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ナギ記  作者: 竜顔
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防衛戦開始

 20:00の鐘が鳴る。おそらくこのための特別なものだろう。ガチャガチャと音が聞こえる。言うまでもなく敵がやってきている。


「魔法部隊! 撃てぇ!」


 一斉に魔法が放たれる。その後前衛部隊が一気に突進していくのが見えた。


「馬がやってきたぞ! 誰か落とせ!」


「「「おおおおお!!!」」」


 騎士を馬から落としていく、勝手がわかれば楽勝といわんばかりに攻めていく。私たちがあれだけ苦労した相手も、魔法に当たれば簡単に馬から落ちて、消えていく。


 騎馬部隊はそう多くはないようで、歩兵部隊に到達するものもあらわれる…。というより敵が弱い、プレイヤーが一方的に押しているのは明白だ。防衛戦とは言ってもそんな大層なものではないような気がする。


「おらおらおらぁ! どうした! そんなものかぁ!?」


 そんな言葉を発しながらぐんぐん進んでいくプレイヤーもいる。


「はしゃぎすぎ…だな」


「え? はしゃぎすぎって?」


「まぁ、二つ名だよ、他のプレイヤーからそう呼ばれているだけだ、有名になるとつくことが多いんだ」


「ジェットさんにもあるんですか?」


「あるにはあるよ」


 騎馬部隊の殲滅が完了したみたい、となるともう後衛に割り当てられた人はやることが無くなっている。さっきから普通にしゃべる余裕もあるし。ちなみに「はしゃぎすぎ」さんは自称「元気印」であることも教えてもらった。


 これならゴブリン達も問題なく倒せてるかもしれない、援軍だとか合流だとかそれ以前の問題な気がする。


「後衛部隊! 前方へ移動!」


 前衛部隊はぐんぐん進んでいるのか、いつでもアシストできるようにと後衛部隊が前へ動く。


「俺たち二人が抜けても大丈夫そうだし、ゴブリンの方に行ってみるか?」


 ジェットさんの提案でそっちに行くことにした。よく考えてみればプレイヤーの中にはスーパーゴブリンを簡単に倒せる人もいる、プレイヤーが苦戦しないからと言ってゴブリンも大丈夫というのは少し浅はかかもしれない。


「なんだこいつは」


 浅はかだった。というより見たこともない奴がいた。馬に乗っているので騎兵ということはわかるけど、装備は今までのやつより分厚く重そうで、馬にも防具がつけられていた。


『馬から落としちゃいけねぇ』


 レフトさんが私たちに気づいたのかPTチャットを使ってくる。私にはどこにいるかはわからない。


 あの騎兵は一定の威力で攻撃を加えないとダメージを与えられず、馬から落とすと馬と一緒にアーツのようなものを使ってくるうえ、再び乗馬するとHPが完全回復するとのこと。いくらか攻撃行動をとると馬の方は動きを止めるらしく、そのうちに攻撃するとのこ。馬が動いているときは簡単に落ちてしまうため、攻撃は控えているらしい。


 今は、馬が動いているので防戦状態。しかし、馬が動いているときの方が攻撃力が高いようだ。まだ他にも敵がいるせいで、こいつ一体に集中できないため、次々とゴブリン達が狩られていく。


『このままじゃジリ貧だ』


 リングさんも焦りを隠せないみたいだ。


「う~ん、今の戦い方は間違ってるんじゃない? 他のやつら同様もっと楽に倒せる戦い方があるんじゃないかと思うんだけど」


 ジェットさんの提案のもと色々試すことにした。まず騎士を馬から落とす。


 馬から落ちるとアーツの発動体勢に入る、この時魔法はオーラのようなものでかき消されてしまう。なので、私とジェットさんで攻撃を開始、


 ――しかし


「効かない!? みんな離れろ!」


 ジェットさんが叫ぶと同時に、騎士のアーツが発動し、紫色の炎を纏った剣が振り回されると騎士の周囲を囲む炎が燃え上がり、逃げ遅れたゴブリンが消えていく。そして騎士は馬に乗り、わずかに減っていたHPが満タンになった。


