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レイン、操作

「「「「「「「「「「「「ただいまー、レイン♪」」」」」」」」」」」」


「「「「「「「「「「「「あ、レインだ♪」」」」」」」」」」」」

「「「「「「「「「「「「おかえりー、レイン♪」」」」」」」」」」」」


 

 青い空を純白と肌色で埋め尽くしながら『町』へと帰還したレイン・シュドーに挨拶を送ったのは、彼女たちと全く同じ笑顔、同じ声、そして同じ姿で出迎えるレイン・シュドーの大群だった。代表者として新たに創り出した『数名』の自分自身が、帰還した時には何千何万もの数に膨れ上がっている――レインたちにとっての日常光景であり、ついたわわな胸を揺らしながら飛び跳ねてしまうほどに嬉しい出来事であったが、今回はいつもとは少しだけ異なっていた。戻って来たレインたちと一緒に、『別』のレインもやって来たからである。


 自分と全く同じ存在なのは間違いないが、少しだけ思考判断が異なっているらしい存在に対して嫌悪感を抱く事は決して無かったものの、どこか不思議な感触を覚えながら出迎えてくれたレインに対し、そのレインたちはさっそく笑顔で自己紹介をした。自分たちは世界の果てで無限に増築され続ける生産施設から生み出された、新たなレイン・シュドーである、と。


「「「「「と言う事は……ちゃんと成功したのね♪」」」」」


「「「「「「そうよレイン、これからはもっとレインが増えちゃうんだから♪」」」」」」

「「「「「「そう言う事。よろしくね、レイン♪」」」」」」


 一つに結った長い黒髪、健康的な肌、たわわな胸に魅惑の腰つき、全身の2箇所だけを覆い隠す純白のビキニ衣装、そして思考は違えど目標は同じ、慈愛と勇気、正義感に満ちたレイン・シュドーの心――それらの全てを持つ新たなレイン・シュドーを、他のレインたちが大歓迎しないわけはなかった。互いに抱きつき合ってその柔らかい胸や引き締まった体の感触を確かめたり、中には互いに口づけまでして嬉しさを表現し合う彼女まで現れるほどであった。

 たっぷりとビキニ衣装の美女と初めて出会う素敵な体験を堪能した後、記憶を共有する快感を味わった彼女たちは、改めてここに至るまで世界の果てで体験した出来事を振り返った。これからの鍛錬は考えを完全に読み取る事が出来ない存在と共に行う事になるため、今まで以上に気合を入れなければいけない、と。それは元からいたレインのみならず、生産施設から無限に溢れ続けるレイン・シュドーたちもまた同じ考えだった。


「「「「「私たち自身が『ダミーレイン』になれれば良いんだけどね……」」」」」

「「「「「でもやっぱり不安だよね……やっぱり元から別のレインと戦った方が、魔王を倒す策を創り出しやすいと思うわね」」」」」


「「「「「「そうよね、レイン……それに、ね♪」」」」」」



 そう言った鍛錬のような精神と体力全てを必要とする事以外にも、数限りなく自分が生み出される施設が無限に大きくなり続けると言う快楽もこれからはたっぷり味わう事が出来る。自分たちは間違いなく、世界を真の平和に導く事が出来る新たな段階に突入出来た、とレインたちは皆で確信し合った。同じように新たなレインと共に戻ったあちこちの町や村にいるレインたちも、間違いなく同じ考えだろう、と言う思いも加えて。


 一方、そんなレインたちがいない間の留守を守り続けていた純白のビキニ衣装の美女の中には、これらとは別にある考えが浮かび始めていた。ダミーレインの生産施設があのレイン・プラントと非常に良く似た構造を持っているのならば、逆にあちこちに生い茂るレイン・プラントにこの生産施設にかけられた魔術が応用できるのではないだろうか、と。その時にはまだ具体的な部分まで考えなかったが、その記憶と世界の果てでの経験が合致した結果、レインたちの中にとびきりのアイデアが浮かんだのである。丁度この町の傍にレイン・プラントが生い茂る場所がある事も大きな後押しとなった。



「「「「「良い考えよね、レイン♪」」」」」

「「「「「うんうん、あの植物たちはみーんな『永遠』に生き続けるんでしょ?」」」」」

「「「「「そうそう、レイン・シュドーが存在する限り、ね♪」」」」」



 

