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ナギ記  作者: 竜顔
213/276

クリスマス島の冒険:第四の村

ブックマーク件数1000件を初突破いたしました。

これを励みに頑張っていきたいと思います。

 第四の村は第三の村と似ていて円形の柵に囲われて村の中央には噴水のあるちょっとした広場がありその周りを各施設が取り囲んでいる。


 建物の外観は違うけれどそれぞれの施設の配置も第三の村と似通っている。


 ヴァイスさんを先頭にして第四の村の宿屋まで歩いているとふと目の前に重装備のプレイヤーが立ちふさがった。


「ん?」


 急に前に立ちふさがったプレイヤーにヴァイスさんは首を傾げる。重装備のプレイヤーはフルフェイス型の兜をつけているためその顔や表情がよく分からない。


 重装備のプレイヤーは首を傾げるヴァイスさんを無視してその手に持っている斧を振り上げ…。


 ――振り下ろす!


「――む!」


 ヴァイスさんは慌てて後ろに引きさがり、間一髪のところで回避する。


「何だ?」


 マルセスさんは後ろにいたため状況がよくわかってないみたいだ。


 重装備のプレイヤーはヴァイスさんに攻撃を躱された後、私の方に踏み込んできた。本来ならダメージ判定もないしちょっと痛い思いをするだけですむので相手がそのつもりなら攻撃を受けても気にはならない。もちろん他のプレイヤーをPVPでもないのにあからさまに攻撃するのは歓迎されない行為だ。


 だけどそもそもこのプレイヤー、どうも様子が変な気がする。


 その違和感に気を取られていた私は動き出しが一瞬遅れ、重装備のプレイヤー(?)の斧を受けてしまう。


「うぐ」


「ナギちゃん!」


 想像よりも重たい一撃に私の身体は宙に浮いて後方に吹き飛ばされる。そして同時に私のHPバーも減っていた。違和感の正体は多分これだ。


「なんだこいつ!? モンスターか?」


 私のHPが減ったのを見てマルセスさんも戦闘態勢に入る。重装備のプレイヤー(?)はクゥちゃんへと攻撃を開始していたけどクゥちゃんは軽やかにそれを回避する。


 回避行動をとったヴァイスさんもインベントリから鉄球を取り出し重装備にぶつける。


「んな!」


 だけど重装備はヴァイスさんの鉄球を盾で受けてそのまま受け流す。流した先には直前に重装備の攻撃を回避したばかりのクゥちゃんがいた。さすがのヴァイスさんもこれを予想していなかったのか今まで聞いたことのない声を上げる。


 受け流された鉄球をクゥちゃんはギリギリのところで回避した。


 起き上がった私は今まさに攻撃直後で隙だらけのヴァイスさんに向かっていく重装備の前に出る。見た目通りこの重装備は攻撃を受けることが得意な様子。それなら動きを止めればいい。


 ――誘惑。


 重装備は斧を振り上げた状態でピタッと動きを止める。


「おお! ナギ様の投げキッスを受けれるなどなんてうらやま…けしからん!」


 ヴァイスさんに「今です!」と振り返ろうかと思ったら変なスイッチが入ってしまったみたいなので後ろは振り返らなかった。


 誘惑の発動モーションは「ウインク」や「投げキッス」。私が採用しているのは「投げキッス」だけど私はアレンジを加えて、口に当てた手のひらを見せる、という形式になっている。だからまさか誘惑の発動モーションを知らずにあれを見て「投げキッス」と判断したわけじゃないと願いたい。


 ともかく、怒りの化身と化したヴァイスさんは鉄球を空に投げ上げ、鎖が最も張った瞬間鎖を引くことで強引に鉄球を落とす。


 そのまま重装備の頭に直撃。スノーマソ相手にはわからなかった衝撃波のエフェクトがより鮮明に、何度も何度も力強く巻き起こりこの肌に届く。


 そして衝撃波が巻き起こるたびに重装備のフルフェイスの兜が、その重苦しい鎧が、倒れ行くその身を支えるように地面に刺さっていた盾が、ボロボロと砕けていき、フルフェイスで隠れていた顔が現れ、胴体は未装備状態の薄着になり、ついには地面に俯せに潰された。


