連戦
250話到達です!
これからもよろしくお願いいたします。
魔動砲の威力は絶大だった。参加人数が多いと止まることを知らないモンスターの波が押し寄せてまさに「流される」と言われていた東エリアだったはずだけど、魔動砲が撃ち込まれその波にちょっとしたブレイクタイムが出来上がっていた。
特に東エリアは夜戦の「カルマ」に備えて魔動砲が一つ他の方角に比べて多いこともあって、横に広く、縦に広く、と攻撃範囲の切り替えができるので私達が対峙する頃には孤立したスケルトンか、または運よくすり抜けたウルフの集団という小規模なものになっているので楽々と対処できる。
「数の暴力が聞いてあきれるぐらいだなこりゃ…、お! 昨日西で一緒だった奴らじゃねぇか!」
「ど、どうも」
最初の防衛戦で一緒に戦っていて、私達PTの会話に入り込んできていた盾役の人が話しかけてくる。どうやらこの人のPTも今回は東エリアで戦うみたいだ。
東エリアは数は多いけれど強敵の出現がないため魔動砲で蹴散らし続ける限り私達のように接近戦で戦う人たちは暇になる。防護壁の上の魔動砲の砲台ではMPを貢ぐ係りの人が少しだけ疲れた表情をしているのがなんとも申し訳なく感じてくる。
魔動砲をかいくぐる一握りのスケルトンは防護壁の目の前を陣取る初心者たちに譲り、ウルフを叩く。ウルフにしろスケルトンにしろ数が少ないので競争率は高い。
そんな感じで(ゲーム内で)昼の防衛戦は終了。各地も魔動砲の導入で比較的楽に戦えたみたいだ。西エリアのスケルトン・クルトームも討伐できたみたいだし。
北エリアの上級者脱落の原因も分析通りだったみたいで、脱落者は大幅に減り、ついでに棺桶に入っていた骸骨も倒してしまったらしい。
クールタイムを挟んで昼に行われる「夜戦」。
参加人数も多いことから「カルマ」「アニマ」「サタン」の三体の出現が予期されていた。そのため北エリアには中堅に位置するぐらいのプレイヤーがかき集められ、ミカちゃんは今回も明り要員として一人別行動になってしまった。
今回助っ人は見つけられなかったので5人で行動することに。そのため巨大モンスターが出ない比較的安全な北エリアで参戦。
「カルマ」がNPCを殺せるけれど、カッサ曰く「とある有力な情報筋」からそれ以外の巨大モンスター「アニマ」と「サタン」には殺せないということで「カルマ」が出現する東エリア以外にはNPCも参戦するので戦力は厳しいことにはならないみたいだ。
私達は人数が少ないので防護壁の前を陣取る初心者たちのサポート役に割り当てられることになった。他の方角の死闘っぷりは分からないし、森に入って行ったプレイヤー達がどんな戦いを強いられているのかもよく分からないけど、森の木々の間からわらわらと溢れ出てくるスケルトン軍団を初心者たちが捌けるようにサポート役を割り当てられた人たちと一緒に倒していった。
「なんか楽な戦場ばっかりに出向いてるよね」
「偶然でしょ」
どことなく物足りないと言った表情のクゥちゃんにそんな言葉を返すけど、正直なところ私も全くそんな風に思わないかと言われるとそうでもない。
無事に防衛は成功。昼に倒した棺桶の骸骨も見当たらなかったそうで、何かのキーになるのか、などの推測が飛び交うことになる。
ちなみに私と舞浜君がいつ攻撃が来るのか、と身構えることになってしまったあのモンスターは大したことないらしい。次もし見かける機会があればぜひともボッコボコにしたいところだ。
三体の巨大モンスターに関しては一度倒しきった「サタン」に加えて「アニマ」も時間ぎりぎりで倒すことに成功したらしい。だけど「カルマ」は被害こそ減ったものの倒すことはできなかったみたいだ。
次は21:00からの戦いということでそれに備えて各自一旦ログアウトする。次はゲーム内で昼になるのでミカちゃんも合流できるはずだ。
ログアウトしても現実では未だ夕方。早いうちにお風呂に入ろうと思ってお風呂を掃除してお湯を入れる。うちのは自動なのでいちいち確認をしなくていいので便利だ。その隙に掲示板でも見ながら私なりに情報集め。私が知る大体の情報はカッサ経由のことが多い。
といっても大体私が知ってることばかりが議論されていた。その中で気になった話と言えば復活しないモンスターの話だ。
「サタン」は倒しても再び現れたのに、昼夜両方で出現が確認されている棺桶の骸骨は昼の戦いで倒した後、夜の戦いの方では姿が確認できなかった。これに何か意味があるのでは、という話だった。
だけど結局、「サタン」は倒した後、昼の戦いや三体の巨大モンスターが出現しなかった夜の戦いなど何度も防衛戦を行っている。一方で棺桶の方は昼に倒してその直後の夜の戦いで出現しなかったことから同じには語れない、みたいな流れになっていた。
お風呂が沸いた頃。颯爽と部屋から飛び出し階段を下りてお風呂場へと向かうと、すでに先客が…。
「人が! 人が…人がお風呂も洗ってお湯も入れて備えてたのに!!」
「残念だったな、湯を入れたのはお前じゃない! 機械だ、妹よ」
その「残念だったな」はどこにかかってるのかわかんないし!
とりあえずお風呂はお兄ちゃんに先を越されたらしい。まぁいい、夜ご飯の後に先を越されないように早めに準備して入ろうと思っただけで、今先を越されても問題はない。…はず。
壁越しに少しだけゲームの話をすることになった。同じゲームの話をする兄妹なんて、仲がいいでしょ? でもその代りお風呂の取り合いという戦いをする羽目になりますが。
お兄ちゃん達はさっきの戦いでは東エリアで「カルマ」を迎え撃ったらしい。話を聞く限り相当強いようだ。
「カルマ単体だけで出てくるんならまだ戦える、取り巻きが面倒だな…」
あ、今浴槽から出てどこかしらを洗い始めたな、と思いながら耳を傾ける。
「カルマにやられるより、カルマに状態異常にされて取り巻きにやられる方が多いな」
マイペースにお兄ちゃんは話を進める。
「もう一度やれば倒せると思うんだけどなぁ…でも参加人数によっては出てこないし、次の機会が同じメンツそろえられるとも限らないし」
また浴槽に戻ったな。っていうか、
「あの、いつまで話聞いてればいいんですか?」
話が途切れたと思ったところで話を続けて出ちゃいけない空気を作り続けられるので尋ねてみた。
「なんだ、やっぱりまだいたのか、もしいたら気まずくならないように話してただけなんだが」
どうやら私の兄は知らないうちに、運が悪ければ大きな独り言を言ってるだけ、というギャンブルをやってたらしい。
「じゃあ、上がったら言ってね」
そう言い残して私はお風呂場を後にする。
その後お兄ちゃんの次は死守し、21:00に行われた昼の戦いには準備万端で挑むことができた。今回は南エリアでトロル達とも戦った。
そして見事に防衛には成功した。
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NAME:ナギ
【ブーメラン玄人】Lv25【STR強化】Lv25【ATK強化】Lv13【SPD強化】Lv20【言語学】Lv41【遠目】Lv28【体術】Lv41【二刀流】Lv59【祝福】Lv14【スーパーアイドル】Lv19
控え
【水泳】Lv28
SP18
称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者 ホマレの惚れ人 ファルカナンドの救世主 かまくら職人
次回は火曜日の更新です。




