図書館とアリシア
「あの、私、水嶋 沙羅って言います。
実はゼフィーさんからここに来るように言われまして…」
そう言うと、老婆は何かを心得たようにあぁ、と呟いた。
「ゼフィー様のお客様ね、分かったわ。
どうぞ入ってちょうだい」
「あっ、はい。
お邪魔します」
図書館のかぎなれた本のにおいにほっと肩を落とす。
老婆は沙羅に椅子に座るよう促し、自らも椅子に座った。
「私はね、この図書館の館長のアリシア・エローネ。
貴女がなぜここに来たのか、唯一知るものよ」
「えっ…?
どう言うことでしょう…」
アリシアは、そっと微笑んでまるでいたずらっ子のように言った。
「それはまだ秘密よ。
ただひとつだけ言えることはね…」
「言えることは…?」
「貴女がこの世界に来たのは、ちゃんと理由があるってこと!!」
「はぁ…」
私は、半ば呆然としながら返事を返す。
まだ分からないことが多すぎる。
いったいこれから私はどうなるんだろう。
不安が顔に出ていたのか、アリシアは、安心させるように言った。
「大丈夫、貴女が帰れるようになるまで私が面倒を見るわ。
まぁ、ここで働いてはもらうけどね」
「はいっ!!
よろしくお願いします!!」
こうして私は、異世界で働くことになった。
水嶋 沙羅という名前はここではあまりにも不自然なので、サラ・アクアーリスと、名前を変えた。
私はここで、第2の人生(?)を送ることになったのである。
やっと沙羅が働くところまでいきました!!
道のりは、まだまだ長い……………