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ナギ記  作者: 竜顔
157/276

ステップアップ

「くふふ…この慌ててる感じが渚っぽいよね」


「もう! 結衣ちゃんまで」


 集合写真を撮った翌日。早速京ちゃんによって例の画像が結衣ちゃんに見せられている。


「結衣もそう思うでしょ!? どうして昨日これだけ撮られてるの…面白すぎるでしょ、あははは」


 何とも憎いのでその大きな胸をもぎ取るかのごとくわしづかみにする。


「痛い痛い! この、仕返しだ」


 京ちゃんから見事に反撃を受けて引き分け。心なしか結衣ちゃんの顔に影が差しこんでいる気がするけど気のせいだろう。うん。


 そのあと舞浜君からも「撮られ過ぎ」と突っ込まれたりしながら気が付けば放課後。


 家に帰りついたらすぐにログインする。


 舞浜君のほしい物が何なのかわからないけれどまだ届いていないらしいので、今日も変わらず第六エリアのダンジョンにて狩りを行う予定だ。


 カッサとクゥちゃん、舞浜君が揃ったところでダンジョンへ向かう。バカップルの二人はピーチさんと一緒に行動するらしい。ゆうくんの【鉄壁】の特訓だそうだ。


「公式サイト見たけど想像以上にナギちゃん撮られてたね」


 ダンジョンへ向かう途中、クゥちゃんによってはじめられた話題は昨日のことだった。


「運営に文句言ってもいいんじゃね? って思ったけどなぁ…」


 カッサは他のプレイヤーが少しやりすぎてると思っているみたいで、結果的にそれを煽ることになった運営への文句を提案してきた。


「まぁでもなんか途中から楽しかったのもあるから複雑なんだよねぇ」


 私がそう言うとみんな少し戸惑っている。最初は周りを囲む人たちが怖かったけど、見ず知らずの人と一緒に大人数でわいわいやるのはオンラインゲームならではな感じがして嫌いじゃなかった。


「それに隠し撮りされるよりはまぁいいかな…って」


「甘い気がするけど…ナギちゃんがいいならそれでいいんじゃない、でも変な人には気を付けてね」


 クゥちゃんからの忠告に真剣な表情で頷く。


 そんな話をしているうちにダンジョンへと到着する。そして中に入る。


「さて、ランキングに食い込むくらいの勢いでやるぞぉ!」


「「おお!」」


 カッサの掛け声に私とクゥちゃんが反応する。実際には無理だと思うけど。今現在はもうランキングは諦めて先に進む派と最後まであきらめない派と、ランキングは諦めるけど満足いくまでかぼちゃを手に入れる派の三つの派閥に分かれている。


 本当は四つ目のランキング上位でしのぎを削ってるのでのんびりできない派というごく少数の勝ち組も存在しているんだけどね。


 先の三つのどれに当てはまるのかよく分からない私達はもはや「作業」と言われるぐらいいつもと変わらない工程でダンジョンでの狩りを行う。


 そのおかげか今ではトレインも上達した気がする。…でも使う時がこれから来るのか微妙だ。そもそもイベント用の装備でダメージを受けないからこそできる芸当なわけだし。


 明日が休みということもあって舞浜君が「あと少し」というので夜遅くまで狩りをし続けた。


 土曜日。その11:00。


1位 ホムラ

2位 ジェット

3位 ガイア

4位 センタロウ

5位 アッキー

6位 ホーク

7位 ライガ

8位 カラテオウ

9位 セバスチャン

10位 レイブス


 あと一日を残して公表されたランキング。今回はこれまで出されていた累計が表示されていなかった。ただそれ以前までの状況を言えばホムラの独走、ジェットさんとガイアさんによる2位争いで、456位は団子状態。少し離れて下はさらに団子みたいで日々新しい名前が出てきたり消えたりしている。妹としては徐々に順位が下がっている兄には踏ん張って最低でも今の順位をキープしてほしい。


