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女勇者、決行

「お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」お帰り、レイン!」……

「ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」ただいま、レイン!」……


 『征服』に成功した小さな村から、2000人のレイン・シュドーが魔王と共に荒野の下に広がる自らの根城に帰ってきた。第二の作戦も一切の障害もなく成功させる事ができた彼女たちを迎えたのは、今日もその数を増やした258000人ものレイン・シュドーの濁流であった。

 全く同じ純白のビキニ衣装で包まれた彼女の体は、彼女と全く同じ心地の胸や背中、そしてお尻に圧迫を受け続けた。身動きをとるのも大変なほどぎゅう詰めになりながら、260000人のレインたちは満面の笑みで自分自身の感触を味わい続けていた。村人から生まれ変わったレインも、村の中で黒いオーラから生まれたレインも、彼女たちをこの空間で待っていたレインも、既に全く区別が出来なくなっていた。



 そんな肉の海と化した場所を、魔王は離れた所からからじっと眺めていた。



 ほんの少し前まではどこまでも続いているように見えた魔王の根城は、今や大量の同じ姿の女性によって覆い尽くされている。魔王の魔術や彼女自身の技によって日々広げられてはいるが、今のレイン・シュドーの増える速さはそれを凌ぎつつあるのだ。毎日のように魔術の特訓で増え、自分自身が熟する木の実から生まれ、さらには外の世界からも次々に純白のビキニ衣装の美女が誕生し続けているからである。

 今でこそ思いのままに自らの剣や魔術の腕を磨き、楽しく生活することが出来る彼女たちだが――。


「あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」あはははは!」……


 ――その居場所は地下空間だけでは足りなくなっているのは目に見えている。どの場所を歩いても、前後左右あらゆるところに自分の姿があり、少し早足になればすぐに別の自分の体に大きな胸や健康的な褐色の肌が当たってしまう状況なのだ。

 だが、レイン・シュドー本人にとっては、このような状況になってもなお自分自身をこれ以上増やさないようにすると言う考えは一切起きなかった。汚れた世界の中でたった1人、素直な気持ちで愛する事が出来る存在を消し去るなど、到底考えもつかなかったのだ。


 そして、彼女たちを保護する形の魔王もまた、数十万人の彼女――自らの新たな手札をわざと減らすと言うことは一切考えていなかったようだ。ただ、これ以上地下空間で蠢くばかりと言うわけにはいかない。これまでに重ねてきたいくつかの工程は、魔王の野望を達成させるためにあるのだから。




 全く同じ姿をした大量のレイン・シュドーの夕食が終わった直後に魔王が彼女たちに言った話は、まさにその考えを示すものだったのかもしれない。


「そ、それって……」「地上に向けて……」

「その通りだ。これ以上地下に潜伏し続けるわけにもいかないだろう」



 この世界を掌に収めるためには、現在の状況を大きく改善する必要がある。そのために、『最後の準備』を終えた後、この地下空間の遥か上にある荒れ果てた大地を改造し、第二の地上征服の根城を築く――魔王は、そう伝えたのだ。

 驚きのあまりざわめくレインたちを右手の中に現れた杖の音で沈めた魔王は、さらに話を付け加えた。効率よく敵を操るには、敢えて相手に『豪華な料理』を与える事も必要、相手はそれだけで疑心暗鬼に陥るか、何を考えているかの意図がつかめずに混乱するであろう、と。

 何を言っているかイマイチ掴めずにきょとんとするレインたちを見て、改めて魔王はもう1つの指令を伝えた。



「え……!」「せ、宣戦布告!?」「そ、そんな事……!」


 ざわめく何万人ものレインを再び鎮めさせ、魔王は地上への本格侵攻に向けた最後の手順を説明し始めた。


「お前たちは、既に私の下僕と化している。地上にはびこる人間どもと同じような手は使わない」

「それって……」「どういう意味?」


 世界を魔物の脅威が襲い始めたあの時、魔王やその界隈からは人間たちに一切の警告も連絡も無かった。人間たちが戦争をする際のルールと、人知を超えた存在である『魔王』のルールは全く異なっていた。一言で言えば『やったもの勝ち』、相手に手を出せばそれが宣戦布告に値する、と言うのが魔物の中の定めだったのだ――もはやそれは宣戦布告ではなく、戦いの合図に過ぎないかもしれないが、何かしらの侵略の爪痕を相手に誇示すれば、人間たちは勝手にそれを宣戦布告と認知する。それを利用して、最後の準備を行うのだ、と魔王は告げた。


 そして、その具体的な中身を説明していく中で、レインの顔は一斉に強張り、やがて決意に満ちた表情になった。同じ記憶を持つ大量のビキニ衣装の彼女にとって、忌まわしい過去に復讐を遂げることが出来る絶好の機会が巡ってこようとしていたからである。 




 ――魔王が述べた征服への『最後の準備』、それは『勇者』の1人を、この世界から永遠に抹消させる事だった……。

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