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ナギ記  作者: 竜顔
100/276

久々の

100話到達です。

長かったような短かったような、そんな感じです。


読者の皆様、これからも応援よろしくおねがいします。

 海底遺跡で手に入った【海の衣】は装備できる人がおらず、加工する必要があるのかも、と生産プレイヤーに渡るのがほとんどだった。


 私はとりあえずインベントリの中に眠らせておくことにした。単純に誰に渡すのが適切かわからないので様子見といった感じだ。


 【画像珠】【映像珠】にしても加工するための技術を持ってる人が少ないので、実装されて一生懸命「マインドパール」を狩って素材を入手した人や、すでに素材を持っていた人も実装初日でそれらのアイテムを入手することはできていないらしい。


 それで再び生産関連は忙しくなっているとのこと。でも、ギルド「神風」は生産チートのあのお方のおかげもあって何個か持っているそうだ。


 これらの情報は今日一緒に行動するとある人とコールで話して知ったことだ。


 さて、私はうっかりしていたけれど【STR上昇】のLvがいつの間にか最大値になっていた。Sp8を消費して【STR増加】に進化させておく。今日は第四エリアを通過するだけということだけど少しはLvも上がるはずだ。


「いやぁ、ごめん! 待たせるなんて!」


 ビギの西門で待っているとその人は現れた。手を顔の前に合わせて「ごめん」のポーズをとりながら近づいてくる。


「久しぶりです」


「ああ久しぶり…ってどれくらいかな?」


 その人――ジェットさんは顎に手を当てて考えるそぶりを見せる。


「ルージュナでのこと以来ですから…直接会うのは二週間ぶりぐらいですね」


「ええ! そんなに、なるほどどおりで最近ナギちゃんの夢ばかり見るんだ」


「どれくらい見るんですか?」


「ここ最近毎日」


「それは出演料を頂かないといけませんね」


 ちょっと言ってみたかったセリフだ。ジェットさんは一本取られたというような顔をしている。


「おいくらかな?」


「私は高いですよ?」


 これも言ってみたかったセリフ。


「高くても…ナギちゃんを買えるのかぁ」


「出演料! です!」


 変な想像をしていそうなジェットさんに釘を刺しておく。会わないうちにジェットさんがアウトよりになってきている気がする。


「そうだよね、ナギちゃんは無料だよね、今日もこうして一緒にいられるし」


 ジェットさんは一層にやけ面になって頷く。昨日の海底遺跡で出会った変な男性とその口をふさいでは私から遠ざけるべく連行していくPTメンバーを思い出してしまった。今度からジェットさんが変なことを言い出しそうになったら口をふさいでやるのもいいかもしれない。


 でもそうするとジェットさんの口に手が触れるわけで、ジェットさんなら却って喜ぶような気がするのが…。


「まぁ、冗談はここまでにして、行こうか」


「えっ!? あ、はい」


 私が対策を練っているとジェットさんが話を終わらせる。冗談だったの!? と驚くけど、ジェットさんの表情はさっきのにやけ面からさわやかな普通の表情に戻っていた。


 今日二人きりで動くのは、聖樹開放の時にルージュナの長からもらった【世界樹の枝】で行けるという場所に心当たりがあるらしいジェットさんに連れて行ってもらうためだ。


 西門から出て第四エリアに入る。ジェットさんによるとその場所というのは北西に位置しているようで、どんな場所かはついてからのお楽しみだとか。


 道中は最近何をしていたか、という話がほとんどだった。聖樹の10階のボスの話や、海底遺跡を踏破したことを話すとジェットさんは驚いていた。


 ジェットさんもすでに海底遺跡を踏破していて、最近は聖樹で活動することが多いそうだ。そしてルージュナで増えたゴブリン達から、私ほどじゃないにせよ声をかけられるということで、【言語学】を取得しゴブリン語が話せる…理解できるようになったんだとか。


