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ナギ記  作者: 竜顔
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金竜の森

更新しようか悩んでたら遅くなりました。

すいません。

 私の不安は的中したようで、あれからキノミンゴールドと遭遇することはなかった。どうやらカッサのリアルラックの無さに巻き込まれたみたいだ。


 と全部をカッサのせいにするわけにもいかないかもしれない。元々これまでよりプレイヤーの数が増えているのも遭遇率を下げる要因になっているはずだ。


 私が冷静(?)にキノミンゴールドに遭遇しなかった理由を分析している傍らでカッサは少し気落ちした様子だ。


「物欲センサーって怖いな」


 言ってることは悲観的だけど声色はそこまでじゃないのでおそらくこれはそういうフリをしているだけみたいだ。


「この場合物欲センサーって言うのかわからないけどね」


 キノミンゴールドを倒しても【黄金の果実】が手に入らないなら物欲センサーともいえるけど、そもそも遭遇しないんじゃなんて言うのかわからない。


 私のその指摘にカッサも「確かに」と笑う。


 キノミンゴールドと遭遇することもなくジパーンガに戻ってきた後、私達はログアウトした。結局クゥちゃんがログインすることはなかった。





 翌日。去年とは違う新しい要素が発見された。それが「金竜の森」。金色の森の北側がなんとなくキノミンゴールドと遭遇しやすいと感じるプレイヤーが多かったらしく、それを検証するために北側を散策しているうちに発見したエリアだそうだ。


 その森で出現するのは「金竜」。その名の通り金色の鱗をしたドラゴンだそうだ。普段は四足で歩いているらしいけど立ち上がって戦うこともできるらしく、二足で立ち上がった時の高さは成人男性の身長と同じくらいらしい。


 今日はログインするとフレンドリストのクゥちゃんの欄がログイン中になっていた。


『ナギちゃーん、あけおめ、今どこ? ボクは一応ジパーンガにいるよ』


 ログインすると早速クゥちゃんからコールがかかってきた。なので今いる位置を教える。クゥちゃんが合流する直前にカッサがログインしてきた。金竜の森の情報はそのカッサが持ってきた。


 カッサによると金竜を倒すと手に入る【金竜の鱗】をジパーンガのメインストリートの先にある大きな屋敷に持っていくと特殊なエリアに行けるらしい。そこのボスを制限時間内に倒すと【黄金の果実】を5個もらえるということみたいだ。


「ということで金竜の森に行きたい、金竜自体はそんなに強くないらしいし」


 とカッサは力強く言う。おそらくここ最近のキノミンゴールドのことが原因と思われる。金竜の森でうまくいけば一気に黄金の果実を5個手に入れられるのでその欲に負けてしまったのかもしれない。いや、むしろキノミンゴールドを諦めたのかも。


「でもボスがどれくらいの強さかまだ話が出てきてないんでしょ? ボクは追いかけっこしたいし」


 カッサの提案に否定的なのはクゥちゃん。しかしこれは仕方ない。何故なら彼女はあの苦行を知らないんだもの。カッサはどこか優しげな視線をクゥちゃんに送り、多分私も同じような視線を彼女に送っている。


「え!? 何!? そんな優しい目で、変なこと言った?」


 その視線に挟まれてクゥちゃんは動揺している。とはいえクゥちゃんがキノミンゴールドを追いかけている姿を見てみたいと思うのも事実。


「まぁキノミンゴールドは北側で遭遇しやすいって言うし、金竜の森は北に向かっていれば着くんでしょ? ならどっちもでいいんじゃないかな?」


 と私が言うとクゥちゃんは「そうだね」と頷き、一方カッサはやれやれという感じで肩をすくめる。


 さて、このクゥちゃんの元気はいつまで持つだろうか。


「うわぁ金ぴかだぁ」


 金色の森に入ってすぐクゥちゃんは立ち並ぶ木々に茂る金色の葉っぱに興奮しっぱなしだ。何度も見ている私達はさすがに飽きてきている。キノミンゴールドを探すときに目がちかちかするなぁ、とすら思い始めている。


 最初に抱いた感想が薄れていくのもおそらくこの森に潜む金色の悪魔のせいだろう。会えない倒せない手に入らないの三重苦はこの無駄に豪華な森にいら立ちすらも覚えさせる。


 金竜の森の噂を聞きつけてか北側に向かうプレイヤーは多い。


「今変な声が聞こえなかった?」


「「ここではよくあることだよ」」


 キノミンゴールドと遭遇したか逃げられたかした人の叫び声を聞いてクゥちゃんは反応する。だけどそれに私とカッサが声を重ねて突っ込む。最初のころはこの声が聞こえたらすぐキノミンゴールドが逃げてくるかも、と思えたものだけど今だとこの距離なら来ないな、と思えるようになってしまった。


「ていうか今思えばクゥちゃん索敵できるんだよね…」


「うん」


 私の呟きにクゥちゃんは首を縦に振ってこたえる。


「それって面白さ半減だよ!」


「でも全然反応がない、モンスターいなさすぎ」


 カッサが何故か嬉々とした表情で言うけどクゥちゃんはこの森のトラウマに足を踏み込みそうになっている。


 キノミンゴールドには一度遭遇した。だけど逃げられた。クゥちゃんが一生懸命追いかけたけど逃げ切られてしまった。


 それでクゥちゃんがリベンジに燃えているうちに金竜の森に入ってしまった。金竜の森は金色の森と違い立ち並ぶ木々以外には何もなく見通しがいい。



「プレイヤーばっかり、やっぱりキノミンゴールドを探してた方がいいんだよ」


 見通しがいいということはそれだけ他のPTがどれくらいいるかもよく見える。クゥちゃんはその人の姿を見てカッサに抗議する。


「いやいや、さっき逃げ切られたじゃん? だからキノミンゴールドに限界を感じてこっちに来てるんだって」


 カッサがいつになく食い下がる。考えてみれば話を聞く限りカッサも私に比べれば全くと言っていいほどキノミンゴールドと遭遇していない。思ったより根が深いのかも…。


 とりあえずプレイヤーが見当たらなくなる辺りまで歩いてみよう、と進む。


 しばらく歩いているとただでさえまぶしい木々の中で低い位置から輝く何かが目に入った。


「反応があるよ」


 それを後押しするかのようにクゥちゃんが自身のレーダーに反応があることを教えてくれる。


「金竜も逃げるの?」


「さあ?」


 クゥちゃんの問いかけにカッサはとぼけるようにして首を傾げる。そこまで情報は回ってなかったらしい。


 …大丈夫かな、キノミンゴールドより金竜優先して。


――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン玄人】Lv14【STR強化】Lv13【ATK増加】Lv35【SPD強化】Lv11【言語学】Lv41【遠目】Lv24【体術】Lv37【二刀流】Lv53【祝福】Lv5【スーパーアイドル】Lv9


控え

【水泳】Lv28


 SP11


称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者 ホマレの惚れ人 ファルカナンドの救世主 かまくら職人

少し短いですが。



次回は1月4日の予定です。よいお年を。

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