「……すご」


 そのインパクトにクゥちゃんもそういうだけで精一杯だった。


 しばらくその状態で残っていた重装備の肉体は、私が思考を取り戻す頃に光の粒となって消えた。


「今のはすごかったなぁ!」


 マルセスさんがヴァイスさんに興奮した様子で駆け寄る。


「そう言ってもらえて何よりです」


 ヴァイスさんは丁寧に返す。よかった、変なスイッチはオフになったみたいだ。


 ふと周囲に気を配ると一瞬前の私と同じように呆然とこちらを見ている人もいれば、思考を取り戻し何やら近くの人とこちらをちらちら見ながらしゃべっている人達もいた。当然ながら目立ってしまったらしい。


「そ、それよりも今の人? は何だったのかな?」


 クゥちゃんはヴァイスさんの一撃に興奮冷めやらぬ様子のまま、今襲ってきた重装備のことを尋ねている。


「さぁ? そればっかりは…」


 あいにくそれはヴァイスさんにもわからないことのようだ。


 気を取り直して第四の村の宿屋へ。部屋は丁度空いていたみたいで何事もなく部屋を割り当てられた。


「ひとまず休憩にしましょう、私はユキダルマーの狩場の状況を確認してきますので、では」


 部屋に着くとすぐヴァイスさんはそう言い残して部屋を出て行った。…て休憩してないじゃん。


 風のように去って行ったヴァイスさんはほっといてそれぞれ休憩をとる。そういえば何故一瞬で「投げキッス」と分かったのか聞きそびれてしまった。…真実を知るのが怖くて聞きづらいんだけど。


 20分ぐらいするとヴァイスさんは戻ってきた。


「狩場と時間的に今日中に第五の村にへ入れるようになるのは無理そうです」


 と告げる。話によるとイベント開始時と比べて第五の村を拠点とするプレイヤーが増えたことや、第五の村に入るためにユキダルマーを狩るプレイヤーが増えたことで狩場の確保が難しいそうだ。


「ですのでベッドの登録はしておいていいかと思います」


 第三の村の時の部屋と部屋の構造やベッドの配置はほとんど同じ。唯一違うのは窓の位置。第三の村の時は部屋の最奥に大きな窓があったけど、こちらでは部屋の右側、ベッドの枕の上の位置に小さい窓がある感じだ。


 そのためクゥちゃんとの窓際のベッド争奪戦は行われなかった。


 ベッドを登録した後ヴァイスさんのソリに乗ってユキダルマーの出現地域に行く。ヴァイスさんが言うように確かにあちこちで戦闘のエフェクトが出ていたり、人影を見かけたりする。


「ユキダルマーは皆さん一撃で倒すことができると思いますので見つけ次第即攻撃してください」


「「はい」」


「わかった」


 ヴァイスさんの言葉に全員頷きユキダルマーの捜索に出る。この時にはソリを使わない。スピードが出過ぎて見過ごしが起きたり、却って戦いづらかったりするからだ。


 もっとも数が多いと言われるユキダルマーもプレイヤーが多いせいか滅多に見当たらず、結局数を稼ぐことはほとんどできなかった。


 夜が来る前に第四の村に戻り、サンタ協会でサンタポイントを確認する。



トナ・カーイ討伐47体×2pt

スノーマソ討伐100体×2pt

ユキダルマー討伐8体×3pt

ドッペルゲンガー討伐1体×10pt+5pt

相部屋許可15pt


合計348pt



 ん? ドッペルゲンガーとかいうのを倒したことになってる。あのプレイヤーっぽいやつかな。


 スノーマソの75体討伐と100体討伐達成でジングルベルが二つ。ドッペルゲンガー初討伐でさらにもう一つもらえた。これでジングルベルの合計は6個だ。そろそろ1個ぐらい使ってみてもいいかもしれない。


ちなみにランキング



1位 ホーク     3021pt 第五の村

1位 エース     3021pt 第五の村

1位 テツ      3021pt 第五の村

1位 ホウガン    3021pt 第五の村

1位 カザグルマ   3021pt 第五の村

6位 マギー     2745pt 第五の村

6位 ロイド     2745pt 第五の村

8位 ボマー     2721pt 第五の村

9位 フランダート  2578pt 第一の村

10位 レイブス    2472pt 第五の村



 ……見なかったことにしよう。



――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン初心者】Lv30【STR増加】Lv48【ATK増加】Lv12【SPD増加】Lv46【言語学】Lv41【遠目】L19【体術】Lv34【二刀流】Lv50【幸運】Lv50【スーパーアイドル】Lv9


控え

【水泳】Lv28


 SP26


称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者 ホマレの惚れ人 ファルカナンドの救世主

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