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ナギ記  作者: 竜顔
155/276

鉄壁

総合評価1500pt初突破しました。

ありがとうございます。

 カッサが戻ってくるとピーチさんに言われるままモンスターを「釣る」ためのルート分けを行い各自出発する。


 ピーチさんによると「聞くより見た方が早い」と私達に「気になること」の詳細は話してくれなかった。


 普段より一人少ないためそれに伴ってルートもいつもより長くなる。そこをきちんと通って部屋に戻ってくるとクゥちゃんとカッサが戻ってきていた。


 それから少しするとピーチさん、舞浜君と戻ってくるので殲滅に入る。といってもピーチさんがいるので【ファルカナンド・エンブレム】やスーパーアイドルによるアーツは使わずブーメランやダガーで対応する。


 以前は戦闘が終わったクゥちゃんにMPポーションを渡すだけだったピーチさんもちゃんと戦っている。ピーチさんは武器が槍で、盾も構えている。


 多対一で戦うピーチさんはそのピンク色のナース服に似合わないほど戦い慣れしていて、とてもきれいにモンスターをいなし、躱し、突いている。その様はただの不審者ではなかった。…いい意味で。


 いち早く自分の周りを片付けたピーチさんは周囲を見て援護に入る。まずは私の援護をしてくれる。ブーメランの特性上、超至近距離で囲まれると戦いづらいし、今日は魅了系のアーツを使えないので打破することができなかったので大変助かる。


 私の周りの駆除が終わるころクゥちゃんの方も大体片付いているのを確認するとピーチさんはカッサの援護に向かう。カッサも本来は弓矢を使うのに最近はイベント仕様ということで【拳】スキルを取ったらしく素手で殴りまくっているけど、元々戦闘が得意じゃないので苦戦している。


 ピーチさんの後を追って私もカッサの援護に回り、カッサの周りを終える頃には舞浜君もクゥちゃんの援護があって終わっていた。


「では、どうぞ」


「あ、ありがとうございます」


 戦闘が終わると近くにいた私、ちょっと遠くのクゥちゃん、それからまた私の近くにいるカッサ、最後に舞浜君という順番でピーチさんはMPポーションなどを渡していく。


「ところで気になることって何なの?」


 MPポーションを飲み終わったクゥちゃんはピーチさんに尋ねる。


「うぐぅ、なんという愛らし…コホン、そうですね、簡単にいますと…皆さん普段からそんな戦い方なのですか? 最初はイベントの衣装の効果に頼ってるのかとも思いましたけど…」


 とピーチさんが私達に問い返す。


「普段は違うよ…ていうかカッサは普段戦わないし」


 ピーチさんの質問にクゥちゃんが答える。


「そうなのですか…ですが見ててクゥ様は前に出ずっぱりになることに慣れてる印象がありますし、ナギ様は簡単に囲まれてますし…カッサ君は戦わないのなら仕方がないかもしれませんが」


 とピーチさんは「普段からそうなのでは?」と言うように気になるところを指摘している。


 確かに思い当たる節はあるかな。クゥちゃんは引き際を間違って不用意に攻撃を受けることが結構あるし、私は多対一は魅了系アーツでごまかして打破してるので囲まれないように立ち回るのが実は苦手だったりする。


 チラッとクゥちゃんを見ると一瞬視線が合ったと思ったらそらした。自覚はあったみたいだ。どおりでノーガードの一方的に殴るスタイルがあそこまで様になっているわけだ。クゥちゃんって意外とバイオレンスなんだ。


 私達の反応を見てピーチさんも何となく察したのか軽くため息をつく。


「まぁ…パーティプレイならナギ様の方はほとんど問題ないですし動きを封じるアーツが使えると聞いていますので、ソロでも気にするほどでもないのでしょう」


 今日は使わなかったけどそう言えば割と魅了系のアーツは普段行動しないような人にも見せてるんだっけ。ピーチさんはファンと言うだけあってその辺の情報も持ってるみたいだ。


