老人とアリシアの冷たさ
私が連れてこられたのはとある客間の一室だった。
「ねぇ、アリシア。何かあるの?」
「入ればわかるわ」
とか言いつつただ話すのがめんどくさいだけじゃないかと思うのは私だけではないと思う。
「じゃあ、入るわよ」
ゆっくりとした動作で、アリシアは扉を開いた。
「あぁー!!アリシア殿!!よくぞ来てくれた!!」
「えっ!?」
同時に中から立派な服を身にまとった老人が飛び出してきた。
「…………うっとうしいわ、さっさと用件をのべなさい」
本当に鬱陶しそうにアリシアは容赦なく告げる。
いつもよりかなり声音が冷たいのは気のせいだろうか…。
「そんな冷たい反応も素敵だよハニー」
「は?」
今この人なんつった?
頭大丈夫か?
呆れているのは私だけでは無いようで、アリシアも顔をしかめている。
「気色悪いわ。サラに悪影響を与えるわ」
………アリシアさん。
怖いです…………。
やや呆然と二人のやり取りを眺めていると、アリシアに座るように促された。
おとなしくソファに腰かけると、ようやく二人も座った。
この時、老人がアリシアのとなりに座ろうとしてばっさりと断られたのは言うまでもない。
「………………」
「………………」
しばらくの間、誰もしゃべらなかった。
その沈黙を破ったのは老人の方だった。
「今回、私がここに来たのにはサラさんに用があったのです」
このあとの老人の発言に、私は絶叫するのである。
「どうか…どうか…この国の王子たちの教育係として、ここでの仕事を叩き込んでくだされ!!」
「えっ!えええええええええ!!」