表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ナギ記  作者: 竜顔
262/276

プレイヤー達の意地

 午前中に行われた昼の戦いは、各自で参加ということになっていたので休日の朝を私はゆっくり過ごした。ジェーンダークも、私達の戦い方を見ていたらしい人や、私達がいない時間帯に戦ったことがある人なんかがどんなふうに戦えばいいのかというのを教えていたみたいでそこまでの脅威にならなかったみたいだ。


 昼過ぎに行われる夜の戦闘に向けて、現実の用事を済ませて準備万端でログインする。


 今日は朝方、日中、夕方、夜、と戦闘が行われる時間配分になっていて全部に参加する人にとってハードな一日になりそうだ。私も朝方は参加しなかったとはいえ後の三つの戦いには参加するつもりなのでやっぱりハードな一日になりそうだ。


「ナギちゃんおはよぉー」


「もう昼だよ」


 ログインしてすぐにクゥちゃんと遭遇する。


「じゃあおそよう?」


「こんにちは」


 クゥちゃんは朝方行われた戦闘にも参加したらしい。


「でもカッサは他のパーティに引き抜かれてたし、舞浜ぐらいしかいなかったから普通に野良にお邪魔させてもらったかな」


 とクゥちゃんは朝の戦いを振り返る。


 話によるとクゥちゃん達は東エリアの戦闘に参加したらしい。将軍はリーゼスという角がリーゼントみたいな形になっている紫肌のデーモンだったはずだ。


「ムキムキだったよ、黒肌の奴みたいに体も大きいし」


「そうなんだ、結構近くまで寄ったんだね」


「まぁね、東は大人数でガンガン行くのがセオリーらしいし」


 夜の戦いと同様昼の戦いも方角で特徴があり、戦い方も違うみたいだ。


 北は少数ばらばらになりがち、東はガンガン、西は慎重に一歩ずつ、南は一点から敵陣になだれ込む。こんな感じだ。


 北は地形の問題だろうけど、基本的に将軍の存在が戦い方に影響を与えているみたいだ。


 でも、今から始まるのは夜の戦闘。


 舞浜君にカッサ、ミカちゃんにゆうくんといつものメンバーが揃ったところで南へと繰り出す。「破壊神・デストロイヤー」と対峙してやる。


 一時期こだわっていた魔動砲も、防衛失敗後は他の兵器が優先され各方角に一つずつという状況になっている。これで魔法が効かない魔人族相手にも隊列を分断できる。


 戦闘が始まる。最初こそ白兵戦力の私達は暇になるものの、砲撃をかいくぐってくる敵の魔人族たちが一斉に飛びかかってくる。今更ながら、飛びかかってくるのは「デーモン」と「アークデーモン」だけで「魔人族兵」は着実に進んで、近くにいる相手に襲い掛かっている。


 デーモンからデーモン、デーモンの途中にアークデーモンの乱入に魔人族兵の接近。めまぐるしく対峙する敵が切り替わり、気づけばデストロイヤーが出現していた。


 さすがは週末というか…人数も普段よりも多いのかデストロイヤーの周囲に群がる余裕がある。


 迅速に盾役の人達で隊列を組み、その背後にそれぞれのパーティメンバーという陣形を組む。デーモンやアークデーモン、魔人族兵が邪魔に入ってきても極力盾役の力を使わずに倒していく。


「攻撃陣! 突っ込めぇ!」


 デストロイヤーの攻撃をしのぎ、隙が生まれた瞬間、どこかから叫び声が響きそれを合図に盾役の後ろに控えていた人達が一斉におどりかかる。魔法使いはすでに詠唱を完成させていた魔法を放ち、遠距離攻撃ができる私のようなプレイヤーは溜め技を放ち、クゥちゃん達近接攻撃がメインの人達は手軽に高威力が出せるアーツを叩き込む。


「攻撃陣! 後退! 各パーティ背後警戒!」


 号令とともに攻撃陣はすかさず盾役の背後へ、そして号令されるまでもなくデーモンたちへの警戒は怠らない。


 再びデストロイヤーの攻撃。拳を振り下ろす攻撃だ。


「逃げろー!」


 拳が降ろされる先にいたパーティは一目散に駆け出す。逃げた先にいるデーモンたちが寄ってきて襲い掛かる。わずかな間デストロイヤーとは戦う余裕はなくなるだろう。


 ズドン!


「イケー!」


 拳が突き落とされるとデストロイヤーは隙だらけ、再びプレイヤーのターン。


 クゥちゃんがデストロイヤーと向かっているうちにデーモンが飛びかかってくる。


 誘惑で動きを止めて時間を稼ぐと、横に並んでいるパーティから援護が入って瞬く間にデーモンは消え去る。


「ありがとうございます!」


「おう!」


 会話する余裕がある私は周囲の人たちにきちんとお礼を言う。


「戻れー!」


 の号令とともに飛びかかっていた攻撃陣はまた盾の背後へ。


 これを何度も何度も繰り返し、破壊神デストロイヤーの巨体を倒すことに、そして光となって消得させることに成功した。防衛戦終了1分前だった。


 この激闘が報われたことと、第二ステージで初めて巨大モンスターを光に変えたこと、その瞬間誰もがほっとするよりも腕を突き上げ喜ぶ衝動が勝った。


「やったぁー!」


「「「うぉおおお!!」」」


「お疲れ!」


「よっしゃあ!」


 見ず知らずの隣人たちと、抱き合いハイタッチし、喜びをかみしめる。私達もその輪の中で喜び合った。


 防衛戦が終了して町へ帰る道中。デストロイヤーとは直接戦っていないけど、デーモンたちを引き受けたりしていた人達とも合流。お互いを労いながら勝利をかみしめていた。


 北も「キング・リッチ」を倒したとかで沸いていた。次の夜の戦いの時は全部倒そう! いける、といった声が出始めてきた。バランスがおかしい、と言っていた姿はなくなっている。


 昼の戦いも週末による数の暴力で快勝。東の将軍クルトームをついに破り、クルトーム撃破が条件になっていたらしい「アーサーVI世」も勢いのままに倒すことに成功した。


 夜に行われた戦いでは、強い人を極力東西に割いて「厄災・バロム」と「真・カルマ」の討伐に成功したという情報が入ってきた。


「次は4体同時撃破だぁー!」


「「「おおおー!!」」」


 各地で盛り上がるプレイヤー達と、一緒になってはしゃぐNPC達。


「この分なら明日も人が多そうだね」


 そういうクゥちゃんの表情も明るかった。


「…まさか第三ステージとかは言わないよね」


 不吉なことを言うのはやめてほしかった。



――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン玄人】Lv35【STR強化】Lv39【ATK強化】Lv30【SPD強化】Lv31【言語学】Lv41【遠目】Lv36【体術】Lv48【二刀流】Lv59【祝福】Lv26【スーパーアイドル】Lv31


控え

【水泳】Lv28


 SP42


称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者 ホマレの惚れ人 ファルカナンドの救世主 かまくら職人

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