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ナギ記  作者: 竜顔
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 運営に直訴したおかげか公式サイトには動画も画像も使われておらず文章のみで私の活躍が書かれていた。


 メッセージも多くて悩んでいたところでお兄ちゃんが「他人の口を使え」というのでホムラを使った。一応アッキーとナギの接点はあんまり知られてないのでホムラを使った方が面倒なことにならないだろう、と言う判断だ。


 最初はカッサにしようかと思ってたんだけど、ダンジョンに入った後だったみたいでタイミングが悪かった。


 それとスミフさんにお願いして仮面を作ってもらうことになっている。初心者装備に仮面をつけてたら仮に目立っても私かどうかの判断はできないはず。ベリーワーカーズの二人に作ってもらったのじゃないのはすでにばれてしまっている可能性を考慮してだ。


 これらすべてをログインせずにできるなんて、ログインしているしていないにかかわらずメッセージのやり取りができる機能を考えた開発者様様だ。


 昼過ぎごろにログイン。ゲーム内は夜。早速スミフさんの露店へと向かう。大量のメッセージが届いているけど内容は似たり寄ったり、ホムラに情報開示してもらう前後ではそのことについて、それからあとは一緒にパーティ組みませんか、のお誘いだ。


 人目を縫うようにスミフさんの店に到着し、すぐに仮面を受け取るとつける。仮面は顔の上半分を隠し、口元が出ているタイプだ。破壊無効の効果はないけどダンジョンに入ったら外せばいいので構わない。


 スミフさんと別れた後、ホムラに呼ばれてるのでホムラに会いに行く。場所は既に指定されているので急いで向かう。


 海や水着、という気分でもないのか最近では人も減っているポルトマリアにある喫茶店が待ち合わせ場所だ。


「お待たせ、話って何?」


 店に着くと、すでにホムラが座っていたので、そのテーブルの席に着く。


「あ、その前に昨日はどうもありがとうございます」


 と腰を折ってお礼をするとホムラに吹き出される。


「そんなかしこまったお礼を言われるとは思わなかった」


 吹き出した理由をホムラは述べる。


「で、話って?」


 早速本題に入る。ホムラのパーティメンバーは見当たらない。店にいるのはNPCのお客さんがほとんどに思える。


「色々大変そうだからな、…そういえばタイタンキラーはどうした?」


「壊れたよ」


 なんか話をそらされた気分になりながら聞かれたことを答える。こっちの世界でホムラと初めて会った時にもらったあの大斧はホレイーズ…ファルカナンド王国のペルケステス戦の前の怪物との戦闘でその最後を終えた。


「そうか、そう思っておさがりを持ってきた」


「は?」


 いまいち何を言ってるのかよく分からないホムラに聞き返す。


「寿命が来て耐久度の修復ができない武器はナギに渡そうと思ってストックしてあるんだ、ばらせば素材にもなるだろ」


「あ、ありがとうございます」


 確かに大斧はゲーム中でも最高の威力を持つとされているのでどんな物でも武器として投げれる【投擲】使いの私にとってもある種の切り札となる。


「いくつかあるから持ってくといい」


 と言ってホムラはトレード画面を使って次々と斧を渡してくる。


「なんでこんなに…」


 私はその数に少し顔が引きつる。ホムラの言うことが本当なら渡されている大斧たちは使い潰されたことになるはずだ。その数は4個。耐久度が修復できないほど使い込んだことがない私にとっては驚きの数だ。


「ん? なんでって、ナギ達第三陣の受付時期までヴォルカまでしかなかったんだから狩場と言えば第六エリアかそのダンジョン、あとは狭いけど第七エリアぐらいだぞ? 進行がストップするから武器のランクアップも打ち止め、次の強い武器に移行できないから同じ武器を使い続けることになるだろ?」


 威力が上の武器が手に入らないから使い潰すことができたということか。新エリアがどんどん追加されている今の時期では武器の更新頻度も早くなるので使い潰す人も減っているのだろう。決して私が物を大事にしないということでもなく、ホムラが武器を酷使する鬼ということでもないはず、多分。


