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ナギ記  作者: 竜顔
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幸運?

 街の門から再び外に出て、プニットを狩る。プニットのHPは15らしく、固定ダメージ【1】の石15個で倒すことができた。プニットを狩る間大量に石を拾っては投げ、石が尽きたらまた拾い―― この繰り返し。


 時々プニットを倒した後、光の粒子みたいなのが自分の胸の中に吸収されていくことがある。なんだろう? っと思って考えてみてもよくわからなかった。


 ある程度、プニットを狩ったところで区切りをつけ街に戻る。手に入った素材をNPCの店に売ることを決め、何かの店がないか散策する――までもなく武器屋があった。門のすぐ近くにあった。というよりも開始地点のすぐそばで見渡せば確認できる範囲だった。


 (今もいるけど)あの時はいっぱい人がいたもん、それに石拾って投げたらタダですむもん、と言い聞かせて心を落ち着かせ武器屋へ――


「おや、新人かい?」


 と武器屋のおばさんNPCは


 初心者ダガー×20


【初心者ダガー】

 武器カテゴリー:ダガー

   ATK+2(STR依存)


 20個・・・て少なっ! ただ、タダ!?――ダジャレのつもりはないからね。――


 聞いていたとおりに(STR依存)と表記してある、「投擲はSTRの能力が高いといいらしいよ」と教えてくれた友達に嘘はなかったみたい。


「初心者へのサービスだからね、次からはちゃんとお金払うんだよ?」


 そういわれたのでとりあえずプニットからの戦利品を売りつけ――レア素材があったみたいで高く売れた――ダガーを買おうとすると・・・。


「売ってない・・・」


 ダガーは武器屋では売ってなかった。投擲用の武器はどこで取り扱ってるの? という疑問が残るも面倒なので、ダガーがどんなものかの検証のためまた街を出る。


 再びプニットさんには生贄になっていただいた。なんと初心者ダガーだと4発で倒せた。ということは20個って結構な量だったんだと感心する、自分の頭は石で支配されていたらしい。


 ――あぁ石を拾った時間をなかったことにしたい。


 そんな気持ちになりながら5匹倒した――その最中にも何度か光の粒子となって私の胸に吸収されていく何かがあった――ところでダガーも尽きた。4匹目を倒すあたりから1匹にかかる数では石のほうが多いのでスキル上げという観点からは石のほうがいいのかもしれないと、石拾いは無駄じゃなかったと思えるようになった。


 武器屋の近くに防具屋さんがあったので今度はそこで素材を売る。一応マップを見ることができるけど、どうやら一度施設を利用しないとマーキングしないらしい。


 時間を確認すると昼時だったので一旦ここでログアウトした。


 昼食を食べ、再びログイン。石を拾えばお金はいらないし、と街を出て石を拾おうとしたら、


「君!」


 という声とともに後ろから襟をつかまれた。後ろを振り返ると初心者装備ではない先輩プレイヤーと思われる男性がいた。


「さっきからそこら辺の石を片っ端から回収してるだろ? 生産者を目指してるのかもしれないけど、そういうプレイヤーは他にもいるんだから」


 どうやらそこら辺の石も有限らしく、取り尽くすとまたとれるようになるまで時間がかかるらしい。「独り占めはだめだよ」と注意されてしまった。あと、話の流れから生産にかかわるスキルは採集と鑑定で最初はレベルを上げるらしいことが分かった。


 このゲームにはジョブ(職業)はないので生産者としてプレイするなら専用のスキルを取得する必要がある。生産系のスキルは特殊スキルに分類されている。


 ――そういえば、草を採集している人がいたな。私にはアイテムとして確認できないから対応したスキルがないと素材の採集もままならないのかも。石が回収できるのは武器として使えるからなのかな。


 もう石を拾うことができないので街に戻る。どうやら街の散策は避けられない運命らしい・・・。ずっと視界に入れないようにしていたプレイヤーの露店が並んでいるほう――門から街に入って左側――へ歩いていく。


