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ナギ記  作者: 竜顔
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破壊無効

 金曜日。


 帰りのHRにちゃちゃっと席替えした。廊下と反対側の一番端の列の前から二番目。その前方には舞浜君がやってきた。これからもゲームの話が楽にできると思ったら大間違い。最近は周りのからかう声が聞こえるから油断はできない。


 ふと気づくと舞浜君がこっちを見ていた。何事かとしばらく待っていたけど彼は何も言わず…私の目に白い何かが映る。簡単な話、プリントを回してたけど一向に受け取らないから振り返っていただけに過ぎなかった。


 後ろから


「何見つめあってるのよ」


 と楽しそうな声が聞こえる。確か後ろの席は京ちゃんだったなと気づき、彼女にネタを提供してしまった。




 さて、学校のことは置いておいて帰ってきて諸々を済ませてログイン。


 カッサはログインしているけどダンジョンに入ってしまったらしい。しかもさっきまで私達を待ってたのでダンジョンに入ったばっかりだということで今日は別行動になりそうだ。


 クゥちゃんは遅れるか、ログインできないかのどちらかというメッセージが届いていた。ということは今日は一人で行動することになりそうだ。


 ダンジョンに挑戦する前にまずはスミフさんのところによってダガーと鉄のブーメランを買い取ることとしよう。


 スミフさんも最近では贔屓にするプレイヤーが増えてきた、と言うことで中心街に露店を構えている。


「練習のために作ったとはいえ一生懸命作った武器が壊されるために使われると思うと悲しいな…」


 スミフさんは私の手に鉄のブーメランを渡すときに泣きそうな顔で呟く。スミフさんによると新規のプレイヤーに少ないながら【投擲】プレイヤーがいるみたいで、彼らと末永く「お付き合い」するために投擲武器の練習に励んでいるそうだ。そしてその試作品が私に回ってくる、と。理由はまぁ、破壊のダンジョンに丁度いいからだろう。


 もちろん他の武具に関しても頑張っているようでスミフさんのレパートリーは広がっているそうだ。


 泣きそうなスミフさんと別れて私は倉庫へと向かう。破壊のダンジョンに今回は一人で挑もうと思うので、念のために「あれ」を持っていく。


 その後露店群を回って回復系のアイテムや、爆弾系のアイテムを買い揃えていく。


 カッサやスミフさんによると破壊のダンジョンは6人パーティでの突破者が出たらしい。討伐後、カッスール公国の武器屋に破壊の武器が追加されたというアナウンスがされたようだ。ちなみにカッスール公国は領内(?)には入れるけど町に入れないそうだ。ということでダンジョンが開放と関係あるのではという推測が立っている。


 またあの大きな蜘蛛の方も、カッサが見逃していただけで時々出てくると報告があったみたいだ。そしてそのレアドロップがあの蜘蛛の糸のようで、それを使えば破壊無効の効果がつけられるそうだ。


 まだ数が出回ってないため持ち込んで作ってもらうしかないけど、数が揃えばダンジョンの突破も楽になっていくだろう、と先へ進むより大きな蜘蛛を探すことを優先するプレイヤーが増えている傾向があるみたいだ。


 さて、三度目の挑戦となる破壊のダンジョン。罠に関しては即死系や、致死ダメージを与える罠と遭遇しないことを祈り、状態異常にかかる系はアイテムで一時的に耐性を上げるか、状態異常になるたびに回復アイテムを使うことで乗り切るつもりだ。