 ちなみにホムラから受け取った4個の大斧はこんな感じ。



【マキシマムEX】

武器カテゴリー:大斧

 ATK+380


大斧マキシマムを極限まで強化した斧。



【赤き悪魔の大斧】

武器カテゴリー:大斧

 ATK+420


赤き悪魔の力を持った大斧。その力に溺れてはならない。



【赤き悪魔の大斧+4】

武器カテゴリー:大斧

 ATK+500


赤き悪魔の力を持った大斧。その力に溺れてはならない。



【赤き悪魔の大斧:深紅】

武器カテゴリー:大斧

 ATK+600

効果:属性付与(火)

   HP吸収

   魔法攻撃

   自動ダメージ(中)


赤き悪魔の呪いを受けた大斧。その呪いが使用者の肉体を蝕む。



 赤き悪魔でいっぱいだ。


「赤き悪魔でいっぱいだね…」


 私は思ったことをすぐに口に出す。


「そうだな、第六エリアのダンジョンのボスの素材から作れるシリーズで、当時の上限だな、どう扱うにせよ今のナギには使える代物だろう」


 とホムラが説明してくれる。最後の大斧は手に持った状態だとダメージを受けるそうだ。だから普段背中に背負う分にはダメージを受けないらしい。


 これだけ聞けば使えそうだけど、一応投げた後は持っている状態と判定されてしまうので、下手すれば回収できずにダメージだけ受け続けることになるので私には扱えない。ばらして素材に換えよう。


 となると切り札として使えるのは三番目のやつだろうか。


「じゃあ装備してみろ」


 ホムラに言われて装備する。装備すると言っても背中にかけるだけで手には持たない。


「あっ」


 赤き悪魔の大斧+4を背中にかけるとホムラが戸惑いの声を漏らす。


「なに?」


「いや、最近第六エリアのダンジョンでボス周回する奴なんていたかな、と思ってな…マキシマムの方を装備してみろ」


 ホムラの言うことがいまいちよく分からないけど言われた通りにしてみる。


「よし! これでどう見ても大斧使いだな」


 ホムラは頷く。この唐突なおさがりは私の姿をごまかすためのものだったのか、とやっと気づく。赤き悪魔の方がダメなのは多分最近使われないような装備だと却って目立つからだろう。


「最近行動してる人達と一緒に入るんだろ? それを背中に背負った状態でその人達の後ろでソロで挑戦するように並ぶんだぞ?」


「うん、わかった!」


 ホムラからのアドバイスをしっかり受け取って私は喫茶店を出る。


 クゥちゃん達と合流する前に一旦倉庫へ、バニードールの制服やウサギの人形は再び倉庫番になる。おそらくもう使われることはないだろう。さようなら。オスカーは悩んだけどまだ倉庫にいてもらう。


 そして大斧は壊されたらたまらないので擬装用のマキシマムのみだ。


 インベントリに余裕ができたら回復アイテムを買い漁る。念のために食料と飲料も買い揃える。


 物資が揃ったら待ち合わせ場所に向かう。二人にはホムラのアドバイスを伝えてある。二人の近くに到着しコールで知らせる。二人はそれとなーく自然に私の方を見て確認し、動き始める。


 数人クゥちゃん達をつける影が見えるけれど、今はそれに同調するように私も二人を追う。そしてさりげなく二人の後ろに並んだ。


 せめて明日までしのげれば攻略情報も増えて私への注目を和らぐだろう。


 順番が来た。人数が少ないパーティの次も人数が少ないとかだと前のパーティが入るまで待たずにササッと入ってしまう人もいるのでそれをまねて二人の横に並んでダンジョンの中に消えた。


「「お疲れ様」」


「そっちもね」


 ダンジョンの中に入ると、ようやく二人と直接言葉を交わす。


――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン初心者】Lv15【STR増加】Lv37【ATK上昇】Lv30【SPD増加】Lv35【言語学】Lv41【遠目】Lv5【スーパーアイドル】Lv5【体術】Lv31【二刀流】Lv48【幸運】Lv50


控え

【水泳】Lv28


 SP15


称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者 ホマレの惚れ人 ファルカナンドの救世主

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