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ナギ記  作者: 竜顔
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面盾の勇者デュラハーン

 駆け出すデュラハーンの前にゆうくんが立ちはだかる。


「何度やっても同じこと」


 と叫びながらデュラハーンが近づく。そこにジェットさんの【一閃】が放たれる。デュラハーンはそれを難なく弾くけど、


「ぬぁ」


 と少し痛がるそぶりを見せた。


「なるほど、衝撃波か」


 デュラハーンは何かに気づいたようだ。衝撃波による追加ダメージ。これはガードしても通るので固い敵相手に重宝される能力強化(バフ)だ。シンセさんが曲を変えたのはこのためだろう。


 あらゆる攻撃を弾いてみせるデュラハーンにもダメージを与えることはできるけど隙が作れるほどじゃない。実際足が止まってないし。


 それでもダメージが通れば一瞬の動きに鈍りが出ることも事実。それを考えれば足がかりにして一気に崩したいところ。


 デュラハーンにダメージが入ったことに気づいたゆうくんも自ら前へ踏み出す。


 そして今再び盾と盾がぶつかり合うという瞬間。


「パリィ!」


「うわ」


 デュラハーンはゆうくんを受け流し、足を止めないまま受け流され前かがみになっているゆうくんの後頭部めがけて剣を振り落とそうとする。


 その瞬間を待っていたかのようにしてクゥちゃん(本家)が、デュラハーンのがら空きになった左わきに飛び込み、右手の爪を突き出しにかかる。


 おそらく盾で防ぐのが精一杯のはず。そして防いでも衝撃波で微量にダメージを蓄積させられるし、隙もできる、と考えて私は射線を探して動き、呼応するようにジェットさんも紙飛行機を構えたまま動く。


 クゥちゃんに反応したデュラハーンがパリィを発動て右に動かしていた盾を左側に持ってくる。私はダガーを投げるために右腕を引く。


 ――ガキィン!


「「「へ?」」」


「うわぁ…」


 その瞬間を見ていた三人――シンセさん、ミカちゃん、私――は変な声を漏らし、当事者のクゥちゃんは気持ち悪そうな声を上げる。ジェットさんも何かの異変に気付いたのか攻撃をやめて様子をうかがっているようにも見える。


 目の前で起こった出来事に理解がついていかずダガーを投げそびれてしまった。幸いにもゆうくんに振り下ろされるはずだった剣はデュラハーンの頭上で止まっている。その瞬間を見てなかったゆうくんも急いで振り返ったけど何が起きているか理解できておらずきょとんとしている。


 確かにクゥちゃんの攻撃はデュラハーンの盾に当たった…。と言うか…咥えられたというか。


 さっきまで何もなかった盾には今五角形の一つだけ飛び出た角を顎にして口や鼻、目が浮かび上がっていた。そしてその口にクゥちゃんの爪が咥えられていた。


 口の反対側に当たる部分は爪を咥えているというのに特別突き出たりしておらず、あの口の中はどこにつながってるんだろうか、と変に逃避し始めた自分がいる。


「プッ」


 とデュラハーンは…というか盾はクゥちゃんの爪を噴き出す。クゥちゃんはその爪を今まで見たことがないくらいの情けない表情で見つめている。


 いかにゲームだとか、そもそも盾だとか言っても普段使っている武器が口に入れられるのは抵抗があるようだ。ご愁傷様です。


「…拙者に奥の手を使わせるとは、なかなかやるようだ」


 未だ思考が停止している私達をよそにデュラハーンは話し始める。


「むむ、驚いておるようだな…それもそうか自己紹介に抜けがあったな」


 といってデュラハーンは左手にある盾…じゃなくて顔…じゃなくて、やっぱり盾、を頭上に掲げる。


「拙者の名は『面盾』のデュラハーンなり! 奥の手を使わされた以上、手加減はせぬぞ! 全力でいざ! 勝負!」


 と盾…顔は叫ぶ。ジェットさんはこの状況でも冷静だったらしく、宣言した直後に溜めに溜めた【一閃】を放つ。


「リフレクト!」


「やば!」


 だけどデュラハーンはそれに反応してみせる。盾に当たって跳ね返った【一閃】がジェットさんを襲う。…大分前のPVP大会でも同じような手法でやられてませんでしたっけ。一瞬上がったジェットさんへの評価はひとまず元に戻しておく。