「クゥ様も相手にさえ気を付ければヒット&アウェイより一方的に攻撃し続ける方がいいでしょうから…もっと意識するだけでいいでしょう」


 こうして聞いてるとピーチさんは秘書と言うか執事というか、それに近い感じの人に思えてくる。


「カッサ君は戦闘員が一人減るけど、ダンジョンなんかではいると助かるわね」


 カッサは特に何もなかった。


「後は舞浜ね…あなたは今の戦いでどうこうって話じゃなくて、簡単な話【鉄壁】持ってる?」


 ピーチさんは舞浜君にはさっきまでと口調を変えて問い詰める。舞浜君は少し焦った表情で視線が泳ぐ。


「その反応…ということは?」


「…も、持ってる! でも…」


「でも?」


「使いこなせなくて常に控え…」


 その舞浜君の一言にピーチさんの目が大きく見開かれた。


「タンカーだよね? ね? タンカーは鉄壁ゲーだよ? それわかってるの!?」


 ピーチさんは舞浜君に食って掛かる。


 【鉄壁】…現在イベントでお世話になっている装備にはこれが自動で発動する効果がついているけれど、元々はスキル。そのスキルで習得するのはアビリティのようなアーツのような…一応アーツだ。


 というのもMPを消費せずクールタイムもないのでいつでも発動できる、というのがアーツっぽくない要因で、だけど自分の意志で発動させなければいけないところがアビリティとは違うところだからだ。


 この【鉄壁】スキルによって習得するアーツの名前も【鉄壁】。今からは後者の話だ。


 この【鉄壁】はタイミングよく発動するとダメージが0になるということで重宝され、最近ではタンカーに必須のスキルとまで言われている。


 しかし使用者が少ないのはその発動のタイミングが難しいからで、どうやら舞浜君もタイミングを合わせるのに挫折したタイプのようだ。


 【パリィ】のように発動状態を数秒持続させることができないので、フェイントに引っかかればまず失敗する。そして失敗すれば補正なしで攻撃を受けるので盾で防いでも、特に格上相手ではダメージ量もすごいことになるだろう。


「今では新規の人も【鉄壁】を使いこなせるように努力してるのに、先輩が努力しないでどうするの!」


 と私が【鉄壁】の情報を思い出している間もピーチさんによる舞浜君への説教が続いていた。彼は今日厄日かもしれない。ただでさえ「スケベ!」で精神的なダメージが計り知れないのに。


「それにあなたはナギ様を守る騎士(ナイト)なのよ! きちんと守りきらないとダメでしょ!」


 …まぁ間違ってない? かな。うん。言い回しが怪しいだけで。とピーチさんの発言が危なっかしくて聞いてられなくなってくる。


「これから少しずつ釣り出して【鉄壁】の練習ね、本当は流れで決められるといいんだけどまずは構えた状態から相手の攻撃に合わせてできるようになる方が先ね」


 と舞浜君の特訓スケジュールが作られていると


「え? ちょっと待って、まだイベントしたい…です」


 舞浜君が待ったをかける。不審者呼ばわりしていたのでもう敬語まで使い始めた彼がちょっとツボにはまって笑ってしまった。


「あぁナギ様が笑ってる…スクショトリタイ…だめよだめ、それじゃどこかのスケベと一緒よ!」


 とピーチさんは舞浜君の精神に的確にダメージを与えながら首を振り舞浜君の方を見る。


「じゃあイベントが終わったら…ね? ナギ様、彼を一時期借りてもいいですか? 立派な騎士にして見せますから」


 舞浜君に一言告げた後、私に許可を取るピーチさん。彼女は何キャラなのだろうか。とりあえずみんな了承する。そもそも毎日べったりってわけでもないしね。


「はぁ…多分俺、現実に戻ったら泣くな、きっと」


 そんな中一人どこかを見ていた舞浜君の小さな呟きは私の耳に届き。心の中で「がんばれ」って言ってあげた。



――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン初心者】Lv4【STR増加】Lv33【ATK上昇】Lv13【SPD増加】Lv28【言語学】Lv41【視力】Lv46【スーパーアイドル】Lv1【体術】Lv30【二刀流】Lv44【水泳】Lv28


控え

【幸運】Lv50


 SP7


称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者 ホマレの惚れ人 ファルカナンドの救世主

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