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ナギ記  作者: 竜顔
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クリスマス島の冒険:キングダルマ

 全員で一歩を踏み出して楽園に入ったことで今回は吹き飛ばされてばらばらになることはなかった。


 私達が楽園に入るや否やそこら中のユキダルマーが私達の方を向いて攻撃態勢に入る。距離が離れてても攻撃ができるのが私ぐらいなのでまずは私がダガーを使って道を開く。【パワースロー】を使えば数体貫くので道も開けて同時にダガーの節約にもなる。


 その開けた道をクゥちゃんがみんなから離れない程度に駆け回っていく。わらわらと集まってくるユキダルマーに数で押されないように注意しながら食檄体勢に入ったユキダルマーを優先して倒していく。マルセスさんは基本的にSPDアップ系の能力強化でより速く殲滅できるようにサポートしてくれている。


「あいつ、完成形に近づいてる、クゥちゃん!」


 順調に行っているように見えても数が数だけにやっぱり雪の砲弾が完成する前に倒すことができない奴も出てくる。目が利く私が周囲を見回してそいつを発見した。その位置がクゥちゃんとも距離があり、私だと前に他のユキダルマーが出てきて当たらない可能性があるので無難に守りを固めることに。


 駆け回っていたクゥちゃんは野生動物のような動きで三人のところに戻ってくる。それを確認した舞浜君が砲弾が完成しているユキダルマーの方向に盾を構えて攻撃に備え。私達は別の方向のユキダルマー達を倒していく。


 【ビッグブーメラン】――【ブーメラン初心者】Lv30で習得するアーツ――は両手を広げたくらいの長さに手のひらには収まりきらない幅という大きなブーメランを発生させそれを地面に水平に投げるというアーツだ。


 その大きさの分だけより広い範囲のモンスターを攻撃することができ威力も十分。またアーツで発生させたブーメランのため途中で弾かれても拾いに行かなくていい、と今の状況にはぴったりのアーツだ。


 どんどん使いたいところだけど――ブーメランが返ってくれば半分返ってくるんだけどそれでも多い――MP消費量とCTクールタイムの長さのおかげでこういう状況では使いどころを見極めないといけない。


 【ビッグブーメラン】によって周囲に湧き出たユキダルマーを倒し、それが返ってきて私のMPが半分戻ってきたのとほとんど時を同じくして


 ドゴォン!


 発射された雪の砲弾が舞浜君の盾とぶつかる。爆風で少し体が飛ばされそうになったけど、舞浜君も含めて全員生存していた。


「鉄壁が通用するみたいでよかったぁ~」


 と舞浜君は額の汗をぬぐう仕草をする。


「ちゃんと調べたんだから当たり前だろ! これで貫通とか衝撃波とかの効果まであってみろ、もはやここは地獄だろ」


 とマルセスさんが突っ込む。マルセスさんは知らないけど舞浜君は【鉄壁】が使えなかった人だからね。っていうかまだ不安なんだ…。


 私達三人がそんなことに気を取られている間にすでにクゥちゃんは動きだしていた。ちょっとしたスペースを見つけては今まさに攻撃態勢に入っているユキダルマーを次々と倒してはそのスペースを広げて自分の動ける場を作っていく。


 私も負けじと周囲を見渡して砲弾が完成しているユキダルマーはいないか見ながらダガーで倒していく。はたして楽園から帰る時にダガーは残っているんだろうか…。


「クゥちゃん! まっすぐ行ったところに!」


「了解!」


 クゥちゃんが戦っている集団の先に砲弾が完成間近のユキダルマーがいたのでクゥちゃんに知らせる。素早い身のこなしでそのユキダルマーの前まで躍り出ると一瞬でその爪で引き裂く。クゥちゃんも獣モードに入って動きもキレキレだ。


「満腹度とかにも気を配れよ!? ギリギリで、とかだと不利になるかもしれん」


 マルセスさんがみんなに呼びかける。動きっぱなしではあるけどそんなに満腹度が減っているというわけでもない。でも1時間もつか、と言われたら厳しそうだから注意しておくべきだ。


 【パワースロー】や【チャージスロー】といったアーツを使って極力ダガーの節約をしながら多くのユキダルマーを倒していく。


 それでも完璧とはいかずユキダルマーの砲撃を何度か許してしまう。それを防ぐたびに必要以上にほっとしている気がしてならない舞浜君が気になるんだけど。


 そろそろ満腹度の回復をした方がいいかな、と考え始めたころそれはやってきた。


 突如空が暗くなり、上を見上げると白い大きな何かが落っこちてきた。


 ドスン!!


