表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ナギ記  作者: 竜顔
182/276

エイロー方面

遅くなって申し訳ないです。

 エイロー方面。誰が言い出したかビギ北西のピクシーの村、その北に位置するエルフの里、その北東のエイローと、エイローに至る途中にある町及びエルフの里の北西側エイローよりやや距離がある獣人集落密集地帯まで含めてを指す。


 一応エイローにはカッスール公国側から行けるようにはなっているけど、モンスターの兼ね合いもあって主流はこの「エイロー方面」ルート。


 エイローに至るまでピクシーの森、と世界樹の森が広がりエイロー周辺まで森林地帯が広がっている。この森林地帯はモンスターは昼の時間帯は第六エリアのモンスターよりもやや弱い程度だけど、夜になると動きが活発になり、能力も上がるうえに状態異常攻撃を乱発してくるようになる。そうなると第六エリアのモンスターよりやや強くなる。


 その分だけスキルのLv上昇が早くなるとかであえて夜の時間帯に狩りに出るプレイヤーもいる。しかし今回は夜目が利かないクゥちゃんとの二人で動くので、夜の時間帯が来る前にピクシーの村に到着したいところだ。


 第四エリアでカッタリーを極力注視せず、ボスモンスターのイノボンに襲われるも他のパーティに受け取ってもらい無事にピクシーの森に入る。


 ブライトさんがいる建物はどのみち「世界樹の○○」というアイテムが無いとは入れないままのようだ。興味本位で探していたら見えない壁に頭を打ち付けた。事情がよく分かってなかったクゥちゃんから変な人を見る目が向けられていた。


 気を取り直して、精霊樹に見下ろされて広がるピクシーの森。ピクシーの村…すなわち精霊樹に近づくにつれてまわりの木々が大きくなっていくこの森に出るモンスターは4種類。


 「キノミンブルー」、「ビートルナイト」、「プチマンティス」、そしてボスモンスターの「ヘラクレスキングカブト」だ。昼間のヘラクレスキングカブト以外はアクティブモンスターだ。


 キノミンブルーはキノミンイエローの色違いで、昼間は体当たりぐらいしか攻撃手段がないのでそこまで教にはならない、せいぜい普通の木の実かと思ってたら…となるぐらいだろうけどクゥちゃんがいるのでその確率も低い。夜になるとMPにダメージを与える自爆攻撃を使ってくるので夜に狩りをする場合は注意が必要だ。


 ビートルナイトはゴブリンぐらいの背丈のカブトムシが人間のように立った姿のモンスター。肉弾戦が得意で攻撃力と防御力が高い。一方で魔法には滅法弱いんだけど、夜になると魔法にも強くなるので夜に遭遇したらボスモンスター並みの労力が必要になる。


 プチマンティスは小鳥ぐらいのカマキリだ。最低でも2~3匹の群れをつくっているらしい。人の胸から肩辺りの高さを飛行し、まったく戦意が無いように見せかけて近づいた瞬間急に襲い掛かってくる。昼間はそれで首を切られても「即死」効果の攻撃なので態勢があれば防げるのに対し夜になると「致死量の威力」の攻撃になる。どちらにせよ接近されたら距離を取るのが一番。


 また、夜は遠くから威力の低い斬撃を飛ばしてくるそうだ。威力が低くとも群れの規模によっては見過ごせないレベルのダメージを負わされる。


 ヘラクレスキングカブトはエイローではレイドボスとして扱われていたけれど普通のボスモンスター扱いになったことによりサイズは以前より一回り小さく、攻撃力も弱くなりHPも大幅に削られている。


 元々近接の物理攻撃の反射ダメージでダメージを与えるモンスターだったのでHPが削られた以外特に弱体化したという印象がなく、その上近接アタッカーキラーだった以前とは違い、受けた攻撃を衝撃波に変換して反射してくるようで油断しているとその衝撃波で後衛が壊滅させられることもあるようで、単純に弱体化したとは言い難いみたいだ。


 昼間はノンアクティブなのでこちら側から攻撃を仕掛けないかぎり戦闘にはならないけど、夜になるとアクティブモンスターとして能動的に攻撃を仕掛けてくるようになる。


 一応ボスモンスターは6人PT1組での戦闘が想定されているので、しっかりと準備を整えて挑めば当然エイローの時より「弱く」は感じるだろう。


 ピクシーの森に入ってしばらくキノミンブルーとプチマンティスに何度か遭遇した。しかし私のブーメランと相性がよくキノミンブルーはクゥちゃんが感知した時に、向こうに気づかれる前に攻撃ができ、プチマンティスは大抵【風切】の威力の前では一撃で倒せるので群れで動いていても軌道上にいる数が多いほど簡単に対処できる。


 森の中には整備された道があり、その道沿いにピクシーの村はあるので、道を外れないかぎり迷うことはなくたどり着くことができる。


 木々が徐々に大きくなり、外から見れば大きな山のように見えるその中腹あたりに当たる木々のエリアだろうか。気が付けばその巨大な木々に光がさえぎられやや薄暗くなっている。


「クゥちゃん見えてる?」


「見えてる」


 どうやら【視力】が必要なほどの暗さ、と言う判定はされていないみたいだ。


 時折遭遇するビートルナイトはクゥちゃんにとって相性がいい相手だ。カブトムシの固い殻が甲冑になっていると言えばいいだろうか、その隙間の部分までは固くはないようで、クゥちゃんは爪をそこにピンポイントで突き刺しダメージを与えている。


 お互い相性がいいようなので二人でも何の問題もなく進める。それもあって少し積極的になってモンスターを狩りながら進むようになった。


 キノミンブルーを見つけては私が攻撃。落ちてきたところをクゥちゃんが始末。プチマンティスは私ができるだけ数を減らし、撃ち漏らしはクゥちゃんが消す。ビートルナイトは私が誘惑で動きを封じたところをクゥちゃんが爪を突き刺す。


 それを繰り返しながら進んだ先――


「着いた」


 目が利く私は少し遠くにピクシーの村の入り口を見つける。モンスターを倒しながら進んだので予定よりも遅くなってしまったけど、どのみちエルフの里に行くには時間が心許なく明日以降になることを考えれば特に問題はない。


「着いたぁー」


 私とは違い、クゥちゃんは「ようこそ」の看板が掛けられたアーチをくぐって村に入ったところで宣言する。


「どうする? 思ったより時間使っちゃったから…明日の時間考えたら結局エルフの里には行けそうにないし」


 今日はここまでにして村を回ってみるのは明日にしようか、というのがクゥちゃんの案のようだ。1日が10時間で、昼夜5時間ずつのゲームを計算して、明日は学校終わりではすぐに夜の時間帯が来て森を歩くのは難しいので、明日見て回る余裕はある。


「じゃあそうしよっか」


「了解、じゃあまた明日」


 私がクゥちゃんの案に首肯すると、クゥちゃんは一言告げてそのままログアウトした。それを追うように私もログアウトした。


――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン初心者】Lv20【STR増加】Lv41【ATK上昇】Lv33【SPD増加】Lv39【言語学】Lv41【遠目】L11【体術】Lv32【二刀流】Lv49【幸運】Lv50【スーパーアイドル】Lv7


控え

【水泳】Lv28


 SP22


称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者 ホマレの惚れ人 ファルカナンドの救世主

次回は火曜日になります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