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ナギ記  作者: 竜顔
227/276

帰途

 火曜日。


 予定されていた時間より数時間メンテナンスが長引いたこともあって、昨日はあれからログインすることはなかった。


 いつの間にか更新されていた公式サイトで今回のイベントのランキングやその他の表彰が行われていた。



            サンタポイント成績


              1位エース

              2位テツ

              3位フランダート

              4位ホーク

              5位レイブス

              6位ガイア

              7位マギー

              8位ホウガン

              9位カザグルマ

              10位セバスチャン



            キングダルマ最多討伐


               ホーク

               エース

               テツ

               カザグルマ

               ホウガン

               ボマー



            かまくら最多来客


        幸福のかまくら(ナギ、クゥ、マルセス、舞浜)



            最多悩み解決数


             フランダート



            最多得点喪失


             ボマー



            サンタ賞(MVP)


            フランダート



 という感じで、キングダルマ最多討伐が「神風」勢が占めていることを考えるとPT単位での表彰といって差し支えなさそう。これらで表彰されたプレイヤー達にはアイテム等の何らかの褒賞があるらしい。質的にはサンタ賞、サンタポイント上位3人、4位5位、6位~10位、お悩み解決、キングダルマ、かまくらの順になるみたいだ。ちなみに得点喪失はいらない物が贈られるそうだ。


 ということで私達の知らないうちに私達が作ったかまくらは多くのプレイヤーが訪れてくれたみたいなのでそれに応じた褒賞がもらえる。


 ランキングを確認した後褒賞が気になりログイン。


 するとマルセスさんからPTを抜ける旨が書かれたメッセージが来ていた。どうやらしばらくクリスマス島を野良でうろつくそうだ。


 と、それよりも褒賞。運営から来ていたメッセージによると称号が追加されたようだ。ということで称号の欄を確認。【かまくら職人】が追加されていた。


 どんな効果が、と期待したけど生産系のプレイヤーが喜びそうな効果であんまり私達には恩恵がない内容だったので少しガックリ。雪製のアイテムを扱う作業の時に品質劣化を防ぐらしい。


 イベントが終わってもクリスマス島はそのまま実装されるらしい。でもメンテナンスの時間が延長してしまったのはイベントの時といろいろ変えようとしてのことだそうだ。イベントが終わって目にわかる変化として酒場に併設されていたサンタ協会の部分に明りが灯っていなかった。


 ゲーム内の時間は夜。酒場から外に出るとプレイヤーの数もまばらになっていた。元々第三の村、ということにも関係があるのかもしれないけど、イベントの時より閑散とした雰囲気を感じる。


「あ、ナギちゃんここにいたんだ」


 酒場の目の前で村の雰囲気を眺めていたらクゥちゃんが酒場から出てきた。今ログインしたらしい。


「帰らないの?」


「帰るって?」


 クゥちゃんの問いかけに質問で返す。


「クリスマス島から、他の人達もそうしてるみたいだよ、あ、マルセスはうろつくんだっけ」


 どうやらマルセスさんはクゥちゃんにも私に送ったのと同様のメッセージを送っていたみたいだ。


 それよりほかの人達はクリスマス島から帰ってるんだ。ユキダルマーとかスキルのLv上げによさそうなのに。


「でもユキダルマー狩りとかは?」


「ん~、モンスターも色々変わってるらしいよ」


「え、そうなの?」


 クゥちゃんによるとモンスターは少し強化されてしまったみたいだ。ユキダルマーは純粋に攻撃速度が極端に遅いということはなくなり、HPもそれなりになってしまったらしい。また、モンスターも新しいモンスターが配置されたこともあって帰って準備をしたり、適性の狩場に行く人が多いそうだ。


「ナギちゃんだってダガーの在庫がないんじゃなかったっけ?」


「…だね」


 結局お互い確認したらそんなに装備の状態もよろしくないということで帰ることにした。


 クリスマス島にやってきたときにくぐった門を通って港の方へと向かう。港についてしばらく待つと船がやってきたのでそれに乗り込む。意外と船に乗り込むプレイヤーは多かった。


 夜の海に向かって船が出港する。


 船の構造はクリスマス島に来た時と同じ。広間は豪華な中今回のイベントがどうだったか、というような話をする人で溢れていた。


 出港してしばらくすると広間の電気が消えて嫌な予感が…。


 ステージの上にある小さなステージにスポットが当たり、そこに見覚えのあるドルマークの眼鏡がいた。


「いやっほーみんな! おなじみドルメガネだぜ! え? 知らない? それはあんたが来るとき俺が乗ってない船で来ただけだろうがYO!」


「また出るんだねぇ」


 私の隣にいるクゥちゃんが呆れたように呟く。


「みんないい子でやってたかい? めちゃくちゃ頑張ったんじゃないのかなぁ~? ということで俺的に一番頑張ったって思うやつを紹介するぜ!」


 ドルメガネの唐突な発表に会場がざわつく。ランキングの発表でもするの? とか、この船の中で一番ポイント高い人が発表されるんじゃ…とかの予測が飛び交う。


「おお? ざわついてきたなぁ~、さっそく紹介するぜぇ~俺的に一番頑張ったと思うやつは~」


 とドルメガネは引っ張り、全員が真剣にドルメガネの方を見る。


「サンタクロース!!」


 人差し指を天に向けるような決めポーズでドルメガネは高らかに発表した。ずっこけるようなリアクションをするプレイヤーもいれば一気に冷めた雰囲気になるプレイヤーもいた。そして私達のようにどちらのリアクションにも乗り遅れてしまった人たちもいる。


「なんてったってジングルベルで呼ばれればすぐに駆けつけて、たとえ複数人から呼ばれようとも嫌な顔せずMerry Xmas! といい笑顔で言っぱなしで誰よりもこのイベントで忙しく、そして彼の頑張りがあってこそ成功したと言えるんだぜ!」


 それはそっちの都合のような気が…。と突っ込む勇士もいたがドルメガネはこれをスルー。


「おっと、もうすぐポルトマリアに着くみたいだな、次会う時まで風邪ひくなよ? 最後にこんな茶番に付き合ってくれてサンキュー!!」


 とドルメガネが言い終わるのと寸分違わずスポットライトが消えて再び広間に明りが戻った時にドルメガネはいなくなっていた。


 こうして無事にクリスマス島から帰ってきた。ポルトマリアにはもう雪は残っていなかった。



――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン玄人】Lv9【STR強化】Lv8【ATK増加】Lv31【SPD強化】Lv8【言語学】Lv41【遠目】Lv22【体術】Lv34【二刀流】Lv52【祝福】Lv1【スーパーアイドル】Lv9


控え

【水泳】Lv28


 SP8


称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者 ホマレの惚れ人 ファルカナンドの救世主 かまくら職人

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