 ダンジョンに入る前の勧誘にも、ソロで挑戦するから、と断ってダンジョンの中に入る。


 少しの浮遊感とともに暗闇が広がる。松明がない分いつもより見える範囲が狭いけど【視力】があるので大きな問題でもない。範囲的には釘付け状態にできる距離だ。


「……これは」


 視界には数体の骸骨ども。それはいいとしてそのすぐ奥には階段が見える。当たりだ。


 私を攻撃しようとして釘付け状態になり動きを止めたスケルトンの横を走り去り、階段を下りていく。降りた先は通路になっていて道幅も狭く人二人程度しか通れないぐらいだ。


 まだ格下が多いので私に襲い掛かってくるモンスターは釘付け状態になることもあって何回か罠に引っかかって動きを止められる以外何の問題もなく進むことができた。


 今思えば大きな蜘蛛が私に普通に攻撃できたのは何でだろうか…。壁にはりつけにされた時スケルトンも動きを止めなかったのであの糸に何か理由があるんだろう。


 つまり私が注意するべきは大きな蜘蛛と、狼の空中での前方回転、あとは罠だろう。それと狼に騎乗しているスケルトンも前方回転で飛び降りてきたからそれもある。


 問題はどこかのタイミングで効かなくなるかもしれない、というのと格上格下の判定が装備に影響を受けるか、という問題がある。後者の場合は「あれ」で解決ができるだろう。


 モンスターと遭遇しても釘付け中に素通りし、どうしても戦わざるを得ない時に戦う、を行ってきたこともあって順調に進み4階層を突破し、いよいよ5階層目に到達。確かここからモンスターの攻撃力が急に上がってくるという話だったはず。釘付けにできるかも怪しいので慎重になる。


 罠にかかりながらも5階層を突破。ただし狼の上に騎乗していたスケルトンは釘付けにはならなかった。


 降りた先は明かりのついた部屋。3体の狼が待ち構えていた。


「うわっ!」


 これまで最初は飛びかかってくる攻撃しかしてこなかった狼が空中でぐるぐると前方回転を始める。すでに背後の階段はなくなっており後ろに逃げることはできない。


 一斉にボールにしか見えない格好の狼が私をめがけて飛んでくる。避けるために横っ飛びをすると、私がいたところに至る前に3体がぶつかり弾け、そのうち1体が避けた先に飛んできた。


 防具が破壊され弾かれた私は壁に体を打ち付ける。この攻撃は弾かれるうちはそこまで大きいダメージを受けないようで1割ほどしか受けてない。しかし壁に、仲間(?)にぶつかりバウンドするためどこから飛んでくるか予想しづらく、少し動けば避ける余裕もなくぶつかる。


 壁際でおとなしくしてても時々わずかに当たるだけで弾き飛ばされ着実にダメージが蓄積されていく。しばらく待っていると狼たちは何事もなかったかのように着地。私は回復もせずに次またあの攻撃をされないように動き出す。


 幸いにもまだ釘付けにできるようで、動きが止まったところを仕留めた。HPを確認すると7割ほど削られていた。回復した後再び装備を整えて出発する。


 思わぬところで時間が取られるも、階層自体が狭かったのですぐに次の階層へと進む。7階層目はこれまでと違い通路そのものに明りが灯っていた。


 通路で遭遇するスケルトンは未だに釘付けになるようで、不意打ちをしようとして動きが止まる連中ばかりだ。狼の行動パターンは最初に遭遇したのと同様のパターンに切り替わったみたいだ。とりあえず複数確認したらその部屋は避ける。


 しかし次の階層へと降りる階段は見つからず、どうやら避けては通れないようだ。


 最初で当たってくれることを祈りながら、狼が2体とスケルトンが2体の部屋に突入する。


 狼が地を蹴る前に猛スピードで近づき動きを封じることに何とか成功。これができれば後は簡単に倒せるので問題ない。


 この部屋ではなかったけど次の部屋で発見。下の階層に降りていく。


――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン初心者】Lv12【STR増加】Lv36【ATK上昇】Lv29【SPD増加】Lv31【言語学】Lv41【視力】Lv50【スーパーアイドル】Lv4【体術】Lv31【二刀流】Lv47【幸運】Lv50


控え

【水泳】Lv28


 SP18


称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者 ホマレの惚れ人 ファルカナンドの救世主

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