クリスマス島の冒険:白
正面からクゥちゃんが攻撃を仕掛けてスノーマソにガードさせ、そのガードが解除されるタイミングを計って私がブーメランを投げて攻撃。
スノーマソが私の方を向いたらそのままクゥちゃんが攻撃を仕掛けて撃退。
うまくタイミングが合わずガードのどつぼにはまってしまったらヴァイスさんが一撃でスノーマソを粉砕して次の標的へ。
私とクゥちゃん、マルセスさんの三人でスノーマソ一体と対峙し、その間ヴァイスさんはこちらに気づいて近づいてくるスノーマソを撃退する。
あとはそれの繰り返し。途中から数えるのをやめたというか戦っているうちに何体倒したのか忘れてしまってから数えていない。私達が必死に一体と戦ってる間にヴァイスさんが複数体倒していることもあるので余計にスノーマソを倒した数は分からない。
みんなに確認しようにもほとんど休む間もなく次の標的へと向かわされるので目標の100体までのゴールがどこまであるのかはわからない。
マルセスさんもデバフはやめてバフ(能力強化)に徹している。「若気の至りで取った」という水魔法でのみ使えるMP回復魔法で私達はアーツを使い放題だ。マルセスさんのMPポーションの消費がすごそうだけど。
ヴァイスさんが使う武器は鎖につながれた直径1mぐらいの大きな鉄球。確か鞭の派生武器だったと思う、鞭の感じほとんどないけど。その鉄球もヴァイスさんらしく鎖もろとも真っ白に塗装されている。
スマートな体でその巨大な鉄球を振り回す姿は違和感があるけど、衝撃の効果がつけられている鉄球の威力は絶大でガード中のスノーマソでも一撃で雪塊へと変えてしまう。その光景を見て全部ヴァイスさんにやってもらえばいいんじゃ…と思ったのは内緒だ。
「ふぅ、今日はこれくらいにいたしましょうか、これ以上遅くなると夜が来てしまいます」
と本日の何体目かを倒した後ヴァイスさんが告げる。
「今日中はさすがに無理だったな」
マルセスさんはスノーマソを何体倒したのかわかっているみたいだ。いや、ヴァイスさんのトーンで100体に届いてないことが分かっただけかもしれない。
「では帰りはこれで」
とヴァイスさんが何やら取り出す。ソリのおもちゃみたいなものだ。それを軽く投げ上げると地面に落ちる直前に巨大化してサンタクロースが乗ってるソリと言われてイメージするソリが目の前に現れる。
「6人までは乗れたはずです、ささ!」
まず真っ先に私が乗せてもらい、次にクゥちゃん、マルセスさん、最後がヴァイスさんの順だ。
「では帰りますよ、ゴー」
とヴァイスさんが言うと誰にも引かれてないのに勝手にソリが動き出す。
「これ、なんですか?」
「これは魔法のソリというアイテムですね」
私が問いかけるとヴァイスさんは答えてくれる。曰くサンタクロースからもらえるプレゼントの中の選択肢にあったらしく、普通に歩く約3倍のスピードで移動することができるアイテムだそうだ。でも使えるのはこのイベント期間のみで、イベント終了後はマイホームの雑貨と化すようだ。
「移動が楽ですし、マイホームがあるなら取っておいて損はないかもしれませんよ」
と言われたけどマイホームを持ってないので損じゃないですか! と心の中で叫んでおく。
「行きはこれに乗って行けばもっと早かったんじゃないのか?」
「いやぁ、私がついていく形になったものですから出すタイミングを失ってしまいまして…」
マルセスさんの指摘にヴァイスさんは苦笑いを浮かべる。
時間を見るとそれなりの時間になっていたのでソリで帰還することを前提にぎりぎりまで狩りをしてたんだなぁ、と今更ながら思う。集中してると時間が分からなくなるよね、と自己弁護。私にとってはそれよりも
「結局スノーマソを何体倒したんですか? 途中で数が分からなくなって数えてないんですけど」
こっちの方が重要かもしれない。結構頑張ったと思うけど全然ダメ、とかだと悲しくなる。
「60体ぐらい?」
真っ先に答えたのはクゥちゃんだ。半分を超えたぐらいか、明日には第四の村に入れそうだ。
「いや、70体超えてるんじゃないのか?」
クゥちゃんの答えを聞いてマルセスさんは首を横に振り、ヴァイスさんの方に顔を向ける。