 次はアーツ発動体勢に入った時に、盾と剣を落とさせる作戦。騎士を馬から落とし、レフトさんが素早く突っ込む。


 ガン! と盾でガードされる、機転をきかしたリングさんが騎士の腕を狙う。


「だめか!」


 腕に当てても騎士は盾を落とさず、先ほどと同じアーツを発動。レフトさんとリングさんのHPが一気に削られるのが見えた。


 馬の動きが止まる。


『馬の動きが止まった時に落とすと、馬もアーツを使ってくる』


 レフトさんからの助言。


「また落としてみるぞ!」


 動いているときより苦労したけど、動き始める前に騎士を落とす。そして再び私とジェットさんで攻撃し、レフトさんとリングさんともう一人のスーパーゴブリンが一斉に突っ込む。


「何!?」


 効果はなかった、そのうえ馬のアーツは地面に衝撃を加える感じのやつで、地面に衝撃波なのか土埃なのかのエフェクトが出て、その範囲内にいたゴブリンの足が止まり、騎士の炎で消えていく。スーパーゴブリンの三人も大きなダメージを受けた。一旦後ろに下がっている。


 ――しかし意味はあった。


 騎士への攻撃は効果がなかった、でも馬に攻撃を加えたゴブリンがいた。そしてダメージを与えることに成功した。


 馬が動き出す。


「馬を倒せばいいのかもしれない、昼の時は騎士が消えたら馬も消えたから考えなかったけど」


「そうですね」


「次は馬が動いているときにもダメージが入るのかやってみよう!」


 ジェットさんの提案で再び馬から落とす。そして今度は一斉に馬を狙う。だがダメージは入らない。


「馬が動きを止めるまで耐えろ! そしてそのあと一斉にやるぞ!」


 レフトさんが大声を上げる。ジェットさんには何も言わずとも通じたみたいだ。ジェットさんがアーツのチャージを始めた。


 馬にしろ騎士にしろダメージが入らないときは攻撃をはじかれる感じで、部位は関係ない。ダメージが入る時はどうかわからないけど、今は当てることだけを考えよう。


 馬が動きを止める、ゴブリン達がものすごい勢いで騎士を馬から引きずりおろす。そして、回復して戻ってきたスーパーゴブリン三人が一斉に馬に突っ込み、攻撃。ジェットさんのアーツも打ち込まれる。


 馬のHPは一気に八割削れる。しかし、アーツが発動し、ゴブリンが消えていく。しかし、騎士が乗っても馬のHPは回復しなかった。全員がほっとした表情になる。


 ゴブリンは消えては増え消えては増えを繰り返しているので、おそらく死に戻りしている。だかと言って状況がいいわけではないけど、敵のからくりが分かった以上、死に戻ってくるのは頼りになる。


 周りを見回す余裕も出てくる、このボスっぽい奴以外はすべて倒したらしい。


 馬が動き出す。


 しかし、焦らず対処していく。馬が動きを止めるタイミングを全員が今か今かと待ち構える。


 馬が動きを止める。


 一斉にゴブリンが群がり騎士を落とす。そして馬への集中砲火。ついに馬が消える、しかし騎士は残っている。


 騎士がアーツの準備をキャンセルした。そして普通に攻撃行動に移った。騎士に標的を変えて突っ込んだゴブリンが餌食となる。が、普通にダメージが通るようになった。


「なるほど、馬を倒して普通のボスってことか」


 ジェットさんが感心している。私たちはPTで陣形を作って騎士と対峙する。


 騎士の攻撃をリングさんが受け、その隙をついてレフトさんが攻撃を加える。今まで出番のなかったゴブリンの攻撃魔法部隊もやる気満々。普通のゴブリンも隙あらば突っ込む。私とジェットさんはアーツを使い、CT中は休まず投げる。まさにゴリ押し。


 騎士は盾でガードしても防ぎきれず、アーツの発動もできないらしい。


 そして、しばらくして騎士は消えた。


 プレイヤーたちの方から魔法のエフェクトと思われるものがみえる、勝利の喜びというよりは、激化しているようだ。


「何か来たぞ」


 ジェットさんの声に視線を近くに戻す。また見たことのない騎兵が現れた。防衛戦は思ったより簡単なものではないらしい。


――――――――――

NAME:ナギ

 【投擲】Lv28【STR補正】Lv23【幸運】Lv19【SPD補正】Lv22【言語学】Lv20【視力】Lv2【】【】【】【】


 Sp19


称号 ゴブリン族の友

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