 ジェットさんは【一閃】をなんとか躱し、シンセさんは演奏を再開する。クゥちゃんは未だ起動せず、ゆうくんはデュラハーンの背後から攻撃に出る。


 ゆうくんの攻撃をひらりとかわしたデュラハーンはクゥちゃんに狙いを定めて走り出す。なんとかしなきゃとダガーを投げてみたりするけどジェットさん同様飛び道具は全て弾き落とされる。衝撃波によるダメージが入っているとわかっているせいか当初のように動きを一瞬止めることすらもできない。


 何とか立ち直ったクゥちゃんの目の前で地面を蹴り前方宙返りをしながら剣を振り落とすけれど、その間にクゥちゃんはすでに別の場所に移動していた。


 振り返るデュラハーンにクゥちゃん(ペット)とミニゴーレムが迫る。――が、


「カアアッッッッツ!!!」


 と盾が口を大きく開けて叫ぶ。部屋中の空気がビリビリと震動し、私達の身体が動かなくなる。それはほんのわずかな時間だったけれどミニゴーレム、クゥちゃん(ペット)、クゥちゃん(本家)を立て続けに斬り捨てそれぞれ一撃でHPが0になる。


 シンセさんは新たにウルフと小さい赤いドラゴンを呼び出した。ドラゴンの方はすぐさまデュラハーンの目の前まで飛んでい行き見た目とは裏腹に力強い炎のブレスを吐く。


「スゥーーーー」


「うわ…」


 だけどデュラハーンの盾についてる顔がそれを全て吸い込んでしまった。


「ブバァ!!」


 そして当然のように吐き出す。


「キャー!」


 一番近くにいた私は急いで退散する。


 入れ替わるようにしてゆうくんがデュラハーンの前に立つも、デュラハーンはそのまま猛進してくる。


「鎧つぶし!」


「ぐわぁぁあ!」


 ゆうくんに何かのアーツを放ったらしくゆうくんはもだえる。すぐにミカちゃんの回復魔法が…来る前にデュラハーンはもう一撃を加えてゆうくんのHPが0になる。


 早業過ぎて私はぼーっと見てることぐらいしかできなかった。…って次狙われてるの私じゃん!


 私は時間稼ぎのために誘惑のモーションに入る。


「リフレクト!」


「あ!」


 一連の動作が完成する直前に盾を構えて発動されてしまったので見事に返されて私の動きが止められてしまう。シンセさんのウルフが飛びかかるも斬り捨て、ドラゴンの体当たりは受け流し、デュラハーンはそのまま私に剣を振り落と…


 す直前に回復魔法から攻撃魔法にシフトしていたミカちゃんの魔法が直撃……してない。上から落ちてくるその魔法は頭上に上げられた盾でしっかりとガードされてしまっている。


 ジェットさんのチャージスロー…かな? がデュラハーンに向かっていく。ナイス、ジェットさん! 盾を下せば魔法を受けるだろうし、剣を使えばなんとか「釘付け」時間を過ぎることができる。


「燕返し!」


 デュラハーンは振り上げていた剣をジェットさんの投げた紙飛行機に向かって薙ぐ。すると紙飛行機が方向を変えて私の方へ。


「ジェットさんのばか!」


 ただでさえ紙飛行機はアーツ時には威力が跳ね上がるというのに、きっと限界まで溜めたチャージスローを受けて平気でいられるわけがない。かろうじてHPは残ったけれど、魔法が終わって自由に動けるようになったデュラハーンに一瞬で詰められて刈り取られた。


「あぁ、死んじゃったなぁ」


 魂だけの状態で呟く。だけどなんとなく清々しさもあるのは何故だろうか…。


「見てましたよ、強すぎですよね…これ」


 近くにいたゆうくんが話しかけてくる。デュラハーンが強すぎてどうしようもない、というような表情でどこか清々しさを感じる。私の主観だけど。


 もっとしっかりした連携の取れるPTならもう少し持つんだろうけどね…。


 気付くとシンセさんも倒され、それに伴ってペットたちも消えていた。


 おかしな強さのデュラハーンは次なる標的を見据えて駆け抜けていく。(棒)


――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン初心者】Lv21【STR増加】Lv43【ATK上昇】Lv37【SPD増加】Lv41【言語学】Lv41【遠目】L15【体術】Lv33【二刀流】Lv49【幸運】Lv50【スーパーアイドル】Lv8


控え

【水泳】Lv28


 SP26


称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者 ホマレの惚れ人 ファルカナンドの救世主

ドラ○エのデュラハーンをパク…参考にしてみました。

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