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ナギ記  作者: 竜顔
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いざ別世界へ

 私の名前は渚、高校二年生、兄妹はゲーム好きの兄が一人。

 私は別にゲームが好きというわけではないが、昔から兄に付き合わされてやることが多かった。もちろん一方的にやられるだけですが・・・。ただ、年々無理強いされることもなくなり最後にゲームをやったのはいつだったかな。


 そんな折、私の友達の一人が最近話題のVRMMOを一緒にやろうと誘ってきた。

 VRMMOにもいろいろあるらしく彼女のやってるゲームのタイトルは『○○記』というもので公式サイトによると、


「○○に当てはまるのはあなた自身、あなただけの自由な冒険記を作りましょう!!」

 

 というコンセプトらしい。ちなみに友達は(現実の)彼氏とやってるらしい(私を誘う必要ないんじゃ・・・)。


 『○○記』――通称「俺記」――は受付期間以外では新規のユーザーが参加することができず、どうやら私の誕生日に大型アップデートが行われ、それとともに第三回目の新規受付が開始されるということで私を誘ってきたみたいで・・・


 やるなんて一言も言ってないのにそれからあっという間に私の知らないところで事が進んでいたみたいで、誘ってきた友達とその彼氏、どこで知ったのか兄や(面識のある)兄の友人などがお金を出しあってVRメットを購入し誕生日の前日にプレゼントしてくれた。兄に至っては「動作環境に問題はないはず」とおさがりのPCまでくれた。もう逃げ道なんてなかった。


 そして当日、インストールなどの諸々のことはすでにすましているので、「俺記」のユーザー登録を受付開始時間を待って始める。


 まずはアバターから、意識はまだ現実、顔エディットで一から作ろうとするも挫折、スキャナー機能(要するに3D写真)を使って作成し、身体も面倒だったので兄から借りた全身スキャナー用のツールを使った。これでアバターは完成、意識はゲーム世界に、普段見ている手、足。おそらく現実の私そのもの。次は名前、これは思いつかないので「ナギサ」・・・


《この名前は既に使用されています》


「えっ・・・」


 よくよく考えれば第三陣とかいわれる時期なのにこんな単調な名前が残っているはずがなかった。それから思いつく限りの名前を試したが


《この名前は既に使用されています》


 この地獄から抜け出せず絶望している。自暴自棄になりつつ


NAME:ナギ


 渚(ナギサ)から「サ」を抜いた。


〈ようこそナギ様、冒険の世界へ〉


「いけたぁー!」


 柄にもなく叫んでしまった。ついに地獄から解放された――なんか無駄に遠回りした気がする。灯台下暗してやつなのっ!?


〈スキルをお選びください〉


 最初に選べるスキルは三つ、そのうち枠が解放されて最終的には同時に10個のスキルを装備できるようになるらしい。このスキルにも種類があって


【装備スキル:武器や防具にかかわるスキル】


【補正スキル:ステータス補正にかかわるスキル】


【特殊スキル:魔法など特殊な能力にかかわるスキル】


 最初は必ず武器のスキルを取得しなければいけないので、まずは武器選び、剣や槍、斧の定番武器から鞭、楽器など、何を選ぼうか。誘ってきた友人によると


「渚は魔法使いとか似合うんじゃない?」


 とのこと。そうなると杖や本、けれど魔法の詠唱は間違うと失敗扱いになるので不器用な私では難しそうなのでボツ、剣なんか振り回すのは気が引けるのでボツ、弓矢はVRMMO全般で不遇扱いで、そのためこのゲームでは慣れるまで熱心に周りの人がサポートしてくれるけど本人にやる気がないと総スカンをくらうらしいので、自分はやめます。友人たちのアドバイスを思い出しながら結局


【投擲】【STR補正】【幸運】


 もちろん投擲は武器スキルですから!STR補正は補正スキル、幸運は特殊・補正スキル(両方かねてるってことなのかな)。

 なぜ投擲かって?女湯の桶しかり、乙女が戦うときは常に何かを投げるものなのよ!

 ――じゃなくて、向き合ってなぐり合わなくて済むし、ただ何か投げればいいだけで自分でもできると思ったから。


〈ではナギ様、いってらっしゃいませ〉


 ――気が付くと知らない街の中にいた、どうやらここが開始地点らしく同じような装備の人がうじゃうじゃいる。そしてあちらこちらからギルド勧誘から「レベ上げ手伝います」やら「パーティー組みましょう」やら何が何やら。

 私を誘ってくださった皆様はアップデートによる新エリアにいくそうなので、私は放置状態。最初くらい手伝ってくれてもいいんじゃないですかねぇ。


 街が騒がしいのでいったん外に出ると、そこにも血に飢えたケダモノの如きプレイヤーたちがいた。どうやら敵モンスターを狩りまくっているらしく、怖いなぁ~っと思いながら人がいなさそうな隅っこへ移動、そこに半球体のぷるんとしたボディの「プニット」というモンスターがいた。


 今更ながら武器を持ってないことに気づき、近くの石を10個集め投げつける。


【石】(未鑑定)

 武器カテゴリー:ボール

      固定ダメージ【1】

 素材アイテム


 ―しかしすべて投げ終えたところでプニットのHPは三分の一くらい残っていた。

 どうしていいのか分からず――助けを求めればよかったのだが――逃走、街まで走り抜け何とか逃げ切った。


「ちょっとあなた!」


 街に逃げ込みほっとする私に先輩らしい女性プレイヤーが声をかけてきた。


「はい?」


「MPKするつもり? ・・・でもないみたいだけど危ないじゃない!」


「ごめんなさい・・・」


「今日は問題ないけど、最初のエリアといっても初心者装備じゃ大きいダメージを受けるんだから、注意が向いてないところから敵が来たら普通にやられてもおかしくないんだからね!?」


 と怒気を含んだ声で怒られてしまった。このゲームでは基本、PK(プレイヤーキル)――つまりプレイヤーを殺すこと――はできないけど、モンスターを他人に押し付けて殺すMPKはできてしまう。

 やっちゃいけないことって事前に教えてもらってたのにやってしまった。


「攻撃したんなら自分で倒す、人に押し付けない、無理そうなら助けを呼ぶ、大体プニットぐらい4、5発殴れば倒せるでしょ? ―とにかく気を付けなさいよ! 迷惑行為に当てはまってるんだからね!」


「えっ、10回攻撃したんですけど…」


 何言ってるの? みたいな顔をしながら先輩プレイヤーは街の外に戻っていった。周りを見ると視線が集まっていて、うわぁ目立っちゃったよ…。


 そのあと周りで見ていた男性プレイヤーからの、かわいそうだね、とか君かわいいからお兄さんが手取り足取り教えようか? とかナンパまがいの誘いを無視して街の外に出た。


――――――――――

NAME:ナギ

  【投擲】:Lv2 【STR補正】:Lv1 【幸運】:Lv1 【】


 SP5

きりどころがなくなりそうなのでとりあえずここで。

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