 という音とともに周囲の雪が巻き上がる。その巨大な物体の正体はどこの雪まつりの作品だろうか、と思うほどの大きな雪だるまだった。


「あれがキングダルマか」


「でしょうね」


 マルセスさんの言葉に相槌を打つ。呆気にとっれていたので若干素っ気ない感じになってしまった。


 大きさのあまり錯覚してしまいそうだけどキングダルマとはそれなりに距離がある。最低でも私のブーメランが届く範囲にはいない。近づいてこない限りそこまで気にする必要もないのかな。


 とか思ったのも束の間。キングダルマはその大きな胴体からユキダルマーの2倍はあろうか、という雪の砲弾を放出した。


 ドオオオオオオォォン!!!


 キングダルマが放出した砲弾が地面に落下すると太い雪柱が立つのと同時に轟音が響き地面が揺れる。幸い私達とは反対側の方だったので全くと言っていいほど被害はない。


「…あれが俺達の所に来たらどうなるんだ?」


「舞浜」


「舞浜君」


 マルセスさんの口から漏れた言葉を受けて私とクゥちゃんは舞浜君を見る。あれも舞浜君に盾になってもらうしか…。


「分かってるけど…大丈夫かな?」


 舞浜君は少し不安そうだけど、あれから逃げるためにここを動くとしてもそれはそれでユキダルマー達に囲まれるリスクが付きまとうので、楽園に足を踏み入れて数歩先でほとんど後ろをとられる心配のない今の位置をキープする方がいいような気もする。


 キングダルマが再び砲弾を放出する。砲弾を放出するときキングダルマは少し跳ね上がるのでわかりやすい。そして今私達がいる位置を時計の6時の位置だとすれば最初にキングダルマが砲弾を落としたのが12時の位置。今落とした場所は9時の位置だ。


「ということは次か」


 舞浜君は意を決するように呟き。神経をそれに集中させる。なのでその間にユキダルマー達の攻撃が来ないようにこれまで以上に注意をしながら私達もユキダルマーに対応する。


 2度目の放出からしばらくして、またキングダルマが跳ね上がる。そして雪の砲弾が私達の方に向かってくる。こうしてみるとユキダルマーの砲弾の2倍どころか3倍近い大きさだ。


 ドッゴオオオオオオオオオオオオオオオオオン!!!


「うわぁ」


「うぅ」


「うおぉ!」


「くっ」


 耳が痛くなるような轟音と立っていられなくなるような爆風。そしてそれをアシストするかのように揺れる地面。爆風に吹き飛ばされた際に若干のダメージを負ったみたいだけどとりあえず生きてる。とはいえメンバーが少し離れ離れに。


 クゥちゃんはそのままユキダルマーを狩ることを優先したようだ。【サークルスラッシュ】を狭い範囲で発動して近くを取り巻くユキダルマーを殲滅してなんとか舞浜君やマルセスさんと合流する。


 どれぐらいのスパンでキングダルマが砲弾を放出するのか結局わからないままだったけど、それから何度か訪れた砲撃をなんとか防ぎきって1時間耐え抜くことに成功した。


 1時間が経過すると光に包まれて視界が真っ白になり、気づくと洞窟の中に戻っていた。雪だるまの楽園への入り口となるはずの場所はただの壁となり、洞窟への入り口には夜の闇が映っていた。


「あの、精神的に外出たくないんですけど…」


「奇遇だな、俺もだ」


「ボクも…なんか疲れた」


「でも村まで戻らないと…」


 今回ものすごく頼りになって一番きついであろう舞浜君がまともなことを言っているので、ユキダルマーと遭遇しないことを祈りながらも結局遭遇し、だけど無事に村に戻ってきた。


 村に戻ってくるとPTメンバー全員同じ部屋というわけではないけど相部屋許可がおりていたので、それぞれの部屋に分かれて、適当にあいてるベッドを登録してログアウトした。


――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン玄人】Lv6【STR増加】Lv50【ATK増加】Lv31【SPD増加】Lv50【言語学】Lv41【遠目】Lv22【体術】Lv34【二刀流】Lv52【幸運】Lv50【スーパーアイドル】Lv9


控え

【水泳】Lv28


 SP28


称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者 ホマレの惚れ人 ファルカナンドの救世主

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