 物は試し、レイン・プラントをより自分たちにふさわしい姿に改良しよう、と互いに言い合ったレインたちは、早速この町の後ろに広がる広大な山脈へと飛んでいった。彼女たちにとっては実質不必要な色で満ちた光景を目に焼きつけながら。



~~~~~~~~


 そして翌日、純白のビキニ衣装の美女を産みだす実を創り続ける『レイン・プラント』に満ちた山の色は一変した。昨日までその場所を彩っていた濃淡様々な緑色や、それらの色を創り出す透明な水が反射する太陽の色は全て消え失せ、代わりにその一帯を覆い尽したのは――。



「うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」うふふ♪」…


 ――山肌全てを何重にも覆い尽す『レイン・プラント』の肌色の実と、そこから絶え間なく生まれ続けるレイン・シュドーたちであった。

 確かに以前からも、この場所からは毎日数百万単位で新たなレインが誕生し、世界を真の平和に導きつつ別の自分と共に暮らす日常を心から楽しむために活動を行っていた。しかし、その日この場所から生まれた純白のビキニ衣装の美女の数は、その何百何千、いや何万倍もの勢いで増え続けていたのである。その理由は、レイン・プラントに付いていた様々な余分な器官――実をつける場所の邪魔になる葉や花を全て除去し、それらの代わりに新たな半透明の実を付けるよう改良を行ったからであった。1箇所につき1日で合計4個の実が膨らみ、そこからビキニ衣装1枚のみを纏った絶世の存在が生まれる――まさにレイン・プラントと言う名を極限まで突き詰めた

ような存在だった。

 そして同時に、それまで全て同じ機会に生まれ続けていた新たなレインの誕生の時間を、敢えてレイン・プラント毎にずらして設定した事で、この場所から絶え間なく彼女が増えるようにしたのである。



 どの木もどの草も、毎日新たなレインを産みだし続ける『器官』へと完全に変貌した。地上に生えた草は毎日何十個もの実をつけながらレインを育て、魔術によって日々頑丈さを増し続けている巨木はその枝に何十万個ものレインの元を実らせていた。勿論それまでこの場所に僅かながら暮らしていた動物たちも例外なくレイン・シュドーに変えられ、この一員に加わっている。

 様々な出来事を優先したせいでなかなか手がつけられなかったが、ようやくこの場所が自分たちの理想郷へと近づいた、と新たに誕生し続ける自分たちも含め、この山脈を覆い尽す彼女たちは揃って満足した気分を抱いた。だが同時に、1つだけ理想に届かなかった箇所があると言う事実を、レインたちは噛みしめていた。



「「「「空間自体はいつでも広げられるけど……」」」」

「「「「そうよね、レイン……『レイン・プラント』自体の生産速度は、これ以上増やせない……」」」」

「「「「しかも、ここだけじゃなくて生産施設の全部が、ね……うーん……」」」」



 本当は、それこそ瞬きする間に新たなレインで創られるほどの勢いで新たなビキニ衣装の美女が生み出されるような空間を創り出したかった。それはこのレイン・プラントのみならず、世界の果てにあるレインの生産施設においても同様だった。だが、今の彼女の持つ魔術の力では、どれだけ迅速に彼女を創り出したとしても、安定して日々創り出すとなるとこれくらいの時間が限界であった。自分の意志で自分を増やしたり、別の存在を自分に変えるのは容易かったが、自分を産みだす『別の存在』を創り出すのは予想以上に手間がかかるものである、と言う事をここにきて彼女は痛感したのである。



 空間を広げたり無限に複製させたりする事無く自分の生産速度を上げるには、それこそ流れる『時間』そのものを制御しなければいけない話になってしまう。だが、今のレインたちはあいにくそのような魔術の力はおろか、概念すら持ち合わせていない状態だった。

 以前も何度か、この世界に流れているであろう『時間』をどうやって思い通りに操る事が出来るか考えを巡らせた事があったものの、そもそも時間がどう進んでいるのかと言う所から壁に行き当たってしまい、今に至るまで何も良い考えが浮かばないままだったのである。



「「「「そういえば……魔王でも難しいってずっと前に言ってたわね……」」」」

「「「「そうよね……悔しいけど、魔王でもそれだから……」」」」



 しかし、すぐにレインは気持ちを前向きに切り替えた。

 魔王は『自分でも難しい』と断言していたが、決して『不可能』とは言っていなかった。現に魔王は、そのような愚痴のような言葉を述べつつも簡単に過去へ繋がる空間を創り出し、レインを数日前の世界へ送り込んだ事があるのだ。時間はかかるかもしれないが、今後も諦めずじっくりと思いを巡らせ、そして鍛錬が出来る段階にまで持ち込む事が出来れば、生産施設の速度向上のみならず、もっと様々な楽しい事が出来るに違いない、と。

 


「「「でも、そのためには……!」」」

「「「「うん、頑張ろう、レイン!」」」」


 

 どんどん新しい目標が生まれる事の大変さを噛みしめながらも、絶対に訪れるであろう乗り越える嬉しさを味わうため、レインたちは改めて自分たち同士で気合を入れ直した。人間たちを『平和』に導きつつ、文字通り最強の存在である魔王を自分の手で倒すために。


 そして、そんな彼女たちを祝福するかのように、肌色で埋め尽くされた山と言う山から、新たなレインたちが笑顔で生まれ続けていた……。



「あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」あはははは♪」…

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