 ――っと、ゲージが減ってる。


 すっかり忘れていたけど満腹度と渇水度がありそのゲージが0になってしまうと動きが制限されたり、HP、MPが減り続けていくというペナルティが発生するとのこと。


 ポーション類(回復薬)や食料は一応もとからイベントリの中にあった。こんなことなら武器も最初から・・・、いや、だから開始地点の近くに武器屋があるのかも。


 ゲームの世界でもランチ(?)を食べ、プレイヤーの露店めぐりに――


 おそらく初心者を狙って出張してきているのか、思ったより数も少ないし初心者でも頑張れば手が届くような値段のものばかりだった。投擲用の武器はやはりない。


 ――プレイヤーの露店を見た後街をぶらりと歩いた、街はぐるりと円状に壁で囲われていて、東西南北にそれぞれ門があり、開始地点は東門の近く。南門の近くに、プレイヤーのメインマーケットがあるらしく素通りしただけでも値段が高いとわかるものが並んでいた。


 街の南西のエリアにアイテム屋と、近くに家具屋があった。アイテム屋にはポーション類がおいてあったが投擲用の武器は・・・ない。


 散策が楽しくなったので帰りは違うルートで東側のエリアへ行こうとして、迷子になった。さまよいながらなんとか東門の近くにたどり着いた。どうやら夜になったらしくあたりが薄暗くなり、街灯も灯り始めている。


 武器屋で確認したいことを確認して、そろそろ夜ご飯の時間なのでログアウト。


 覚えてますか? 今日は私の誕生日ですよ? ここ大事ですから! あっゲームのほうでも誕生日になるんだ、っとそれはどうでもいいね。


 夜ご飯を食べた後、ゲームのためにそそくさとお風呂に入ったお兄ちゃんを待って「バースデー」ケーキを食べ、お風呂・・・髪を乾かし、ログイン。


 ゲームの世界では完全に夜になっていた。東門の人も少なくなっている・・・。きょろきょろしていると一人の男性プレイヤーが声をかけてきた。


「ねえ、名前はなんていうの?」


「はい?」


 またナンパ?


「おい! そこ何をやってるんだ!」


「ちっ」


 そう舌打ちをして、名前を聞いてきた男性プレイヤーは立ち去っていった。


「よかった、間に合ったみたいだ」


 そういって名前を聞いてきたプレイヤーを追い払った男性が近づいてきた。


「とりあえず・・・今日の君は悪いほうで目立ちすぎだ、下手をすればMPKになる行為や、大量の石の採取、ストーカーされたというプレイヤーもいるし」


 ――はい、迷子になったとき近くを歩いていたプレイヤーの後をつけました。


「今名前を聞いてきたのも君の名前を晒すためだろうね、一部では別アカを使った嫌がらせプレイじゃないかとか疑われてるから、気を付けたほうがいい」


 そういってそのプレイヤーは立ち去って行った。――あっ、いろいろ聞けばよかった…。


 とっさに考えが至らない自分のトロさにイライラしつつ、投擲用の武器を扱ってる店を探す。


 夜ご飯前に確認したら武器屋には楽器類もおいてなかったので、おそらくそれらを取り扱う店が別にあるに違いない。


 東門からみて正面に一本道があり、その左右に建物が並んでいる。その左側の東門から見て一軒目に武器屋がある――ええ、だから普通はすぐ気づくはずなんですよねぇ――右側の三軒目あたりが防具屋。この道をまっすぐ進むと中心街につく、中心街はプレイヤー用のマイホームや、生産系の作業場なんかがあるので厄介な敵が増える夜の時間帯は休憩するプレイヤーで賑わうようだ。


 道の途中で立ち並ぶ建物に間が空きそこから路地や脇道に入ることができるけど、おもしろがってそこを通ってたら迷子になったので今はまっすぐ進む。


 そろそろ中心街に差し掛かろうかとするところで行ったことのない店、「雑貨屋」の看板を見つける。


 ここが自分の探していた店に違いない、そう思って店のドアを開け――ることができなかった。


〈開店時間〉

  2時~8時


 このゲームでは現実で夜間しかプレイできない人が、常にゲーム内でも夜でなくてすむように朝5時間、夜5時間の計10時間でゲーム内の1日ということになっている。


 【幸運】スキルでもリアルラックはどうにもできなかったらしい。なんだか疲れたのでログアウトした。異世界で過ごした17回目の誕生日は散々なものだった・・・。


――――――――――

 NAME:ナギ

  【投擲】:Lv7 【STR補正】:Lv5 【幸運】:Lv3 【】 【】


  SP8

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