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ナギ記  作者: 竜顔
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クリスマス島の冒険:ポイント

 第五の村のプレイヤーがランキングの上位を独占…どころか私達よりはるかにポイントが高いことに私だけじゃなく二人も驚いている。


「第五の村は有利とか聞いてたけど…こんな圧倒的に? 今朝5時の時点で、てことはえーっと少なくとも6倍以上離されているってことか」


 とマルセスさんは一瞬止まっていた思考を強引に再起動させながら考えている。


「ま、まぁ減点もあるからなんとかなるでしょう!」


「…多分ならない気がするけど……」


 私のポジティブシンキングはクゥちゃんによって否定されてしまった。


 上位には追い付けないとしてもポイントが高いといいことがあるので自分たちのペースで稼いでいくしかない、ということで休憩を終えた後再び準備を済ませて村の外に出る。


 先ほどポイントのランキングを見たせいか、トナ・カーイに群がるプレイヤーが凄まじく必死な形相に見えてしまう。そんな彼らの横を通って行き、トナ・カーイを見つける。


 トナ・カーイ狩りももう慣れたもので私が雪玉を当ててクゥちゃんが詰めていき、マルセスさんが能力強化や状態異常で私達のサポートをする。


 それを繰り返してしばらく。ゲーム内での夜の時間が近づいてきた、ということで村に戻った。


「ものすごく集中してたからあっという間だったね」


 クゥちゃんがいい汗をかいたというような表情で言う。


「そうだな」


 クゥちゃんの言葉にマルセスさんも頷く。とはいえクゥちゃんはよく気づいてないみたいだけどやっぱり幻惑系の状態異常で暴れ回るクゥちゃんを見て楽しんでたよこの人。今、クゥちゃんの言うことは尤もだ、て顔してるけどクゥちゃんほど「狩りには」集中してなかったと思うんだけど!


 だけどそんなそぶりを見せながらも手際よくバフやデバフを絶妙なタイミングで放って私達の戦いがスムーズだったのは分かっているので言うに言えない感じでもある。


 サンタ協会で今のサンタポイントを教えてもらう。


 トナ・カーイ47体×2pt、相部屋許可15ptで109ptだ。


 結構な時間狩りをしても今朝5時の時点での第五の村の人達の3分の1程度だ。やっぱり第五の村は有利らしい。


 トナ・カーイ25体討伐達成によってジングルベルを一つもらった。二つ目は50体討伐でもらえるみたいだ。使うのは自分が好きなタイミングでいいらしいのでサンタポイントをもっと稼いでから使おう、と私達は使わなかった。


 夜になるとできることが極端に少なくなるので宿屋へと帰ることになった。


 宿屋に戻ってきて部屋に向かう途中。


「なんていうか、二人ともジャージだし、なんか部活の合宿みたいだな」


 マルセスさんの唐突な一言に、私とクゥちゃんは顔を見合わせて「確かに」と笑う。


「でも現実だと男女同室はまずいよねぇ」


「大丈夫大丈夫、サンタポイントが減るとわかってれば誰も何もできないって」


 私の指摘にマルセスさんはいたずらっぽく笑いながら親指を立てる。これは何かする人のポーズだ。と私の勘がささやく。


「まぁ冗談は置いといて、と」


 ガチャッ


「お、開いてる」


 とマルセスさんがドアを開ける。嫌な予感が…。


 バタン!


 開けかけたドアをマルセスさんが慌てて閉める。私の予感が的中したらしい。


「どうしたの?」


 何も知らないクゥちゃんがマルセスさんに尋ねる。するとマルセスさんは少し考えて


「そうだな、ラブストーリーが展開されてたな」


 とある程度オブラートに包んで説明した。クゥちゃんはよく分かってないみたいだけど一応納得はしたみたいだ。


 ガチャッ


「あのぅ、もういいで! ……すよ」


 ドアを少し開けてその隙間から女性が顔をのぞかせる。おそらくマルセスさんぐらいしかいないと思っていたみたいで私の顔を見た女性は一瞬驚いていた。


「失礼…」


 マルセスさんはそう言って部屋に入る。この場合どちらが失礼なのかわからないけど。私達もそれに続いて部屋に入る。


 部屋には男性がバツが悪そうにあらぬ方角を見て立っていて、女性が主に私を見ながら愛想笑いを浮かべて申し訳ないという雰囲気を作り出している。そうするくらいならここでそういうことはやらなければいいんじゃないですかねぇ。


「その、二人が仲睦まじいことに文句を言うつもりはないが、現実と違ってこの宿では相部屋なんだ、気を付けた方がいい」


「はい、わかりました」


 マルセスさんの忠告に女性が返事をする。男性の方はだんまりだ。


「むぅ、リア充め!」


 クゥちゃんが威嚇体勢に入っている。とはいえ女性からしてみれば威嚇体勢に入っているクゥちゃんより私の方が気になるみたいだ。


「あ! お二人さんは部活の合宿みたいですね!」


 と女性は少し大げさに言う。話をそらそうという魂胆らしい。


「どうも」


 と少し冷たく返しておく。


 それからカップルの二人がバツが悪そうにしている中、私達は明日のことを話していた。私たちが遊ぶような時間ではもうゲーム内に昼が来ないので。


「まぁ二人ともログインで来て17:00くらいか、えーっとゲーム内では…夜か…、昼になるのは微妙な時間だなぁ」


 と私達のログインできる時間を聞いた後マルセスさんは唸っていた。昼が来るのは19:00からだ。


「明日はせいぜいトナ・カーイの狩りができる程度か」


 とマルセスさんは一応の結論に達したようだ。


「まぁそうなるよね」


 クゥちゃんもマルセスさんの到達した結論に頷いている。


「ランキング見る限りじゃすぐに第五の村まで行きたいけど他の村に行くにはその周辺のモンスターを一定数倒さないといけないみたいだから明日のうちには難しそうだし」


 マルセスさんの結論に頷く理由をクゥちゃんが述べる。


「その辺の情報も大切だが、周辺のモンスターの情報も必要だもんな、多分今日明日あたりで全部出揃うと思うから場合によっては明日からいけるかもしれないけどな」


 とクゥちゃんの考えにマルセスさんはポジティブ方向での可能性を話す。


「とりあえず、今日はもう解散だな、でないとカップルもいちゃつきたくてうずうずしてるし」


「え! 私達は別にそんな…」


 急に話を振られたカップルは…というか女性は驚きながらも否定している。男性は相変わらずだんまりだ。


「そうだね」


 クゥちゃんの一言でお開き、それぞれのベッドにもぐりこんでログアウトした。


――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン初心者】Lv25【STR増加】Lv45【ATK上昇】Lv40【SPD増加】Lv43【言語学】Lv41【遠目】L19【体術】Lv34【二刀流】Lv50【幸運】Lv50【スーパーアイドル】Lv9


控え

【水泳】Lv28


 SP30


称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者 ホマレの惚れ人 ファルカナンドの救世主

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