集合
5万ユニーク到達いたしました。
皆様これからもよろしくお願いいたします。
炎天下の中グラウンドを踏みしめる音、頬を伝い腕からまき散らされ脚を流れる汗、そして4周目のトラック。入場行進の練習はもうこれで四回目ということだ。
体育祭の練習が始まる本日。1~4時間目は普通に授業が行われ5時間目からが練習になるわけだけど、最初の練習がこの入場行進と全体集合や、開会式、閉会式の練習だ。特に入場行進はブロックの得点にも影響があるため各役員含めて真面目な人や、先生方の熱の入り具合も相当なものとなる。
「ほら! 松木さん腕が下がってる!」
余計なことを考えていたせいで注意されてしまった。
まるで軍隊のように腕を振り、脚を上げ、しっかりと行進しなければならない。そしてブロック全体で足並みをそろえなければならず、少しでもずれると…ほら後ろの方でどこかのクラスの先生の怒声とも取れる声が聞こえる。
入場行進はあと一回行われてやっと次のステップへと進む。次と言っても全体集合の隊列確認や準備体操の練習。「気を付け」や「礼」、「休め」の号令の時の動作の練習。それで約一時間を見事に使い切る。
6時間目はブロック練習。ブロック応援の練習や、男子は組体操、女子はダンスの練習。ブロック応援のブロックが一つ、ダンス&組体操のブロックが二つ、で応援はグラウンドに設置してあるスタンドを使い、ダンス&組体操はトラック内を使えるブロックとそうでないブロックに分かれる。約15分ずつのローテーションで交代する。
最初は私達のブロックはトラックが使えないダンス&組体操になった。
男子の組体操はグラウンドの隅っこでやっていることだろう。しかし女子のダンスの練習は体育館で行われる。
日光に直接あたることを考えれば屋外より屋内の方がいいかもしれない。しかし、風通しを考えれば断然屋外の方がいいだろう。蒸し風呂のように暑い体育館の中でダンスはきついって…。
窓を全開にしたところで建物である以上風通しの面では屋外と比べて限界がある。
三年生のダンス長から指示が出され各クラスにいつの間にか存在していたダンス委員なる人に振付を教わる。
ローテーションで次はトラック内を使えることになったけど、結局はまずそれなので、トラック内は男子に譲り女子は空いたスペースで練習。
ブロック応援の時間が来た。スタンドに腰かけてパネルを使ったりする。応援団が舞うこともあるんだけど今日はそんなことはない。これは大体の確認と試しにやってみましょうみたいな感じで終わりを告げる。
そして終礼は全ブロックの人員がスタンドに座った状態で行われる。それが終わると教室に戻り各クラスで掃除と終礼が行われる。
初日なのに…いや、初日だからこそ相当疲れた。所々日に焼けて赤くなってしまっている。日焼け止めにも限界があったらしい。帰り道の京ちゃんと結衣ちゃんの口数もいつもより少なかった。
まぁ来週から本格的に練習が始まるんですけどね…。
家に帰ると自室にこもり、夜ご飯を食べた後はさっさとお風呂に入って寝た。どうせ明日は休日だからとゲームはしなかった。
翌日ゲームにログインすると「Berry Workers」のPVが完成していて、海で撮った集合写真が見事に使われていた。
理由を聞いたら私以外のみんなが許可したからだそうだ。私は聞いてないというと、「そうだっけ?」と気づいてなかったようだ。本当かどうかわからないけど。
まぁ私一人だけのショットではなかったので厳重注意で大目に見てあげた。
【海の衣】も加工することにより装備できるようになったそうだ。海の衣を下地にリヴァイアサンの鱗をというスケイルメイルにする使い方が主流らしい。そしてその効果に水中移動の効果がついているらしくこれがあれば【水泳】のスキルが無くても水中を移動できるそうだ。
まるで空を自由に舞うように水中を自由に舞ったり、歩いたり…踏ん張ったりもできるらしい。
しかし、折角移動できるといっても水着ではないので戦闘はできないみたいだ。
そこで、とラズベリーさんがとあるものを持ち出して見せる。
「じゃーん!」
「……なんですか? これ」
それはリヴァイアサンの鱗を使った藍色のスケイルメイルであることは分かるんだけど、鎧と呼べるほど頑強そうではない。
「いわゆるビキニアーマーってやつね、スケイルアーマーをそのままビキニにしました…みたいな」
ラズベリーさんは自慢げに教えてくれた。なんでも以前からビキニアーマーなるものを作っているらしいんだけど、当然ながら装備してくれる女性はいなかったようだけど、今回の奴はカテゴリーは水着になっているので水中戦闘可の効果がきちんとついているということから使ってくれる人がいると考えてるみたいだ。
そのままラズベリーさんから次の装備に付けたい効果はないかと聞かれて、能力アップ系と耐性系を頼み、ついでに新しい武器も頼んでおいた。武器の方は材料費と手間賃で結構な額を持っていかれた。
「Berry Workers」を後にして私はビギの街に移動する。というのはジェットさんからお誘いが来たからだ。なんでも「ホマレ」に関することだそうだ。
一瞬「ホマレって何?」と思ったことは秘密。
集合場所はビギの西門。そこにジェットさんと…
「あれ? ナギちゃん!?」
「カッサ…?」
カッサがいた。
「え!? 知り合い!?」
ジェットさんも驚きが隠せないようだ。
話によると、カッサは一度ホマレというNPCと直接面会したことがあるらしく、それを知ったジェットさんが会わせてほしいということで依頼したようだ。そういえば舞浜君も、カッサが気配消してるときにカッタリーに襲われことがある、って言ってたっけ。
カッサの方もホマレと接触した時に【世界樹の枝】をもらったらしいけど、どこで使えるのかわからずに困っていたようで、ホマレと会った後みんなで精霊樹へと行くことになるようだ。
「じゃあ行こう」
「カッタリー優先で始末してもらえると助かります、ホマレかどうか区別できますんで俺」
ジェットさんの掛け声でビギの西門を出て第四エリアへ――
――――――――――
NAME:ナギ
【ブーメラン】Lv29【STR増加】Lv5【幸運】Lv42【SPD増加】Lv1【言語学】Lv41【視力】Lv40【アイドル】Lv12【体術】Lv20【二刀流】Lv31【水泳】Lv20
SP21
称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者
切り所がなくなりそうなので少し字数少な目です。