「そういえばナギちゃんから指導してもらったっていうやつらもいたかな」


「指導というほどじゃないですけどね」


 その流れであの四人のひよっこゴブリンの話もした。ジェットさんもその話を聞いて「暇な時に面倒見てやるのも面白そうだ」とか言ってた。


 道に沿って進み森を抜ける。そして広がるは草が生い茂る平原。


「じゃあここからはこっち」


 平原に出ると右方向に進んでいく。視界にチラッと「カッタリー」が入ってくるけどスルー。


 ウリボンが突進してくることもあるけど、エースさんのおかげでカッタリーの対処法というか、情報があるので私の知ってる第四エリアの平原部分ではなくなっていた。


 今思えばカッタリーという存在に振り回されてたなぁ。としみじみしていた時だった。


「チェイサーだ」


 黒い馬。北海道で見ることができる輓馬(ばんば)を思わせる巨体。そんなのが猛スピードで迫っている。


「急ごう!」


 ジェットさんも焦っている様子がうかがえる。幸いにもまだ私達を狙ってるわけではないようだけど、確実にチェイサーの索敵範囲に入りかけている。


 目的地までは割と近かったみたいで、急げば何とか間に合うところだった。そしてそこに着く直前にチェイサーが私達を狙って追いかけてきていた。


 でも、


「もう来てますよ!? どうすればいいんですか!?」


 ジェットさんを信用していないわけではないけど、その目的地は平原の何もない場所…第四エリアの北の端っこだった。目の前には限りなく平原が広がっているけど行こうとすれば見えない壁に阻まれるという場所だ。


 後ろからはチェイサー。


「じゃあ【世界樹の枝】をかざして行くよ」


 そういって歩みだしたジェットさんの姿が消えた。


「えっ!?」


 私はパニックに陥ってどうしていいのかわからなくなった。いや、見よう見まねでいいんだと思ってすぐさまジェットさんと同じようにやってみると体がにゅるっとどこかへ出る。


 木々に囲まれた林の中、辺りを見回すと目の前にジェットさんがいた。


「先に行かないでくださいよ!」


「ごめんごめん! もっと丁寧にやればよかったね」


 とジェットさんは苦笑いを浮かべる。


「行くよ」


 と言ってジェットさんは歩き出す。目的地がどこかはすぐにわかる。正面、目で見えるところに少し開けたところがある。そこには小さな神社のような建物があった。


「お、ジェットか、よく来たな」


 そこには一人の知らない男性…ジェットさんは知り合いらしい。


「ああ、久しぶりだな」


 ジェットさんもその男性に応える。


「ん? そこの嬢ちゃんはなんだ? 弟子か?」


 その男性は私に気づいてジェットさんに問いかける。


「少し違うけどそんな感じでもあるかな」


「そうか、で、今日は何の用だ? まさかその娘に教えろってか? …だがそれは無理みたいだが」


 その男性は私をジッと見つめながら何か言っている。私には何の話だか分からない。


「ああ、今日はそういったようじゃないんだ、あ、ついででローエスから頼まれてたんだ、これを見てくれ、ナギちゃんもちょっと待ってて」


 ジェットさんはそう言って男性にいくつかの紙飛行機を見せる。


「おお、これは奴の弟子の作品か、結構上達しているじゃないか、そしてこれが奴自身の作品か、ははぁやりおる、この様子なら俺が何も言わなくても次のステップもいけそうだな」


 紙飛行機を見て男性はぶつぶつ言っている。


「あのぅ、ジェットさん?」


 この人は誰? そういう前に


「ああ、こいつはブライト、竜人族のNPCで、とあるクエストの依頼人でもある、他の奴らにしてみればただのクエストの依頼人だけど、俺達投擲にとっては紙飛行機を習得するのにお世話になる人だ」


 とジェットさんが紹介してくれる。そして「紙飛行機を作れたのは当初はこいつだけだ」と付け加えた。ジェットさんに紹介されるとブライトさんは紙飛行機を見て品定めしながら私に軽く会釈をする。


「で、本題に入りたいんだが、【世界樹の枝】を持ってたら奥に行けるって思ってるんだがどうなんだ?」


 とジェットさんが言うとブライトさんはジェットさんの方を見て、


「お前が思ってる通りだ、それがあれば彼らもお前たちに手を出したりはしないだろう」


 あっさりブライトさんはジェットさんの予想を認める。


「裏手で枝をかざしてみればいい」


 ブライトさんに言われた通りにやってみると空へと伸びる光の道が現れた。


――――――――――

NAME:ナギ

 【ブーメラン】Lv28【STR増加】Lv3【幸運】Lv42【SPD上昇】Lv39【言語学】Lv41【視力】Lv40【アイドル】Lv12【体術】Lv19【二刀流】Lv30【水泳】Lv20


 SP23


称号 ゴブリン族のアイドル 恋に惑わされる者

ブライトさんの由来は「ライトブラザーズ」です。

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