「そうですね、74体です」
とヴァイスさんは言い切った。なんだ、ヴァイスさん以外みんなアバウトだったんだ。とか全く数の見当もついてない私も問題ないじゃん。と再び自己弁護。
「あれぇ? 60ぐらいだと思ったのに」
「俺達が戦ったのはそれぐらい、近寄ってきたのを合わせて、ってことだろ?」
「ええ」
「そうなんだぁ?」
クゥちゃんは未だ首を傾げていて納得できないみたいだ。もしかしたらこっそりヴァイスさんが近寄ってきてないスノーマソも倒してたのかもしれない。たまにヴァイスさんがどこにいるかわからなくなったし。
「とりあえずサンタポイントの確認をしてはいかがですか? 数の方もそれで逆算できるでしょう?」
第三の村についてすぐ、ヴァイスさんにそういわれてそこで私達三人はヴァイスさんと別れてサンタ協会が併設されている酒場へと向かう。
トナ・カーイ討伐47体×2pt
スノーマソ討伐74体×2pt
相部屋許可15pt
計257pt
「どうやらあいつの言うとおり74体だったみたいだな」
「ですね」
サンタポイントを確認したマルセスさんの言葉に頷く。
スノーマソ25体討伐達成、50体討伐達成でジングルベルを二つ手に入れた。
とりあえずこの日のログアウトの時はカップルには遭遇しなかった。
翌日。
学校から帰ってきてすぐにログイン。カップルがいないことを確認した私はベッドから出る。クゥちゃんはまだ来てないみたいだ。
とりあえずマルセスさんにコールをかけるもつながらず。ヴァイスさんにコールをかけるべきか悩んでいるとマルセスさんがログインした。
「お、来てたのか」
とマルセスさんはベッドから起き上がる。その直後にクゥちゃんもログインしてきた。
「二人とも来てたんだ、お待たせー」
「俺は今来たんだけどな」
ベッドから起き上がった直後の状態で固まっていたマルセスさんは白い歯を見せる。今はローブのフードが取れているので表情がすべてわかる。
「それでヴァイスさんを呼ぶべきなのか迷ってるんですけど…」
私がそういうと二人も悩んだ顔をする。
「まずは宿屋から出た方がいいんじゃないか? 案外宿屋の前で待ってるかもしれないし」
「そうですね」
とマルセスさんの案に乗って部屋から出てロビーに降りる。
「お待ちしておりました、ナギ様」
「「……」」
「……ま、……」
白い鎧の金髪の騎士はピシッとした立ち姿でやや頭を下げて会釈をする。マルセスさんは何か言おうとしていたけど結局い言葉にならなかったみたいだ。
「これから第四の村に向かいますのでベッドの解約と宿屋のチェックアウトをお願いします、そうしなければまた第三の村に帰ってこなければならなくなりますので」
とヴァイスさんに言われた通り全員ベッドを解約し、宿屋もチェックアウトした。
それから村を出た後ソリに乗ってスノーマソの出現地域にまで到達。
一晩経ても昨日経験でスノーマソとの戦いにも慣れ、順調に数を倒していった。私達が安定したのを見てヴァイスさんも近寄ってきたスノーマソや、少し遠くにいるスノーマソを狩るのに専念していた。そのこともあってすぐに目標の100体に到達した。
第四の村にはソリに乗って向かう。あんまり人がいないところでスノーマソを狩っていたため第四の村に近づくほどに増えていくプレイヤーの数に驚いた。
「着きましたよ、ここが第四の村になります、ささ、まずは宿屋でチェックインをしましょう、空き部屋があるかわかりませんが」
ヴァイスさんに言われるがままに第四の村に入って宿屋を目指す。
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NAME:ナギ
【ブーメラン初心者】Lv29【STR増加】Lv48【ATK増加】Lv10【SPD増加】Lv46【言語学】Lv41【遠目】L19【体術】Lv34【二刀流】Lv50【幸運】Lv50【スーパーアイドル】Lv9
控え
【水泳】Lv28
SP23
称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者 ホマレの惚れ人 ファルカナンドの救世主




