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ナギ記  作者: 竜顔
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ファルカナンド王国:ペルケステスの過去

 月明かりに照らされながらペルケステスは弱弱しくも語り始めた。ファルカナンド王家の者が使える力。ある時その力の強さを知ったペルケステスはその力に溺れ始める。


 ファルカナンド王国にも王に対していい感情を持っているわけではない人は存在する。その不満を解消するための侵略もなければ、そういった人たちに力を示して黙らせることもしない温和な王である父への不満を募らせていった。


 そんなある時、旅人から【邪心の人形】をもらう。そこからがこの狂いの針を一気に進めることになった。とペルケステスは言う。


 人形とともに死者を操るネクロマンスなどの情報を入手したペルケステスは研究を始めた。そしてすぐにその術を使えるようになり、時を同じくして【邪心の人形】が覚醒しオスカーとなる。


 オスカーから教えられて人間の負の感情を力に変える術を身に着けたペルケステスは、ある時第六棟の囚人たちを解き放って力で服従させ、死んだらネクロマンスの力で操り国家転覆の為の駒とすることを思いつき、お忍びで第六棟へと向かおうとする。


 しかしそこで邪魔が入った。


「どれほど大事な用があるかは知りませんが今日はいかない方がいい、あなたの大事な方が命を落とされるみたいですよ」


 列車の車掌からそう言われてペルケステスは自分に大事な人間なんていたかと考える。すると母親である王妃の顔が思い浮かんだ。誰もが自分は一人でもなんとかなるといって好き放題させる中、母親だけはことあるごとに気にかけてくれる。


 その優しい母親は自分にとって唯一尊敬できるかもしれない相手、もしこの車掌の言うことが本当ならばそんな相手の死に際くらいには立ち会いたいと考えて、おとなしく城に戻って母の死をみとった。


 それがペルケステスにとって思わぬいい転機となった。友人であるシルヴァートが自分の考えに同調し、協力してくれるというのだった。


 それから二人で強い国家への計画を進めていると、母の死後自分を慕って付きまとう妹をうっとうしく思い、その世話をシルヴァートに任せて自身が計画を進めていく。


 数年に及ぶ長い年月をかけて少しずつ力を手にれていったペルケステスにさらなる転機が訪れる。王の病死。そしてペルケステスは王位継承を果たした。


 王になってペルケステスはある物を手に入れる。


「王の腕輪…」


 リーステスはペルケステスの話をさえぎって呟く。


 その腕輪は王位継承の際に渡される国宝で、能力を強化する物だそうだ。


 それを手に入れたペルケステスはあの時、第六棟へ向かうことを止めた車掌…ラドムスに感謝した。そして都合よく第六棟に幽閉されていた彼を利用して、計画のためにシルヴァートを第六棟へと幽閉する。


 だがここで思わぬ事態が起こる。計画についてシルヴァートと話していたところをミルト姫に見られてしまったことだ。


 計画が広められる前にミルト姫を捕まえて秘密裏に処刑し、邪魔者がいなくなった彼らは王都の人々を屍兵にするために逃げられぬようにホレイーズを強化していった。


 その視察の時にラドムスと再会する。


「運命は変わっている…あなたが変わらなければその身を滅ぼすことになるでしょう」


 それはラドムスからの最後の忠告だったのかもしれない。


 ペルケステス自身何かが変わっていっている気はしたようで、様々な葛藤が生まれた。


「だが結局、私は何も変えられなかった…運命も、自分も……」


 全てを語り終えたペルケステスはその言葉を最後に動かなくなった。


「王の腕輪が二つ…複製もしていたのですね」


 ゴルトンがペルケステスの死体に近づくと両腕に付けられた腕輪を見て渋い表情をする。


「ミルトもいないのか…」


 だけどリーステスは狂った兄よりも、その兄によって消された妹のことを考えているようだ。


 でもおそらくミルト姫は生きている。


 王家の人間に遺伝するという青白い髪の色の特徴に当てはまる「女性」を私は一人知っている。少しばかり他の二人より青色が弱い印象があるけれど大きく外れていることはないはずの女性。


「あの! ですね、ミニスさんって人がいて、髪の色がリーステスさんにそっくりな女性がいるんです、もしかしたらその人がミルト姫じゃないかと思うんですけど…」


 悲壮感漂うリーステスに私はミニスさんのことを話す。確信はないけれど酒場「ファルカナンド王国」で見せたあの雰囲気はそこらへんの町の看板娘では醸し出すことはできないはずだ。


「おい、ゴルトン! 聞いたか!? 確認を急げ」


「はっ!」


 私の話を聞いて顔に生気が戻ったリーステスはすぐさまゴルトンに指示を出す。そしてようやく兄の方に意識を向ける。


「これは…王家の紋章の印(いん)もある、完璧な複製ということか」


 リーステスはペルケステスの本家とはわずかにデザインが違う腕輪を見て何やら呟いている。


「この印は加護みたいなものだ、それがつけられた腕輪が二つ…というのはまずいだろう、印を移そう」


「移せるんですか?」


「ああ、印があればな」


 普通の加護みたいな力は移せないらしい。それとどうやら印の付け方(?)も、リーステスは知らないみたいだ。


「君のおかげでこの国は救われた…だからこの力は君に渡そうと思う」


 そう言ってリーステスは腕輪で何事かを行うと、私の右手を取って手の甲に右手をかざし、青白い光が私の右手の甲に注がれる。


 どこかの印が消えているわけではないので、複製の腕輪の印はペルケステスがつけたことになるみたいだ。だから私に移しても問題はないんだそうだ。


 そのあと、リーステスは複製品の腕輪を私に差し出す。



【ペルケステスの腕輪】

装備カテゴリー:腕

  DEF+0

ATK+0

効果:全ステータス200%UP(イベント中のみ)


某国の王が身に着けていた腕輪。力に溺れるべからず。



 イベント中だけとはいえすごい性能の代物だ。


【チェインクエスト⑤をクリアしました】


 ペルケステスの腕輪をもらうと同時にそのログが現れる。


 ファルカナンド王家の印のおかげか新たにアーツ【ファルカナンド・エンブレム】を取得。なんと発動時の消費MP0でCTなし。でも維持に必要なMPがとんでもないようで3秒維持するだけで私のMPは半分になっていた。ペルケステスの腕輪付けてましたが何か? 200%UPということは通常の三倍のステータスでこれだ。


 いつの間にか謁見の間には日が差し込んでいた。


 運命が変わっても尚、狂ったままに一生を終えた男を天へと導くように。


――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン使い】Lv25【STR増加】Lv25【幸運】Lv50【SPD増加】Lv21【言語学】Lv41【視力】Lv44【アイドル】Lv26【体術】Lv29【二刀流】Lv42【水泳】Lv22


 SP36


称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者 ホマレの惚れ人 ファルカナンドの救世主

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