180cm前後と思われる。


「「こ、この人たちも一緒に行くんですかぁ!?」」


 双子シンクロでミリィさんとリリィさん。


「ああそうだ! よろしくな、双子」


 エースさんは即答。多分双子二人の発言には見た目は完全にネタキャラだから不安という意味が含まれていると思うけど、エースさんは気にしていない。肝心の双子が恥ずかしそうに後ろに少し後ずさったので、何事かと思ったら、冷静に見てみるとエースさんはイケメンだった。


「まぁ俺は誘ってもらった側ですし、ホムラさん達の知り合いなら別に…構いませんよ」


 ダグラスさんの発言にも不安が窺える。今の発言はきっと、別に、のあとにこんな変な人たちが一緒でもという意味があると思う。正直な話私もホムラも知り合いじゃないけど。


 そんなことを考えているとスカイさんからコールが来る。


『見て分かる通り二人とも【ボール】メインだから、エースさんはすごすぎて参考にならないかもしれないけどテツはまだまだだから、ナギちゃんが【ボール】を選ぶなら参考になると思うよ』


 エ、エースさんはすごいんだ…。ゲームの世界観的には違和感ありまくりで変な人に思えるけど、その存在感は現実のプロ野球選手に交じっても遜色ないと思われるほどだ。だからきっとすごいんだろう、と言い聞かせる。


 他のメンバーへエースさんとテツさんの自己紹介が行われる。


「っということは前衛は俺とホムラさんしかいないんですね」


「ああ、よろしく頼む」


 偏っているように思うけどダグラスさんたちもこの構成で文句はないらしい。


 予定より早く全員が集まった。まずは酒場で全員バッファ朗の討伐クエストを受ける。そして作戦を立てながらバッファ朗のもとに向かう。


「空いてるな」


 今挑戦中のPTはいないみたい。


「じゃあ、行きますよ?」


 了解。っと全員が合図してから予定通りミリィさんが長弓のアーツ【チャージショット】を放つ。


 バッファ朗に命中し、バッファ朗が向かってくる。ダグラスさんが正面から【挑発】でターゲットを自分に移し、バッファ朗の突進を盾で防ぎこらえている間に全員で配置につき戦闘開始。


――――――――――

NAME:ナギ

 【投擲】Lv30【STR上昇】Lv7【幸運】Lv23【SPD補正】Lv28【言語学】Lv32【視力】Lv18【】【】【】【】


 SP26


称号 ゴブリン族の友

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