 私達は舞浜君が目的を達成したのでもうイベントは終わった派になった。舞浜君は不本意そうだったけどみんなに見送られながらピーチさんにどこかへ連れて行かれた。バカップルがそれについていく。


 カッサは諦めない派の人から頼まれて斥候に行くそうだ。なので今日は私とクゥちゃんでの行動になるかなぁ、と思っていたら私達がイベントを「やめた」ことを知ったシンセさんから誘われて一緒に行動することになった。


 ラズベリーさんから武器ができたというメッセージが来たので、シンセさんとは「Berry Workers」で合流することになった。


 みんなを見送ってヴォルカからブルジョールへ。そして「Berry Workers」にたどり着く。


「あ、ナギちゃんいらっしゃい」


 装備の依頼をするカウンターに行列ができていたのでブティックの方に入るとラズベリーさんがレジをしていた。


「あの、武器」


「わかってる、ちょっとブルーベリー呼ぶから待ってね」


 今日はいつになくさわやかなラズベリーさんに戸惑いながらも、ブルーベリーさんにコールをしているのか何やら操作をしているラズベリーさんを静かに見つめる。クゥちゃんはブティックの服を手に取って見て回っている。どちらかといえば性能重視のクゥちゃんもおしゃれに目覚めたんだろうか。


 少しするとブルーベリーさんがブティックの方に出てきた。


「ちょっと完成が遅くなってすまない」


 とブルーベリーさんが「それ」を取り出して私に差し出す。


「そこまで急ぐわけじゃないので」


 と言って私も受け取る。



【風切】

武器カテゴリー:ブーメラン

 ATK+220(STR依存)

効果:属性付与(風)

   稀に即死


風を切り裂くとされる武器。



 形状はS字型で持ち手の部分以外は銀色の刃となっているブーメランと言うより普通の投擲武器のように見える。そしてこれまでのブーメランよりはるかに性能がアップしている。


「すごいですね…これ」


「まぁな、時間がかかったのはちょっと細工したこともあってな、稀に即死と、あとATK20の分はそれによるものだ」


 色々とサービスしてくれたみたいだ。


「あ、あとそんな見た目だがちゃんと投げたら戻ってくる」


 とブルーベリーさんは付け加える。


「久々にいい仕事をしたかもしれない」


「ね~」


 満足そうなブルーベリーさんにラズベリーさんが笑顔を向ける。いつになく彼女がさわやかなのはそのせいなのかもしれない。


「ではまた」


「はーい、これからもよろしくね…あ、私そろそろ交代の時間だ」


 武器の受け取りを終えたのでレジから離れる。丁度ラズベリーさんもレジを変わる時間のようで、他の人と交代してブルーベリーさんと一緒に作業場の方に下がって行った。


「終わった?」


「うん終わった」


 二人と別れたらブティックでうろちょろしているクゥちゃんのところへ行く。


「そっか、どんな感じだった」


「結構いい感じ」


 クゥちゃんに武器の性能を教える。


「じゃあ楽しみだね!」


 私がよほどうれしそうに見えるのかクゥちゃんもどこかテンションが高い。でも私がうれしそうなのは新しい武器のことよりどちらかというと「ベリーワーカーズ」の二人と関わって初めて「普通」に用事を済ますことができたからだ。


「シンセもブルジョールに着いたみたいだね」


 とクゥちゃんがシンセさんのことを教えてくれる。楽しみと言えばシンセさんの猫の「クゥ」ちゃんもどうなってるか楽しみだ。


 色々な思いを胸にシンセさんの到着を待つ。


――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン初心者】Lv8【STR増加】Lv34【ATK上昇】Lv24【SPD増加】Lv29【言語学】Lv41【視力】Lv47【スーパーアイドル】Lv3【体術】Lv30【二刀流】Lv46【水泳】Lv28


控え

【幸運】Lv50


 SP9


称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者 ホマレの惚れ人 ファルカナンドの救世主

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